悪について の商品レビュー
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図書館本 なんだか面白かった。しばらくして読み返したい。 ネクロフィリアとナルシシズムについて、フロイト理論を交えて述べられていた。 ネクロフィリア的な人 殺しの願望、死や汚物やサディズムへの興味。 対義語はバイオフィリア 生を愛する。 フロイトの肛門性格とネクロフィリア的性格は似てる。排泄物に深い興味と親近感を持つ、生きていないものへの親近感。生に役立たないものに惹きつけられる。不用物や所有する為の財産に惹かれる。 トイレトレーニングに固執しすぎる母は、強い肛門期の性格を持つ。つまりは生のないものに興味を持つのであり、その子も同じような興味を持つことがある。その母親の不安が原因で、子は生を恐れる。 肛門性格を形成するのはトイレトレーニングとそれが肛門リピドーに与える影響でなく、生への憎悪、恐怖をはじめ、子のエネルギーを所有や貯蔵への情熱に向けさせる、母の性格。 肛門性格とネクロフィリア的性格は似てる。 面白い。
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自由からの逃走は読んでないのにこっちを先に読んだ。 人間が持つ一番の悪は、生の力すなわち創造の力を窒息させ、生そのものを衰退させるもの。そこで彼がキーワードとして挙げている三つが、ネクロフィリア、ナルシシズム、近親相姦的欲望だ。特に、ナルシシズムの章は面白かった。訳者の解説を読...
自由からの逃走は読んでないのにこっちを先に読んだ。 人間が持つ一番の悪は、生の力すなわち創造の力を窒息させ、生そのものを衰退させるもの。そこで彼がキーワードとして挙げている三つが、ネクロフィリア、ナルシシズム、近親相姦的欲望だ。特に、ナルシシズムの章は面白かった。訳者の解説を読むに、ここが結構自由からの逃走と繋がる部分なんだろう。
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人間について、「ネクロフィリア、ナルシシズム、近親相姦的固着」の3つが深く関わっており、これら3つの特質が突出したものになるほど、著者が衰退のシンドロームと呼ぶ悪性が形成される。 もちろん、それほど悪性が強くない人にもこれら3つの特質は多かれ少なかれあり、逆の特質である「バイオ...
人間について、「ネクロフィリア、ナルシシズム、近親相姦的固着」の3つが深く関わっており、これら3つの特質が突出したものになるほど、著者が衰退のシンドロームと呼ぶ悪性が形成される。 もちろん、それほど悪性が強くない人にもこれら3つの特質は多かれ少なかれあり、逆の特質である「バイオフィリア、隣人への愛、独立心」といった成長のシンドロームと呼ぶ良性のバランスがとれているため、悪が表出することはめったにない。 また、これらは全て個人から表出される特質のように思われるが、国家や民族、血の濃さ等の集団的なものにも当てはめることができ、衰退のシンドロームが集団的なものとなったとき、死や破壊が世界を巻き込むほどの戦争や悲劇を引き起こした。 戦争のような悲劇は社会的政治的な要因で引き起こされると思いがちだが、個人の心理的要因である衰退のシンドロームが引き金となった結果、それが徐々に大きな集団を形成して発生することもある。なぜなら、集団は個人の集まりであり、決して個人の心理と無関係とは言えないからだ。
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精神分析科、心理学者のエーリッヒフロムの書いた著。 ネクロフィリア、バイオフィリア、ナルシシズムなど通常の生活をしていては決して踏み入れることが無い領域の学習が出来る。 人間の善と悪、道徳と倫理。 これらは人間の資質ではない。
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悪について、精神分析の臨床的な視点で語る一冊。 書かれたのは1960年代ですが、今の世界情勢とぴったり合っているように感じました。 悪もそこまで行ってしまう過程を、どう考えるべきかの視座を与えてくれます。 哲学書ほど難解な文章ではないので、できれば学生時代に 読んで、悪や善、平和...
悪について、精神分析の臨床的な視点で語る一冊。 書かれたのは1960年代ですが、今の世界情勢とぴったり合っているように感じました。 悪もそこまで行ってしまう過程を、どう考えるべきかの視座を与えてくれます。 哲学書ほど難解な文章ではないので、できれば学生時代に 読んで、悪や善、平和とは何かを考えるきっかけにしてほしいです。
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半年くらいかけて読んだ。 哲学書に分類されるんだろうか。初めて読んでみたのでとことん素人感想…。 生と死、退行と前進、自己愛と他者愛。 毎日の暮らしの中でも病んでいる人が多いなあと感じられるような昨今だけれども、こういう風に分析できるのか、と腑に落ちる感じはあった。 誰もが悪を選...
半年くらいかけて読んだ。 哲学書に分類されるんだろうか。初めて読んでみたのでとことん素人感想…。 生と死、退行と前進、自己愛と他者愛。 毎日の暮らしの中でも病んでいる人が多いなあと感じられるような昨今だけれども、こういう風に分析できるのか、と腑に落ちる感じはあった。 誰もが悪を選ぶ可能性があって、それを自覚する人ほど、人を裁く気にはなれない。 できれば息がしやすいように、生きていきたいものだなあと思う。こういう哲学の本は、生きる手助けになるのかもしれないなあと思った。
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精神分析学について詳しくないうえに、「自由からの逃走」を読まずしてこの本を読んだので、多分ほぼ理解できていないと思う。悪というのが「創造する力」=生を衰退させるとのであって、それを誘引するのがナルシシズム、ネクロフィリア、共生的固着である…というところまで。その具体的な内容、どうしてそういう帰結になるのか、は理解できてないのでまた読みたい。
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人はそもそも邪悪で堕落しているのか、あるいは人間は善良で完全な存在になりうるのか。 悪とは、人間以前の状態に退行し、特に人間的なもの──理性、愛、自由──を抹消しようとすること。悪とはヒューマニズムの重荷から逃れようとする悲劇的な試みのなかで、自分を失うこと。 人類は退行し、かつ前進もする。 言い方を変えれば、善であり同時に悪でもあるという傾向を持つ。 両方への傾きのバランスがある程度取れていれば、その人は選ぶ自由を持つ。 しかしその人の心の傾きのバランスが崩れるほどかたくなになってしまったら、もう選択の自由はない。 自由を失うような出来事が次々と起こると、最後の決定のときにはもう自由に選択することはできない。 ほとんどの人は人生に問いかけられているとき、そしてまだ二者択一から選ぶ余地があるとき、そのことに気づかない。 人が生き方で失敗するのは、生まれつき悪であるとか、 よりよい生活を営むための意志に欠けているからではない。 失敗するのはその人が決定すべき人生の岐路に立っているとき、目を覚ましてそれを理解しないからなのだ。 私たちは善を選ぶために自覚しなければならない。 しかし他人の嘆きに、 他人のあたたかい視線に、鳥の歌に、芝の青さに心を動かされる力を失えば、どんな自覚があっても役には立たないだろう。
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■ひとことで言うと? 理性・愛・自由を放棄し、責任から逃れることが「真の悪」である ■キーポイント - 「真の悪」に陥る条件(衰退のシンドローム) - ネクロフィリア:成長しないものへの愛≒支配 - 創造性の喪失 - 悪性のナルシシズム:所有物による自己価値の評価 - 愛の欠落(サディズム/ナルシシズムの傾向) - 近親相姦的共生:それ無しでは生きられないという感情的幻想 - 自由・独立の放棄 - 回避策 - 選択肢の自覚 - 「善」なる行動を選択できることを自覚する - 合理的判断 - 非合理的な情念に反し、理性に従って選択する - それらの習慣化 - 「善」の選択を習慣化し、「悪」の選択肢そのものを意識できなくする
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新訳でわかりやすい日本語になっているとのことだが、心理学も哲学も体系的に学んだことのない私にとっては難解としか言いようのないものだった。原著が書かれたのは1964年、著者自身がイントロダクションで「正統派フロイト派」について「むしろどんな理論でも、六十年の間に変わらないなら、まさ...
新訳でわかりやすい日本語になっているとのことだが、心理学も哲学も体系的に学んだことのない私にとっては難解としか言いようのないものだった。原著が書かれたのは1964年、著者自身がイントロダクションで「正統派フロイト派」について「むしろどんな理論でも、六十年の間に変わらないなら、まさにその変わらないと言う事実によって、考案者のオリジナルの理論と同じものではなくなっていると言ってよい」(p.9)と述べている。にもかかわらず60年を経て新訳が出て気づくのは、世界の状況が、キューバ危機がウクライナ戦争になって、それほど変わっていないように見えることだ。もちろん時代遅れになっている部分もあると思うし、それを解決するべく努力している心理学者や哲学者もいるんだろうとは思う。
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