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ヒトラーと暮らした少年 の商品レビュー

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17件のお客様レビュー

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2018/12/31

ヒトラー所有の山荘で働く叔母に引き取られた少年が、ヒトラーに影響され、考え方も性格も変えていく。 その過程は、痛々しいです。 けれど、あの年頃で、あのようなある種閉鎖された空間で、ヒトラーに可愛がられたら、ああなってしまうのも仕方ないというか、そうだよな……と思いつつ読み進めまし...

ヒトラー所有の山荘で働く叔母に引き取られた少年が、ヒトラーに影響され、考え方も性格も変えていく。 その過程は、痛々しいです。 けれど、あの年頃で、あのようなある種閉鎖された空間で、ヒトラーに可愛がられたら、ああなってしまうのも仕方ないというか、そうだよな……と思いつつ読み進めました。 最後の最後が救いです。

Posted byブクログ

2018/09/25
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

フランスで育った、無垢な少年ピエロ。 しかし、父母を相次いで亡くし孤児となった彼を引き取ったのは、今まで一度もあったことのない叔母でした。 彼女が住み込みで働いていた屋敷に転がり込んだピエロ。 「ドイツ人」らしく見えるよう、「ぺーター」と名前の読み方を変え、フランスで仲の良かったユダヤ人の友人との記憶を消して行くピエロ。 なぜなら、その家の主人は、アドルフ・ヒトラーその人だったからです。 ヒトラーと触れ合ううちに彼の考えに魅了され、性格を変えて行くピエロ。他人の心情を思いやることができたピエロから、他者に認められることにこだわり、自分の意思通りに他者を動かそうとするペーターへと変化してゆく彼の様子は、読んでいて辛くなります。 もちろん、ヒトラーその人を「悪の根源」として批判することは簡単ですが(歴史的事実に関してではなく、この物語でピエロが変化した原因として)、周囲のピエロへの関わり方(友人から引き離して連れて来たり、ドイツへの教化を押し進めたり)にも問題があったのではないかと思います。 償いきれないことに対してどう向き合って過ごして行くかということも含めて、子どもに(どういったことが第一次、第二次対戦であったかということの一定の知識は必要ですが)読んでもらいたい本です。 特に、巻末で館の使用人から言われた「ここでなにが起きていたか知らないふりなんて、絶対にするんじゃないよ。あんたには目もあるし耳もある。しかも、何度もあの部屋にいて議事録までとってたじゃないか。全部聞いたんだよ。全部見たんだ。全部知ってたんだ。しかも、自分のしでかしたこともちゃんとわかってる。あの二人が死んだことで気が咎めてもいるだろう。でも、あんたは若い。まだ十六なんだから。かかわった罪と折り合いをつけていく時間は、この先たっぷりある。でも、自分にむかって、ぼくは知らなかった、とは絶対に言っちゃいけない。それ以上に重い罪はないんだから」というセリフは、現在に生きる私達にも強いメッセージ性があるように感じます。 自分がしたことは取り消すことができないし、そのことを記憶から消して「なかったこと」にすることは人として間違っている。過去をふまえて、「これから」どう生きるかということをしっかりとかんがえなければいけないな、と感じました。

Posted byブクログ

2018/07/20

ドイツ人の父とフランス人の母との間に生まれた少年ピエロは、パリで暮らしていましたが、両親を亡くし、叔母のベアトリクスに引き取られることになります。住み込みの家政婦をしている彼女の勤め先はベルクホーフ。そこは、ヒトラーが休暇を過ごしたり、政務を行ったりした山荘でした。そこで彼は、ヒ...

ドイツ人の父とフランス人の母との間に生まれた少年ピエロは、パリで暮らしていましたが、両親を亡くし、叔母のベアトリクスに引き取られることになります。住み込みの家政婦をしている彼女の勤め先はベルクホーフ。そこは、ヒトラーが休暇を過ごしたり、政務を行ったりした山荘でした。そこで彼は、ヒトラーと親しくなり、彼を信じ、彼に認められることだけを夢見て、ドイツ少年団の隊員として歩みだします。叔母に引き取られる前に親しくしていたユダヤ人の友人とは疎遠となり、使用人たちには高圧的な態度をとるように。ついには、叔母ベアトリクスとも対立してしまい…。

Posted byブクログ

2018/07/10

環境とかまわりの人に取り込まれて人は変わる。 特に若い10代の感受性の強い時期であれば。 「ここでなにが起きていたか知らないふりなんか絶対するんじゃない。それ以上に重い罪はない。」 忘れないって大事。

Posted byブクログ

2018/04/22
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

第一次世界大戦の兵士だったドイツ人の父とフランス人の母を持つ少年ピエロは、4歳の時に父親はPTSDによる事故死、7歳の時に母親は病死してしまい、孤児院で生活することになった。しばらくして音信不通だった父親の妹ベアトリクスに引き取られることになり、彼女が家政婦として働く職場、ドイツとオーストリアとの国境にある山荘ベルクホーフに住むことになるが、そこはヒトラーの別邸だった。 権力者と生活を共にすることで変貌していく少年の姿と、周囲の人々との関わりを描くフィクション。 それが空しいことだと自覚しながらも、ヒトラーというトラの威を借りることで増長した自分を止められなくなってしまった思春期の姿が痛々しい。 残念ながら少々不自然に感じるのは、ベアトリクスが彼を山荘に引き取ることにしたこと。 なぜわざわざ自分が暗殺を企てている場所に幼い甥を連れ込むのか。暗殺の成否にかかわらず、彼の身に危険が及ぶことは十分考えられる。 また、ピエロの変化の理由もはっきりしない。山荘の住人は頻繁に交替する兵士以外はそんなに権威を振りかざす人はいなかったし、ヒトラーも頻繁には訪れていない。また、学校でも、親しい友人は穏やかなカタリーナだった。彼が人格を変える必要はなかったのではないかと思える。 以上の点を加味しても、文章はしっかりしていて安心して読める。 ある程度歴史的背景の理解が必要なので、中学生以上向き。

Posted byブクログ

2018/03/29

暴力を嫌う少年がヒトラーとの交流によって残虐性を身に着けていく話。ひいては戦争がいかに人の心を変えてしまうか。 この話の舞台は狭い。主人公ピエロは戦場へ赴くことも人を殺すこともしない。銃も爆弾もほとんど出てこない。けれど少年期をヒトラーとと過ごしたことで間違いなく彼は非情な人間...

暴力を嫌う少年がヒトラーとの交流によって残虐性を身に着けていく話。ひいては戦争がいかに人の心を変えてしまうか。 この話の舞台は狭い。主人公ピエロは戦場へ赴くことも人を殺すこともしない。銃も爆弾もほとんど出てこない。けれど少年期をヒトラーとと過ごしたことで間違いなく彼は非情な人間になった。鳥を屠るシーンを見て吐いていた少年は肉親が殺される場面をまっすぐ見ていることが出来るようになってしまった。 すごいのはヒトラーのカリスマ性だろうか。この人に認められたい、とピエロは思ってしまったのだろう。 こう書くと一見ピエロは被害者に思えるが、物語内でそうならなかった人々を周りに描いているし、作者はピエロを被害者として扱わない。戦時中だろうが誰かに影響されようがその人の罪はその人の罪ということだろうか。 児童書ではあるけど、歴史をある程度知っている人のほうがより色々考えながら読めると思う。

Posted byブクログ

2018/03/20

フランスで生まれた純粋な少年が、ヒトラーと暮らすようになってどんどん影響を受けて変貌していく過程を描いています。 子どもの時から偏った思想を植え付けて行くことの恐ろしさをひしひしと感じました。 内容は面白く一気に読んでしまいましたが、一方で何ともいえない後味の悪さも残りました。...

フランスで生まれた純粋な少年が、ヒトラーと暮らすようになってどんどん影響を受けて変貌していく過程を描いています。 子どもの時から偏った思想を植え付けて行くことの恐ろしさをひしひしと感じました。 内容は面白く一気に読んでしまいましたが、一方で何ともいえない後味の悪さも残りました。 前作『縞模様のパジャマの少年』の時も同様の後味の悪さを感じました。 リアリティがあるのに実話ではないことへの違和感でしょうか・・・

Posted byブクログ