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ヒトラーと暮らした少年 の商品レビュー

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17件のお客様レビュー

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2023/04/29
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

性格が変わっていくさまが悲しくもあり ヒトラーの影響力のすごさを感じる 孤児院のくだりは必要だったのだろうか? 中だるみ感があった

Posted byブクログ

2022/12/25

無垢だった少年はヒトラーに感化され、名前を捨てて変わっていった。結果的には引き取ってくれたおばを死なせ、態度が尊大になり好きな女の子さえも泣かせる。権威に擦り寄るとこうも変わるものなのかと空恐ろしく感じる。子どもだから何も知らないは言い訳にはならない。なんとも重たい物語だった。私...

無垢だった少年はヒトラーに感化され、名前を捨てて変わっていった。結果的には引き取ってくれたおばを死なせ、態度が尊大になり好きな女の子さえも泣かせる。権威に擦り寄るとこうも変わるものなのかと空恐ろしく感じる。子どもだから何も知らないは言い訳にはならない。なんとも重たい物語だった。私たちがピエロ(ペーター)と同じにならないとは言い切れない。というか、ピエロの変わりようが怖すぎた。

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2022/08/17

孤児になった少年がヒトラーの近くで暮らすことになり、その強さや権力に惹かれて変わっていくお話。大切な友だちや親切にしてくれた人を切り捨てて、変わっていく様が怖くて切ない。 「ハイルヒトラー」と嬉々として叫ぶ子どもたちがこうして作られていったのだろう。

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2021/10/29

権力を持った人や憧れの人の影響で自分を変えてしまった少年の物語。これはまだ未熟な少年だけに起こることではなく、成熟したように見える大人にも起こりえることだ。 主人公が思いを寄せる同級生の少女、カトリーナが父親に対していう「最後に自分の頭で考えたのはいつだった?」は忘れないようにし...

権力を持った人や憧れの人の影響で自分を変えてしまった少年の物語。これはまだ未熟な少年だけに起こることではなく、成熟したように見える大人にも起こりえることだ。 主人公が思いを寄せる同級生の少女、カトリーナが父親に対していう「最後に自分の頭で考えたのはいつだった?」は忘れないようにしたい。 私の感覚だとピエロに起こったこともペーターがしたことも、「数奇な運命」なんてファンタジックに形容できない、とても残酷な話だと思う。 これは中学生以上向けだと推測するに、教科書等からはわからない時代背景や交流を知っていた方が興味深く読めるという意見もあり、それには同意だけど、しかしそれはただの順番でしかなくて、ここから入ることもあるだろうな、と私は思う。 とにかくこれはたくさんの大人が読むべき本だと思う。

Posted byブクログ

2021/07/30

原題は『The boy at the top of the mountain』(山の頂きにいる少年)。 「ヒトラーと暮らした」ことよりも、これなんだよな、と思った。パリという街から、山での生活へ。山荘という非日常空間が、ピエロの日常になったこと。 非日常を求めて山荘を訪れるヒトラ...

原題は『The boy at the top of the mountain』(山の頂きにいる少年)。 「ヒトラーと暮らした」ことよりも、これなんだよな、と思った。パリという街から、山での生活へ。山荘という非日常空間が、ピエロの日常になったこと。 非日常を求めて山荘を訪れるヒトラーから、ピーターがどう見えているのか。ピーターはヒトラーからの評価を求めていたけれど、ヒトラーがピーターに求めていたのは。 ヒトラーユーゲントの制服は、親戚のおじさんがたまに合う甥っ子にやる、少し額をはずんだお小遣いのよう。 山荘ではなく、町中の屋敷で、同じ立場だったら、ピーターの運命は違ったろう。良くも悪くも。

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2021/04/17

人には、人を変える力がある。善い方にも、悪い方にも。 虐げられた者、立場が弱い者ほど、不満が募る。 その不満が、権力者の力の源になる。 不満を持ち、現状に苛立ちを感じている者ほど、"力"に流されやすい。強大な権力者に操られやすい。 自分の行動が大切な人の命...

人には、人を変える力がある。善い方にも、悪い方にも。 虐げられた者、立場が弱い者ほど、不満が募る。 その不満が、権力者の力の源になる。 不満を持ち、現状に苛立ちを感じている者ほど、"力"に流されやすい。強大な権力者に操られやすい。 自分の行動が大切な人の命を奪ってしまう。そして、自分自身でそうなるように仕向けたのだとしたら・・・。 人の心はたやすく変わる。特に"死"が関わっている時は。ある時には正しいと感じていたことが、ある時には間違っているように感じるかもしれない。 自分がピエロと同じ立場になったとき、同じ行動を取らずにいられる保証なんて、誰にもない。平和な場所にいるからこそ、ピエロの行動を冷静な目で見ることが出来るのだろう。 だからこそ、忘れずにいたい。 心は簡単に動かされてしまう。間違いを正しいと信じ込まされてしまうことがある。そして、"間違い"は時に一生かけて償わなければならない"罪"になりうることを。 その事実を知っておくことは生きていく上で、大切なことの一つである気がした。

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2021/03/03

六歳で孤児となった少年(ピエロ・フィッシャ-)と聾唖のユダヤ人少年(アンシェル・ブロンシュタイン)が織りなす、友愛、葛藤、狂気、後悔、自責、寛容を描いた児童文学の秀作です。欧州に暗雲たれこめる第二次大戦前夜のパリに住む二人の少年がたどる数奇な運命、時代の狂気に翻弄されながら、...

六歳で孤児となった少年(ピエロ・フィッシャ-)と聾唖のユダヤ人少年(アンシェル・ブロンシュタイン)が織りなす、友愛、葛藤、狂気、後悔、自責、寛容を描いた児童文学の秀作です。欧州に暗雲たれこめる第二次大戦前夜のパリに住む二人の少年がたどる数奇な運命、時代の狂気に翻弄されながら、明日をも知れぬ命の灯を絶やさず再会を果たす物語に、人間があわせもつ狂気と寛容を思い知らされます。物語の折々で『エーミ-ルと探偵たち』が登場して心を和ませてくれました。

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2020/08/18

ナチスが思いやりのある優しい少年を、どんな風にモンスターに変えるかの過程を追体験できる小説。 もちろんこの小説はフィクションだけれど、これはこれからの日本でだって起こりうることだ。

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2019/03/20
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ヒトラーから贈られたヒトラーユーゲントの制服を着たピエロが『これまで生きて来て、こんなに自分が誇らしく思えたことはない』と思った。 それは前作『縞模様のパジャマの少年』から続いている主題。『役柄にぴったりの衣装を身につけてれば、その人の気持ちもよくわかるのよ』とお祖母さんの言葉が蘇る。 制服、役柄(立場)で人は変わっていく。怖いほど。 人は罪を犯す。だからこそヘルタの言葉は重い。 『自分にむかって、ぼくは知らなかった、とは絶対に言っちゃいけない。それ以上に重い罪はない』 そしてピエロへの言葉は救いと人間愛に溢れている。 『あんたは若い。まだ十六なんだから。かかわった罪と折り合いをつけていく時間は、この先たっぷりある』 エピローグが素晴らしい。 前作以上に良かった。 三部作の残り一冊の出版を熱望します。

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2019/03/07

ドイツ人の父親とフランス人の母親の元に生まれたピエロは、母とフランスで暮らしていた。第一次世界大戦で精神を病んだ父は戦後亡くなった。同じアパートの階下に住む耳の不自由なアンシェルと親友で手話で会話をしている。 ある日母親が突然倒れ亡くなってしまう。孤児となって孤児院に引き取られる...

ドイツ人の父親とフランス人の母親の元に生まれたピエロは、母とフランスで暮らしていた。第一次世界大戦で精神を病んだ父は戦後亡くなった。同じアパートの階下に住む耳の不自由なアンシェルと親友で手話で会話をしている。 ある日母親が突然倒れ亡くなってしまう。孤児となって孤児院に引き取られるが、音信不通だった父の妹が見つかりドイツで一緒に暮らすことになる。 おばさんのベアトリクスは独身で、ヒトラーの別荘である山荘の家政婦をしている。初めは純真なフランスの少年だったピエロがヒトラーを通してナチスの魔力にとらわれ、ヒトラーを尊敬するの少年となっていく。そして、ついにはただ一人の肉親であるおばさんをヒトラーの敵として告発してしまう。 純真な少年が、組織の力に染まりナチス礼讚少年へと変わっていく過程が怖い。戦後のピエロのたどる生活は悲しいが、最期は少しほっとする。

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