ラブという薬 の商品レビュー
“「辛い」っていう一個の言葉にも、いろいろあるんです。だから、「辛い」と言われたときに、「辛いってこういうことだよね!」ってすぐ自分の「辛い」に置き換えてアドバイスするよりも、「それは辛いよね~」みたいな感じで、おおざっぱに相手の側に立ってから、徐々に解像度を高くしていったほうが...
“「辛い」っていう一個の言葉にも、いろいろあるんです。だから、「辛い」と言われたときに、「辛いってこういうことだよね!」ってすぐ自分の「辛い」に置き換えてアドバイスするよりも、「それは辛いよね~」みたいな感じで、おおざっぱに相手の側に立ってから、徐々に解像度を高くしていったほうがいいんですよね。そうやって相手の「辛い」がどういう「辛い」なのかを掴もうとするのが、共感なんだと思います。”(p.121) “慎重になるしかないと僕も思います。この人はこう言っているけど、実は違うんじゃないかな、みたいなことを言って、みんな冷静になるのを待つしかない。いったん持ちかえる、みたいなのもいいですよね。なんか、先延ばしとか後回しにすることって、批判されがちですけど、変にインスタントな結論を出すよりずっといいんじゃないのかな、と。”(p.221) “俺は21世紀に最も人を狂わせるのは、承認欲求だと思ってる。”(p.199)
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読み終わってとにかく面白かった、良い本だった、こんな風に生きられると良いよねー!って思って、人にオススメまでするけど、何読んだかあまり覚えてない本。
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白か黒か、ではなくグレーであること。 本音よりタテマエを。 スピード感より発酵を。 今の世の中を生きてると、なかなか忘れがちだったことをもう一度思い出させてくれた。 あんまり生き急がないようにしようと思う。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
いとうせいこうさんと星野概念さんは口ロロ(クチロロ)バンドのメンバーとサポートメンバーという関係であり、星野さんはいとうさんが通っている精神科の医師。つまり患者と主治医の関係でもある。二人が、いとうさんの悩み、星野さんの悩み、精神医療の基礎や診療のシステム、怒りの表明の仕方、SNSを始めとしたインターネットのスピード感への危惧、社会への不安などを語り合っている。 【傾聴は愛】 印象に残ったのは傾聴や共感への考え方。 いとうさんは傾聴について次のように話している。 “今、星野くんの話を聞いてたら、やっぱり傾聴って愛だよなと思った。愛してるよ、と自分が言うよりも、まずその人の話すことをとにかく聞く。逆に愛されるっているのは、相手に自分の話を聞いてもらうことだと思うんだよ。” また、星野さんは次のように話す。 “今、聞いていて思ったんですけど、やっぱり傾聴するってこと自体が、「YESの姿勢」っていうか、相手を論破しようとしてないんですよね。” 職業柄、自分よりずっと年下である生徒と面談する機会は多い。その中で相談を受けたりアドバイスを求められたりする。生徒の社会経験の少なさや精神的な未熟さから、本人にとって大きな悩みも大人からしてみたら些細なものだと感じてしまうことはある。しかし、こちらが些細だと感じたとしても当事者からしてみたら、重大で深刻で繊細な問題である。そこで分かった顔をして大人なアドバイスをしても、本人には届かない。悩みを抱いている本人の気持ちに寄り添うこと、寄り添う意思があることを伝える手段として傾聴があるのではないかと思う。まずは相手の思うことを受け止めるところから対話は始まるのではないかと。そして、この姿勢や態度は生徒との関係に限らず、保護者、同僚、人間関係全般に通じることだと思う。 【傾聴の仕方を見る】 2人の対話をまとめたものであるが、患者と主治医という関係でもあるので、精神科の個室の中での様子を文字を通じて見ているかのように感じた。 傾聴の技術や方法について書かれた書籍は数多くあるし、この本の中でもそれらの技法について言及されている。しかし、技法を知識として知っていても、具体的にどのような言葉や態度として現れているかは、精神科医やカウンセラーをしている者自身か、患者としてそれらの職業の方から話を聴いてもらった者にしか分からない。 本書の対話の中で星野さんは、いとうさんの話に耳を傾け、共感し、感情にラベルを貼ったり言い換えたりしながら対話を進めていく。これらは傾聴そのものではないかと感じた。(星野さんはプライベートで意見に齟齬が生じ口論になりそうなときも、相手の話を傾聴し解決を試みるそうだ)。2人のやりとりを見て、精神科医やカウンセラーの話の聴き方はこういうものだ!というのは言いすぎかもしれないが、傾聴や共感というのは具体的にはどうすれば?という疑問には、星野さんの軽やかな話の受け止め方が何かしらのヒントになる。 他には、ある出来事があったときにSNS上で即座にリアクションを求められている(ように感じてしまう)ことや「炎上」など、ここ最近のSNSへの違和感にも言及している。 即効性があるわけではないけれど、社会になんとなく違和感を感じている人やなんとなく生き辛さを感じている人の気持ちを救うような一冊。
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もしどうしてもキツかったら、星野概念さんのとこいけばいっか。いとうせいこうさんも行ってるし。と思える事でとても救われた
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いとうせいこうと主治医の星野医師の対談を本にしたもの。 精神科での治療方法からいとうせいこうがはまっているアプリの話まで、話題が飛んで広がっているようで、一つの話題に収束していく感じが対談ならではで読んでいて楽しい。 星野医師の診察を受けてみたくなります。
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星野概念、ただものじゃない! とても穏やかな語り口で鋭い。 ほんと、カウンセリングを受けたくなるような。
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MCとサポートギタリストから、患者と主治医へ。 カウンセリングへの敷居を下げる本。 気持ちが辛くなったら、もっと気軽に精神科医を訪ねてもいい。 合わない人に当たっても、 諦めないで他の人を訪ねて自分に合う人をさがす。 大きな悩みに発展するまで放置せず、 テーマをもって話そうなんて...
MCとサポートギタリストから、患者と主治医へ。 カウンセリングへの敷居を下げる本。 気持ちが辛くなったら、もっと気軽に精神科医を訪ねてもいい。 合わない人に当たっても、 諦めないで他の人を訪ねて自分に合う人をさがす。 大きな悩みに発展するまで放置せず、 テーマをもって話そうなんて撮れ高を気にせず、 何でもないことから気軽に話せるような関係を持つことの大事さ。 最初は、精神科で実際にどんなことが行われているのかを知ることができ、 徐々に、今の時代の窮屈さや悪い流れに抗うにはどうしたらいいのか、 という問題が浮き彫りになっていく。 「共感」と「傾聴」というキーワードが、 今の流れを変えていく大きな力になる。 「承認欲求」という甘美なドーパミンに、 SNSの気軽さと目に見える数字という分かりやすさが勢いをつける。 短絡的にビビットなものへ流れ、感情による脊髄反射だけが全体を席巻していく。 もう読みながら、終わりの方なんて、付箋つけまくりですよ。 共感・傾聴しても、 相手を受け入れ尊重しすぎて、相手の自己責任にしてしまう危険性とか、 指示しすぎて相手への責任感が強まってしまう窮屈さとか、 微妙で加減の難しい問題。 多様性を大事に、と言われた中にも、 こぼれ落ちてしまう人がいることを想定すること。 「義」はジミすぎて評価が低く、それを欠いた議論は息苦しい。 「自己責任」を言うのは、自分が責められたくない自己防衛の裏返し。 以前であれば生きている間に認められないようなレベルだった承認が いとも簡単に得られるようになったことの危険性。 本音だけの世界で、損することを極端に忌避し、相手への攻撃性が増していく。 「いいね」を感情ですぐ出すのではのなく、 考えた末の「うまいね」が広がっていく方がいい。 何に対しても意見を求められると思いこむ中で、 考えるヒマもない中で人の意見に乗っかる形でリツイートしつづけることによって 無意識に自分を過大評価していく流れ。 ツイッターに、投稿がすぐに反映されず猶予を持たせる「1分機能」をつけるだけで、 いま一度、立ち止まって考えることができる。 誰もが何に対しても一家言持ってないといけないわけでもないし、 すぐに反応するだけがイイことではない。 単純で目につきやすい刺激物に囲まれて考える余裕がなくなっていく。
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うつの人が増えた現代においては昔ほどではないけど精神科に通っていますというのは中々周りには言えない。 でもこの本を読むと、カウンセリングを受けるというのは実は友達の所におしゃべりにしにいくことの延長なんだなと思えます。 もちろんそんなに気軽にはいかないパターンもあると思います...
うつの人が増えた現代においては昔ほどではないけど精神科に通っていますというのは中々周りには言えない。 でもこの本を読むと、カウンセリングを受けるというのは実は友達の所におしゃべりにしにいくことの延長なんだなと思えます。 もちろんそんなに気軽にはいかないパターンもあると思いますが、この本では人に弱音を吐いたり、相談したりしてもいいんだよということを教えてくれてホッとします。 通常、カウンセリングにおいては守秘義務があるのでカウンセラーとクライエントの会話が外に漏れるという事はありえない。 だからこそ、この本の存在意義は大きいです。 おすすめです。
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