酸っぱいブドウ/はりねずみ の商品レビュー
すごく短い文章の中にさまざまな人生が散りばめられているシリア文学 理不尽なことや、暴力などなどさまざま ときどき皮肉な結末があったりもするし クワイク街区の中に引き込まれていきそうで怖い が、どの人物もとてつもなく強い!そして弱い どちらかと言うと「はりねずみ」のほうが読みやすか...
すごく短い文章の中にさまざまな人生が散りばめられているシリア文学 理不尽なことや、暴力などなどさまざま ときどき皮肉な結末があったりもするし クワイク街区の中に引き込まれていきそうで怖い が、どの人物もとてつもなく強い!そして弱い どちらかと言うと「はりねずみ」のほうが読みやすかった。 少年の猫、壁、鳥、樹と話しながら生きていく姿は無邪気ではあるが、なんとなくすべてを悟っているような強さを感じる やはり皆強い!いや、弱いのかな
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なんとなく星新一のショートショートみたいな雰囲気を感じた。 生きる力が伝わってくるような、それでいて生きる力をへし折ってくるようなバイタリティのある物語で、読むのにバイタリティのいる物語。 言論統制されてるシリアの作家ということで風刺性があるようだけど、その辺は勉強不足かいまいち...
なんとなく星新一のショートショートみたいな雰囲気を感じた。 生きる力が伝わってくるような、それでいて生きる力をへし折ってくるようなバイタリティのある物語で、読むのにバイタリティのいる物語。 言論統制されてるシリアの作家ということで風刺性があるようだけど、その辺は勉強不足かいまいちよくわからなかった。 ★3か4で迷って4にした私には、いい本に出会ったと思いたい「甘いレモンの理論」が働いているかも。
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お、おもしろい! この表現は、今はアウトかな… でも、エネルギーがある。ガッツがある。暑苦しい…全然目指してない世界。でも、すごい。 世界が違うとはこのことで、外国かぶれを名乗りながら、憧れの対象にはならないし、なるべくなら行きたくないと感じてしまう。 その一方でこの猥雑な強い...
お、おもしろい! この表現は、今はアウトかな… でも、エネルギーがある。ガッツがある。暑苦しい…全然目指してない世界。でも、すごい。 世界が違うとはこのことで、外国かぶれを名乗りながら、憧れの対象にはならないし、なるべくなら行きたくないと感じてしまう。 その一方でこの猥雑な強いエネルギーを目の当たりにしてみたいという、怖いもの見たさな気持ちもわいてくる。 でも、本当に相当な覚悟が必要なことはわかる。 作者もイギリスに避難しているらしいが、 それでも祖国を捨てておらず、何度も「里帰り」もしているし、母語で書いているとのこと。祖国への思いを感じる。 「酸っぱいぶどう」話により、生理的に受けつけない人はいると思います。万人受けではない。 キレイな日本しか知らない人はダメかも… 性暴力を受ける女性、性的にたくましい女性、どちらも出てきます。 さらに暴力、貧困、カネ…いろいろ出てきます。 スゴいです… 「はりねずみ」たくましく、でも木や壁や猫とも会話ができる、子どもの視点の作品。勝手に5歳児くらいをイメージ。自分とその家族の物語。最終章では30年後が描かれる。 どちらもちょっとマジックリアリズムテイストあり。SFではないけど、異界も身近にある… そして、ざわざわしている中、自分の世界だけが無音のような感覚を思い出す、不思議な作品でもありました。 最近いろいろな国の文学に触れておこうとしているシリーズ(自分として)。 アラブ系は、本当に初めて。 訳者の方のチャレンジに感謝。 図書館で、私の前に借りた方の記録が挟まれていて、次の参考にさせていただき(笑)。 戦争も侵略も、小競り合いもない方がいい。 なくても社会が成熟していくのが一番良いのですが… 本書は、それがある故のパワーを感じる作品。だから辛い部分も、楽しい部分も共存している。 2024.3.18から読み始め。だいたい1ヶ月弱で読了。たやすくはなかったけれど読み応えのある1冊でした。 星4つは少ないですが、4.6くらい。満点ではない。 やっぱり暴力やレイプ、セックスがらみの話は少し腰が引けてしまう…
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初めてシリア文学を読んだ。たくさんの短編が詰まった作品だった。 初めてこの本を読んでみて思ったのは時に面白いとは思わなかった。 しかし、人が殺されたりする場面や残酷な場面が多いと思った。思いもよらず不運は訪れ、それは一瞬で起り人の死は儚いものだと思った。そして人間の心もわからない...
初めてシリア文学を読んだ。たくさんの短編が詰まった作品だった。 初めてこの本を読んでみて思ったのは時に面白いとは思わなかった。 しかし、人が殺されたりする場面や残酷な場面が多いと思った。思いもよらず不運は訪れ、それは一瞬で起り人の死は儚いものだと思った。そして人間の心もわからないもので、どんな行動に出るかもわからない。 あとこの作品に出てくる女の人も男の人たちも浮気したり不倫したりレイブしたりお酒やタバコが出てきて、あれイスラム教、、、、って思ってあれ??ってなった もっとアラブやシリアのことをもっと知ってたらこの作品をもっと深く味わうことができたのではないか。
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アラブでも短編の名手として知られるシリアの作家、ザカリーヤー・ターミルの作品。中でも本二作は紛争前に執筆されたもの。「酸っぱいブドウ」は強きが弱きを挫き、持つ者が持たざる者を虐げるシリアの日常を風刺した寓話59編(!)から成る。60歳で身篭った胎児と共に永遠の眠りにつく女、出世の...
アラブでも短編の名手として知られるシリアの作家、ザカリーヤー・ターミルの作品。中でも本二作は紛争前に執筆されたもの。「酸っぱいブドウ」は強きが弱きを挫き、持つ者が持たざる者を虐げるシリアの日常を風刺した寓話59編(!)から成る。60歳で身篭った胎児と共に永遠の眠りにつく女、出世のために妻の不貞に目を瞑る男、強姦罪を申告しようとした先々で繰り返し犯される女…。各々が欲を追った結果を淡々と突き付けるも、どの話もどこか他人事に聞こえてしまう。まるでアラブの人々が興じる根も葉もない噂話のように…。「はりねずみ」は打って変わって少年の視点から日々が描かれる。質問攻めに辟易する両親、いじわるだが時に優しい兄、話し相手になってくれる壁や猫。しかしあどけない彼も父の手に引かれ街中を歩けば、圧倒的な暴力の残滓を目の当たりにし、やがて嫌が応でも成長していくのだった。 「酸っぱいブドウ」はあまりにも短編の数が多くて途中放り投げそうに…。シリア人のおばちゃんの長話に付き合わされていた頃の感覚と全く同じで、一瞬中近東に戻ったかと思った。そのせいもあって個人的には「はりねずみ」の方が、シンプルな残酷美があって好き。しかしいずれの作品でも理不尽の権化として描写される「警察」が、その後戦火に呑まれたシリアを示唆していると思う。作者が紛争後に執筆した作品があれば、そちらも是非読んでみたいと思った。
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中東の風景、街の喧騒が思い出されて、楽しかった。 お金や暴力、人の命に対する考え方が、日本にいるとずいぶんとかけ離れている。そう、アリババと盗賊の時代と同じ感じ。この地域に少しは住んでいたから、そうそう!こんな風やったな!と膝を打つ。もちろん作り話であって、今現在、実際にこんな社...
中東の風景、街の喧騒が思い出されて、楽しかった。 お金や暴力、人の命に対する考え方が、日本にいるとずいぶんとかけ離れている。そう、アリババと盗賊の時代と同じ感じ。この地域に少しは住んでいたから、そうそう!こんな風やったな!と膝を打つ。もちろん作り話であって、今現在、実際にこんな社会なのかと言われたら困るけれど、分かるな~というところもある。。。 私が一番おもしろかったのは、女たちの、この地域の社会、宗教的に認識されているようなイメージと違う顏が描かれているところ。 浮気性だったり男をぎゃふんと言わせたり。 『はりねずみ』の「僕」は、純粋でとてもかわいい。父母や兄の典型的なアラブの家庭的役割的なところも、見本のようでおもしろい。この「僕」はターメルさん本人なのかしら。
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