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孤島の祈り の商品レビュー

3.9

8件のお客様レビュー

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2023/12/19

読者という安全圏から、悲惨と呼べる類の冒険を満喫するのが好きだ。悪趣味だとは思うけれど、王道な児童文学の冒険とはまた違う読書の面白さがある。殺人がメインのミステリーとはまた違った絶望感と高揚感。 人の生命力とは、どこで決まるのだろう。肉体的な強さや運動能力、メンタルの強さなどがや...

読者という安全圏から、悲惨と呼べる類の冒険を満喫するのが好きだ。悪趣味だとは思うけれど、王道な児童文学の冒険とはまた違う読書の面白さがある。殺人がメインのミステリーとはまた違った絶望感と高揚感。 人の生命力とは、どこで決まるのだろう。肉体的な強さや運動能力、メンタルの強さなどがやはり影響するのだろうか。私はこのような状況に陥ってしまったら最初に死んでしまうだろうななどと、南極に行く予定もないのに考えてしまった。

Posted byブクログ

2020/11/17

甘い情緒性すらある装丁に騙されるとえらい事だ。 2部構成で成り立っており、1部はサバイヴァルストーリー、2部は・・。読みやすく、最後まで堪能できた。 個人的には2部のまとめ方に共感。特にJ・オーウェルの「1984」の内容に感銘し、生きて行くあゆみを再スタートした彼女の結び方が素晴...

甘い情緒性すらある装丁に騙されるとえらい事だ。 2部構成で成り立っており、1部はサバイヴァルストーリー、2部は・・。読みやすく、最後まで堪能できた。 個人的には2部のまとめ方に共感。特にJ・オーウェルの「1984」の内容に感銘し、生きて行くあゆみを再スタートした彼女の結び方が素晴らしい。 「作り話である小説がこんな風に現実と重なることがあるとは思ってもみなかった。今この時を体にも心にも刻み付けようと立ち尽くした」 長々とした注釈は吹っ飛び、内観では何も変えられない・・まさにそう! 原題「二人きり」の「二人」が持つ意味が輻輳して心に響く。 ラスト、「夢中で駆け下りた彼女」 ちょうど一年前、「幸せに酔った二人」の子供だった。 余りのリアル感が素晴らしい一部、ストロネムス島は架空の島、モデルはサウスジョージア島・・捕鯨基地がありキングペンギンの繁殖地があるとこはそのまま。 ネズミの獰猛性、冬が近づいてくる恐怖感、恐怖が人間的なものから動物的なものへと変わって行く瞬間、文明の発展と共にその恩恵に浴することでその祖先の理解と知恵を失っていくプロセスはまさに! 2部で「話すことで心が解放されて行く」のが掴める。しかし、ジャーナリストの「変な使命感」に振り回されることから脱して、自らの足で立ち上がって行くのは筆者が遭難を始め種々の経験を糧に書き上げていることがよく解る。ジュラ島、コリーヴレッカン海峡をネットで見てみた。テレンス夫妻の要望も想像してみた文字が語り掛けることで人が立ち上がる魂の力は勇気を与えてくれる。 ユーゴーの詩を引用し、亡きリュドヴィックの最期の眼がいつまでも彼女の心の奥から消えなかったことに触れている・・≪その目は墓の中にいてカインを見ていた≫

Posted byブクログ

2018/09/20
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

前半が凄まじい。いくら愛し合っていても極限の状況に置かれると、思いやりより自分の命を失わないことが最優先になるのが本能だと突きつけられる。 南極近くの島で遭難と聞くとシャクルトン隊のことを思い出すが、二人しかいないと役割分担や気分転換が難しく、精神的にも追い詰められてしまう。愛し合う二人ですらこうなんだから、そうでなかったらと思うとぞっとする。 本当にどうしようもないとき、宗教を捨てた人間でも神に祈る。(これが日本語版のタイトルになっている。) 主人公が調査基地にたどり着き、食べ物を手当たり次第に食べていく様子は、それまでの空腹を知っているから、とんでもなく旨そうに思える。これほど旨く感じられる食事のシーンはないんじゃないかと思えるほど。 後半は生き残った者の事実の改竄についての苦しみが描がかれる。しかしおわり方はちょっと納得できなかったな。 日本人的にはなぜ魚を獲ろうとしなかったかが不思議。 「最初は自分勝手に演出しているようで気が咎めたが、徐々に現実と物語を区別しなくなった。そこに嘘があるわけではなく、ただ改良と欠落があるだけだと思うようになった。(中略)大事なのは気の利いた話かどうかであって、どこまで事実に忠実かではない。そもそも誰も真実を確かめられない。それにある種の事柄は複雑かつ微妙で、わかりやすく語ることができない。(p186)」

Posted byブクログ

2018/05/29

罪悪感と生存本能。極限に追い込まれ、生き延びたとしても抱える苦悩。 亜南極海の孤島で遭難した夫婦のサバイバル生活と、その後の物語で構成されているが、著者が遭難経験もある海洋冒険家故か、描写のリアルにまずは慄かされる。 閉じられた世界の中で、人は人たらんとして新たな社会性を生み...

罪悪感と生存本能。極限に追い込まれ、生き延びたとしても抱える苦悩。 亜南極海の孤島で遭難した夫婦のサバイバル生活と、その後の物語で構成されているが、著者が遭難経験もある海洋冒険家故か、描写のリアルにまずは慄かされる。 閉じられた世界の中で、人は人たらんとして新たな社会性を生み出し、そしてあっさりと喪ってしまう。生き延びて帰ってきた「これまでの社会」は、でも自分をこれまでと同様には扱ってくれない。 実は我々もいつ陥るか分からない社会と文明のエアポケットの恐ろしさ、そこから立ち直る難しさを考えさせられる作品だった。

Posted byブクログ

2023/10/27

「孤島の祈り」 イザベル・オティシュ ★★★★☆ ものすごくリアリティがあります。 「ロビンソン・クルーソー」とか「十五少年漂流記」は南国の無人島だから単純な冒険ものとして読めます。しかし、本作はもうすぐ南極の高緯度地帯です。死が身近です。あるのは昔の捕鯨基地とペンギンだけ。。...

「孤島の祈り」 イザベル・オティシュ ★★★★☆ ものすごくリアリティがあります。 「ロビンソン・クルーソー」とか「十五少年漂流記」は南国の無人島だから単純な冒険ものとして読めます。しかし、本作はもうすぐ南極の高緯度地帯です。死が身近です。あるのは昔の捕鯨基地とペンギンだけ。。ハッキリ言って絶望です。生き残れる気がしない。 どうやら著者のイザベルさん自身が、2度洋上で遭難したことがあるそうです。だからなんかリアルなのか! 冒険小説として読むと第2部で一気にトーンダウンしてしまうのが難点です。 小難しい第2部なんて用意せずに無人島だけ扱えば映画化待ったなしだぞ!

Posted byブクログ

2018/04/14

ペンギンを食べながらのサバイバル.愛し合っていた二人はだんだん過酷な状況の中で心が壊れていく.ただ生きたいという生存本能の前にルイーズはリュドヴィックを置いて基地を探す.そのことにルイーズは苦しむ.それは許されることなのか?と.どうなることかとハラハラドキドキでどんどん読んで,最...

ペンギンを食べながらのサバイバル.愛し合っていた二人はだんだん過酷な状況の中で心が壊れていく.ただ生きたいという生存本能の前にルイーズはリュドヴィックを置いて基地を探す.そのことにルイーズは苦しむ.それは許されることなのか?と.どうなることかとハラハラドキドキでどんどん読んで,最後の彼女の現実を受け入れる力に感動した.

Posted byブクログ

2018/04/13

「あちら」はそれなりに劇的だったので、「こちら」もドラマチックかなと期待しましたが、それほどではなかったかな。

Posted byブクログ

2018/02/11

ふとしたイタズラ心で招きよせてしまった災難。 絶海の孤島にで船を失い、パートナーと二人、極寒のサバイバル。 徐々に壊れていく精神、二人の関係。それでも生にしがみつく。 リアリティ溢れる生々しい描写が凄い。

Posted byブクログ