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実例で見る「相続」の勘どころ の商品レビュー

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2019/09/11

吉野先生著作「土地評価に係る現地調査の重要ポイント」の続編的な書籍で、今回は著者が相続に関する相談や申告・手続きに携わったものの中から30ほどの事例を厳選し、前作同様会話形式でわかり易く解説されていた。どれも実地の経験に基づくもので実務家からすれば参考になるものばかりであると思う...

吉野先生著作「土地評価に係る現地調査の重要ポイント」の続編的な書籍で、今回は著者が相続に関する相談や申告・手続きに携わったものの中から30ほどの事例を厳選し、前作同様会話形式でわかり易く解説されていた。どれも実地の経験に基づくもので実務家からすれば参考になるものばかりであると思う。資産税に携わる方には一読の価値ありの書籍。 P2 今回の事例のように、 遺言書が遺されており、他の相続人がその内容に異議を唱えず、遺留分の減殺請求も最後まで行われないケースであれば、遺産分割協議書の作成は必要ありません。 しかし、民法では、遺留分の減殺請求の期限は遺留分権利者が、相続の開始があったことを知ったときから1年であり、相続税の申告期限である10か月よりも2か月も長く設けられています。 また、相続税法には 「小規模宅地等」 や「配偶者の税額軽減」などの特例適用においては「遺産分割協議書」などの添付が要件となっているものがいくつかあります。 このため、相続税中告の実務において、 ·「遺言書の内容を相続人の全員が承諾している場合」には、 ·「相続人全員の同意」を得て ·「遺言書と同一内容の遺産分割協議書」を作成し、 ·「相続人全員の署名捺印」を受ける というケースが少なくありません。 これにより、前述の相続税法の特例の要件を期限内に満たすことができます。 また、遺産分割協議書に相続人全員の署名捺印をもらうことで、 後日の「遺留分減殺請求」などを避けることもできます。 P26 《相談1》養子縁組をしたいが、養親となる夫が入院しており、役場に行けない。 《対応1》これは、相談者の勘違い事例です。 養子縁組は、役場に本人が出向かないと手続きできないと思い込んでいたようです。 極端な場合は、関係者一同、 全員が役場の窓口に出向かないと養子縁組はできない…と誤解されていて、下記のような手続きの概略を説明すると 「なんだ、 簡単なんだね」と仰る方も少なくありません。 手順を簡記すれば下記の通りです。 ①養子縁組届の用紙を入手し、大部分は妻(代筆)や養子となる者が記入しても可 ②その後、ご主人 (養親)は病室で署名·捺印 ③証人2名が住所·氏名等を記入·捺印 ④「養子縁組届」を役場に提出 (記入の不備や添付書類等の不足がなければ、 原則として養子縁組の手続きは完了です) ⑤確認のためにも養子縁組が記載された戸籍謄本等を取得 P132 《ケース3》 保険金受取人が先に死亡している場合② 被保険者:被相続人(夫) 指定保険受取人:配偶者(妻)を指定、ただし夫より先に死亡 民法上の相続人:被相続人の兄妹姉妹 子(直系卑属)がいないという部分が≪ケース2≫との大きな相違点です。 子がいない場合は、民法上の相続人と保険金の受取人が一致しないことから注意が必要です。 西田君たちが出くわした事例に当てはめてみましょう。 [民法上の相続人] 第1順位の相続人…先に配偶者死亡、子はいない 第2順位の相続人…父母は先に死亡 第3順位の相統人…実弟が相続人 [保険契約上の相統人] 前述の判例に置き換えてみると ・生命保険契約における受取人は配偶者(妻)が指定されている。 ・被相続人の死亡と同時に、指定されている受取人である妻の固有の財産となる。 ・指定されている妻が先に死亡していることから、妻の相続人(妻の兄弟姉妹)が受け取る。 ということとなります。 配偶者が受取人として指定された保険契約の保険金受取請求権は、被相続人からみると配偶者側の家族である「姻族」に承継されます。 民法による一般的な相続人を想定すると「血族」である兄弟姉妹が保険金を受け取ることとなるのですが、保険などの契約上で受取人が指定されている場合は、いわゆる血縁関係のない配偶者側の親族が承継継することになります。 今回西田君たちが出くわした事例においては、生前の被相続人が妻の死後に保険金受取人の変更をしておくことで、実弟が受け取ることができたものと思われます。

Posted byブクログ