『ドラゴンマガジン』創刊物語 の商品レビュー
本の感想で「ラノベみたい」という表現がよくあります。それは「読みやすいように文章や構成に工夫が為され、若者の心をつかみ取り奮起する」という意味では使われていないのでしょうね。 これだけ多くの人が読み、読書の入口ともなっている「ラノベ」ですが、その評価はあまりにも貶められていると感...
本の感想で「ラノベみたい」という表現がよくあります。それは「読みやすいように文章や構成に工夫が為され、若者の心をつかみ取り奮起する」という意味では使われていないのでしょうね。 これだけ多くの人が読み、読書の入口ともなっている「ラノベ」ですが、その評価はあまりにも貶められていると感じるのです。 では、一体「ラノベ」とは何でしょうか。それを今に通じるラノベの黎明を築いた雑誌『ドラゴンマガジン』の創刊から見ていくのが本書なのです。 メディアミックスを戦略として用いる、ビジュアルを重要視する、特集ページで作品やキャラクターを強く推していく。しかしその核にあるのは物語なのです。活字離れと言われている(いつの時代でも言われているのですが)若者に、活字で物語を楽しむ喜びを伝えるために、あの手この手が提供されていくのです。メディアミックスもビジュアルも全てが小説を楽しむために呈されるのです。 雑誌創刊時に関わっていた人たちへのインタビュー、雑誌に掲載された記事、読者の声などから『ドラゴンマガジン』が生まれた理由や意義が述べられます。 残念ながら僕自身は『ドラゴンマガジン』を購読していませんでした。しかしこれを読むと何と楽しそうなのでしょうか。 当時「オタク」に対する風当たりが強くなっていった時代です。ファンタジーを読むことをおおっぴらに言えないような風潮もありました。そんな中であなたたちが好きなものを用意したよと提供し、好きな気持ちを肯定してくれ居場所を与えてくれた雑誌の存在は大きかったでしょう。(僕も別の雑誌でそれを体感しています。)そんな想いを込めて贈られた小説たちを表わす言葉として、読み手側が名付けたのが「ライトノベル(ラノベ)」だった。そこには作り手(出版社、編集、作家など)と受け手(読者)の幸せな関係性が見て取れます。 だからこそラノベを大切に扱っていきたいのです。狼煙を上げた先駆者たちの想いを受け継ぎたいのです。だからこれからもラノベを若者に届けていきます。
Posted by
- 1