夢魔去りぬ の商品レビュー
660 西村 賢太(にしむら けんた) 一九六七年七月一二日、東京都江戸川区生まれ。中卒。二〇〇七年、『暗渠の宿』で第二九回野間文芸新人賞を、二〇一一年、「苦役列車」で第一四四回芥川龍之介賞を受賞。著書に『どうで死ぬ身の一踊り』『二度は行けぬ町の地図』『小銭をかぞえる』『廃疾か...
660 西村 賢太(にしむら けんた) 一九六七年七月一二日、東京都江戸川区生まれ。中卒。二〇〇七年、『暗渠の宿』で第二九回野間文芸新人賞を、二〇一一年、「苦役列車」で第一四四回芥川龍之介賞を受賞。著書に『どうで死ぬ身の一踊り』『二度は行けぬ町の地図』『小銭をかぞえる』『廃疾かかえて』『随筆集 一私小説書きの弁』『人もいない春』『寒灯・腐泥の果実』『西村賢太対話集』『一私小説書きの日乗』『棺に跨がる』『歪んだ忌日』『けがれなき酒のへど 西村賢太自選短篇集』『一私小説書きの日乗 憤怒の章』『薄明鬼語 西村賢太対談集』『随筆集 一私小説書きの独語』『やまいだれの歌』『下手に居丈高』『一私小説書きの日乗 野性の章』『無銭横町』『痴者の食卓』などがある。 夢魔去りぬ (講談社文庫) by 西村賢太 「何んだよ。何がおかしいんだい」 「うん、確かにあの女の人は、なんか見ててずいぶんと可哀相だったけど、あなたがそういうこと言うのが意外過ぎたから。普段はフェミニズムの、フの字もない人なのに」 「…………」 この言には咄嗟に返す言葉も出ないまま、一寸黙り込むかたちとなった貫多に、秋恵はふと気付いたみたいにして、自らのトートバッグの中からコンパクトを取りだし、その鏡の部分を彼の鼻先に突きつけてくる。
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相変わらず面白い。 本作では主人公の理不尽な怒りがエスカレートして、頻繁にツバを吐いたりするのがすごい。 狂ってるー。 期待を裏切らないいつも通り感。 鍋を買って喧嘩とかせせこましくて面白いし、魚の一件は秋江が逃げてしまうことの暗示のようでおもわせぶりでよきよき。 主人公の他人を...
相変わらず面白い。 本作では主人公の理不尽な怒りがエスカレートして、頻繁にツバを吐いたりするのがすごい。 狂ってるー。 期待を裏切らないいつも通り感。 鍋を買って喧嘩とかせせこましくて面白いし、魚の一件は秋江が逃げてしまうことの暗示のようでおもわせぶりでよきよき。 主人公の他人を評する際の嫌な感じも楽しいし、せせこましい人間のくせに喧嘩の時の啖呵だけ立派なのも楽しいし、一切退屈しない。言葉への並々ならぬこだわりが、倦怠を拒絶する。読んでいるだけで快楽。
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同居女性にDVを繰り返す小心な男の日常。日本の近代文学のお家芸である私小説にあたるらしいのけど、じめっと陰湿な感じ。著者の日常が反映されているんだろうけど、ここまで心象を描いていながら、それでもDVやめられませんか、って思った。 同居女性の言動にムカついて暴力や怒号に走るんだけど...
同居女性にDVを繰り返す小心な男の日常。日本の近代文学のお家芸である私小説にあたるらしいのけど、じめっと陰湿な感じ。著者の日常が反映されているんだろうけど、ここまで心象を描いていながら、それでもDVやめられませんか、って思った。 同居女性の言動にムカついて暴力や怒号に走るんだけど、その発火点になる言動や男の心象がけっこう子細に書かれていて、なるほど、女性にそう言われたり、そうされると腹も立つよなあ、とは思う。でもだからって暴力に訴えちゃやっぱいかんよね。
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作者の作品を読んでいる時、北町貫多の怒りの頂点を少なからず期待しながら読んでいる。その怒りの後の感情の移り変わりにも興味がある。私自身も癇癪持ちで怒りの後のむなしさをよく理解できる。北町貫多が怒り殴った後は読んでいてもむなしくなる。少し落ち込むがこの作者の作品をまた読みたいと思い...
作者の作品を読んでいる時、北町貫多の怒りの頂点を少なからず期待しながら読んでいる。その怒りの後の感情の移り変わりにも興味がある。私自身も癇癪持ちで怒りの後のむなしさをよく理解できる。北町貫多が怒り殴った後は読んでいてもむなしくなる。少し落ち込むがこの作者の作品をまた読みたいと思い読んでいる。興味深い作家さんである。
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単行本「痴者の食卓」を改題。 おおいにいつもの調子。 まさかの「タクシードライバー」的場面! ■人工降雨 @秋恵との頃。 ■下水に流した感情 @秋恵との頃。 ■夢魔去りぬ @執筆現在。 ■痴者の食卓 @秋恵との頃。 ■畜生の反省 @秋恵との頃。 ■微笑崩壊 @秋恵との頃。
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私小説作家の新境地。苛烈なる「生」の小説集 その地には、二度と足を向けまいと思っていた。三十余年ぶりに生育の町を訪れた「私」。過去との再会と訣別を描く鮮烈なる表題作のほか、北町貫多の改悛の情とその後を語る「畜生の反省」等六篇の傑作小説集。
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