対訳 21世紀に生きる君たちへ の商品レビュー
「作家さんからの手紙って良いよね」 むかし旧友はそう言って、「21世紀に生きる君たちへ」を紹介してくれた。時が経ち、旅行先の本屋さんで同名の本書(しかも英訳付き)を発見した際には、何かに取り憑かれたように購入していた。 帯には、歴史学者の磯田道史氏(自分は「第二の司馬遼太郎」と勝...
「作家さんからの手紙って良いよね」 むかし旧友はそう言って、「21世紀に生きる君たちへ」を紹介してくれた。時が経ち、旅行先の本屋さんで同名の本書(しかも英訳付き)を発見した際には、何かに取り憑かれたように購入していた。 帯には、歴史学者の磯田道史氏(自分は「第二の司馬遼太郎」と勝手に呼んでいる笑)による「司馬さんのメッセージを今こそ読み取らなければいけない時期にきている」という文言が刻まれている。21世紀に入って四半世紀を迎えようとしている今、未来ある子供たち宛の「遺書」を紐解いてみた。 司馬さんが「21世紀を迎えられないかもしれない」と、これからの生き方について綴った「21世紀に生きる君たちへ」他、そのまえがきとも取れる短文「人間の荘厳さ」、エッセイ「洪庵のたいまつ」が収録されている。出典によると、いずれも小学校の教科書に掲載されているらしい。 そして、対訳の英文。日本人にも分かりやすい表現で構成されているから、英文だけで読んでも苦にならない。(中学英語の教科書を想像していただけると良いかも) 日本語の後で読んでみたり、同時並行で読み比べてみても良いだろう。 さすがキーン氏(監訳担当)と言うべきか。司馬さんの緩やかな文体と波長が合っているようにも感じ取れる。英語は、日本語圏以外の子供たち宛かな。 「君たち。君たちはつねに晴れ上がった空のように、たかだかとした心を持たねばならない」 “All of you. You must have a lofty heart, like a sky that is always clear.” 司馬さんは子供たちに「たのもしくあれ」と説く。自己を確立し、相手を思いやることで「たのもしい君たち」へと育っていくのだと。 ここで難しいなと思うのが、「たのもしさ」の真意である。 上記のような人は確かに有難いが、ここでは「頼りになる」の意味にはならないのではないだろうか。英訳の方も”trustworthiness”、直訳すると「信頼するに値する(人)」になっており、司馬さんの言う「たのもしさ」とは少しニュアンスが違う気がする…。 後に続く「晴れ上がった空」のくだりのように、「自己の確立」「相手の思いやり」を忘れることのない揺らぎのない心、それが「たのもしさ」だと言いたかったのかなと、今は解釈している。(単なる自分の思い過ごしであれば、申し訳ない限りです…汗) 「洪庵のたいまつ」も、蘭学者 緒方洪庵の「たのもしさ」に焦点を当てている。 塾生は身分関係なく受け入れ、医者として人を救うことにひたすら人生を捧げてきた。塾生時代を描いたフィクション小説『緒方洪庵 浪華の事件帳』(築山 桂著)の心優しい洪庵そのままだった。大坂を発ったあのラストから、彼らしく一生懸命道を切り開いてきたんだなー…。 晩年の話までは知らなくて、最後の方は涙ぐんでいた。 遺言は守るもの。忘れてしまいそうなら、何度でも読み返せば良い。 たとえ司馬さんが「未来」という街角にいなくても、司馬さんの言葉がそこで「たのもしい」光を放っている。
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あと20年早く出会いたかった…。物語を紡ぐ人、ものづくりに励む人、教育に関わる人は年イチで読み返すべき名著。 人間とは何か。未来に必要なものは何か。近代から狂ってしまったことをどう戻せば21世紀は明るくなるのか。 歴史を学び、楽しみ尽くした司馬遼太郎が、日本にとどまらず、NYの...
あと20年早く出会いたかった…。物語を紡ぐ人、ものづくりに励む人、教育に関わる人は年イチで読み返すべき名著。 人間とは何か。未来に必要なものは何か。近代から狂ってしまったことをどう戻せば21世紀は明るくなるのか。 歴史を学び、楽しみ尽くした司馬遼太郎が、日本にとどまらず、NYの子でもアフリカの村の子でも、人間である限り、必ず通じる「大事なこと」だけを検証を重ねて、短く短く研ぎ澄ませた一冊。
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初めて読んだ司馬遼太郎の作品。短い中に想いが詰まってました! 人のために何かをする、いたわる。 その気持ちと行動の積み重ねが生きる上で何より大事で、それによって、私たちは繋がれてきた命なんだなと感じました。シンプルなことだけど、余裕のない現代人に非常に刺さる気がします。 人...
初めて読んだ司馬遼太郎の作品。短い中に想いが詰まってました! 人のために何かをする、いたわる。 その気持ちと行動の積み重ねが生きる上で何より大事で、それによって、私たちは繋がれてきた命なんだなと感じました。シンプルなことだけど、余裕のない現代人に非常に刺さる気がします。 人はどうしても思い上がってしまう生き物だから、忘れないように現代に残してくれて、ありがたいなぁ。子供にも何度も読んであげよう!
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中身はいろいろなところで読むことが出来るが、先日訪れた司馬遼太郎記念館でオリジナルの書籍が売られていたので思わず購入。 落ち着くまで積読としておく。
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司馬先生の優しい言葉が心にスっと入ってきます。 人間は永遠ではないからこそ、次の世代や未来に夢をみるのかなと思いました。 いつか、どこかの世界で司馬先生にお会いできたら、未来は素晴らしいですよと胸を張って伝えられるようになりたいです。
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司馬遼太郎記念館にある書庫の壁にかけられたのを読みましたが、温かい文章が凄く印象的でお土産に本も買いました。凄くきれいな文章、優しいし。司馬先生の壮大な思考がメッセージの裏にある。
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優しく温かい言葉。 読んでいて心動かされます。 こんな文章が書けるって、やっぱり司馬遼太郎は私にとって特別な作家さんです。
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内容は哲学的だと感じました。 しかし、子供向けに執筆されたとあって大変わかりやすく、すんなり入ってきます。
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司馬遼太郎記念館に行った時に買った本を久々に読み返しました。 歴史小説家として知られる司馬遼太郎さんが、未来ある21世紀の"君"へ書いた手紙のような本。 ・君たちには私にはない未来がある ・人間は自然によって生かされている ・自己を確立すること ・武士がい...
司馬遼太郎記念館に行った時に買った本を久々に読み返しました。 歴史小説家として知られる司馬遼太郎さんが、未来ある21世紀の"君"へ書いた手紙のような本。 ・君たちには私にはない未来がある ・人間は自然によって生かされている ・自己を確立すること ・武士がいた頃のように、"たくましさ"を持て といったメッセージが詰まった本です。 読む度に今の自分の過ごし方を見つめ直させられるような、魂のこもった賢者からのメッセージ。
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これまで何度読み返したか分からない。 いつ読んでも清々しい気持ちになる。 遠くの美しい山並みを眺めるように広々とした気分になる。 人の生命には限りがあるが、言葉に宿った命は永遠だと信じさせてくれる。司馬先生も緒方洪庵も今でもこの時代に生きているようにその言葉や生き方には体温が宿...
これまで何度読み返したか分からない。 いつ読んでも清々しい気持ちになる。 遠くの美しい山並みを眺めるように広々とした気分になる。 人の生命には限りがあるが、言葉に宿った命は永遠だと信じさせてくれる。司馬先生も緒方洪庵も今でもこの時代に生きているようにその言葉や生き方には体温が宿っている。 この本は21世紀の担い手になる若者に向けての司馬先生の遺言のようなメッセージだが、すでに老境に差しかかった私のような者の胸にも明かりを灯してくれる。 司馬先生もまた洪庵のたいまつに連なった方だった のだ。
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