誰がために鐘は鳴る(下) の商品レビュー
作中経過する時間は4日程度。 その間の主人公ジョーダンの心情の独白を丁寧に描写しながら進行していく。 その描写は細かく、情景は目に浮かび、土や木の匂いまでが感じられるようだ。 その空気をまるごと感じるように読み進めていくことが、自分とヘミングウェイとのちょうどよい距離感だとわかっ...
作中経過する時間は4日程度。 その間の主人公ジョーダンの心情の独白を丁寧に描写しながら進行していく。 その描写は細かく、情景は目に浮かび、土や木の匂いまでが感じられるようだ。 その空気をまるごと感じるように読み進めていくことが、自分とヘミングウェイとのちょうどよい距離感だとわかった。 とはいえ、時代のせいか国柄のせいかわからないが、ヨーロッパの作家たちの作品に比べるとやや戸惑う記述も少なくなく感じられた。
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3 作戦準備と決行、結末までの話。最期はマリア達を逃がすために、傷つきながら敵兵を撃とうとする場面で終わり。全体を通して数日の話。平和を想像しながら、戦う兵士達から戦争は悲しい話だと感じる。決行までがかなり長く間延びする感があり、戦場でここまでの恋が生じるものなのだろうかという気もした。名作ということで読んでみたが、まあまあ面白いくらいな感じ。
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主人公ジョーダンは、橋の爆破を指令として受け取り、その実行の日が着実に近づいてくる。ただし、ジョーダン自身やその協力者であるゲリラ達は、正確には作戦の概要がわからない。あくまで大きな戦略の一部を担うのみ。 別のシーンで作戦本部の描写があり、戦略にも触れられているが、大きな流れは、...
主人公ジョーダンは、橋の爆破を指令として受け取り、その実行の日が着実に近づいてくる。ただし、ジョーダン自身やその協力者であるゲリラ達は、正確には作戦の概要がわからない。あくまで大きな戦略の一部を担うのみ。 別のシーンで作戦本部の描写があり、戦略にも触れられているが、大きな流れは、一部隊の状況を斟酌せずに流れていく。 ジョーダンは、ゲリラ達と交流することで、今まで持たなかった人間味を獲得していく。この心情の変化が、作戦実行による死の予感により、さらに強調されて描写される。 死を踏まえたが故に際立つ、「生」の喜びや苦悩が本書の全編を通じたテーマのように感じた。
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読む価値はあるでしょう。オチの抽象的推測は容易で実際その通りになるが、細かい描写や人物・場面設定に込められたメッセージは想像以上に深くなかなか多岐に渡り考えさせられる、そんな本でした。
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当初心許なく感じていたゲリラ部隊に主人公ジョーダンは、人間的に魅かれていく。使命のために命を賭することに拘りを見せない女性ピラール、過酷な過去を持ちながら人を愛し胸襟を開くマリア、戦争を甘受しつつも人を殺すことに逡巡するアルセルモ。内戦取材を通しての地勢上の描写もリアル。2019...
当初心許なく感じていたゲリラ部隊に主人公ジョーダンは、人間的に魅かれていく。使命のために命を賭することに拘りを見せない女性ピラール、過酷な過去を持ちながら人を愛し胸襟を開くマリア、戦争を甘受しつつも人を殺すことに逡巡するアルセルモ。内戦取材を通しての地勢上の描写もリアル。2019.7.6
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