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何が私をこうさせたか の商品レビュー

4.4

19件のお客様レビュー

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2023/12/15

今から100年前を生きた女性の手記。そんな昔の文章、私に読めるかしらと心配したが杞憂でした。力強い文章からは生々しい感情が伝わってきて、辛い気持ちにもなりつつ読み終えました。 100年も昔と思ってたけれど、たった100年前はこんなに大変な時代だったのか、とその当時の生活のリアルを...

今から100年前を生きた女性の手記。そんな昔の文章、私に読めるかしらと心配したが杞憂でした。力強い文章からは生々しい感情が伝わってきて、辛い気持ちにもなりつつ読み終えました。 100年も昔と思ってたけれど、たった100年前はこんなに大変な時代だったのか、とその当時の生活のリアルを知り、驚きました。歴史としては知っていても、実際にどう感じてどんなふうに生活していたのかは想像が及びませんでした。この手記を書いた本人のことはもちろん、こんな大変な時代のなかでも人は生き、子供を産み育てて今の私たちに命を繋いできたんだなぁと、人の逞しさを知りました。読んでよかったです。

Posted byブクログ

2023/09/20

壮絶だった。なにから書けばいいかわからないくらい壮絶だったが、読めて良かった。 こう書くと軽く見えるかもしれないが、現代でいう親ガチャ失敗、生まれが選べないことによる貧困、教育を受けさせてもらえない等の数々の困難が降りかかる。まだ下があるのかと思うほど、読み進める程に酷く悲しい。...

壮絶だった。なにから書けばいいかわからないくらい壮絶だったが、読めて良かった。 こう書くと軽く見えるかもしれないが、現代でいう親ガチャ失敗、生まれが選べないことによる貧困、教育を受けさせてもらえない等の数々の困難が降りかかる。まだ下があるのかと思うほど、読み進める程に酷く悲しい。それでも、子供から搾取する大人に囲まれ、虐げられた時代を長く過ごしたにも関わらず、幾度と「自分は間違っていない」と思える心が本当にすごいと思った。 私は自分が将来、仮に親になることを考えるととても不安で、子供に施しをすることが出来るのだろうか…と考えることが多い。それでも、文子の言葉を読んでいると、特別何かを与えるのではなく、子供を騙さないことや大人の都合や責任を押し付けないこと、愛情を持って居場所を作ること、それだけできれば充分すぎるほど親なのではないかと気付かされた。 これほど本のタイトルが内容を表しているものも珍しいと思う。文子がどうして恩赦を受けず、縊死したのかが凝縮されていた。帰る場所がなく、心安まる場所がなかった文子が自身の人生を見出したのが朴なのだと思う。

Posted byブクログ

2023/02/02

他人の意見を鵜呑みにして、自分の思いを蔑ろにしそうになる時、つい自責の念に駆られそうなとき、金子文子さんの考え方を取り入れると、自分を大切にできると思った。 『お前が悪い』と言ってくる人に負けて 自分が悪いのかも と思いそうになる私自身に対して、 なにを問いかければいいのか の...

他人の意見を鵜呑みにして、自分の思いを蔑ろにしそうになる時、つい自責の念に駆られそうなとき、金子文子さんの考え方を取り入れると、自分を大切にできると思った。 『お前が悪い』と言ってくる人に負けて 自分が悪いのかも と思いそうになる私自身に対して、 なにを問いかければいいのか のヒントをもらえる本だった。 一番感銘を受けたフレーズ 『-子供をして自分の行為の責任を自分のみに負わせよ。自分の行為を他人に誓わせるな。それは子供から責任感を奪うことだ。卑屈にすることだ。心にも行為にも裏と表とを教えることだ。誰だって自分の行為を他に約束すべきではない。自分の行為の主体を、管理人に預けるべきではない。自分の行為の主体は完全に自分自身であることを人間は自覚すべきである。そうすることによってこそ、初めて、人は誰をも偽らぬ、誰にも怯えぬ、真に確乎とした、自律的な、責任のある行為を生むことができるようになるのだ-と。』

Posted byブクログ

2023/01/11

フレディみかこ『両手にトカレフ』を読み、初めて金子文子さん(実在の人物)を知り、読んでみました。 知っているつもりのこの時代の女性の扱いは、現代のペット以下のような気がします。自殺を思い留まり生きてきた彼女が獄中で自死したのはとても哀しいです。 元気な時しか読めません。

Posted byブクログ

2022/11/08

獄中自死で埋葬された腐乱死体の描写から始まる異色すぎる自伝(この部分は作者ではないけど)。恋人朴烈とこれから本格的というところで終わるが全て筆者である金子文子の意図によるところ。教育環境が良くないなかで鋭い分析と読み応えのある文章を23歳にして書き上げた点に驚く。4桁の掛け算を暗...

獄中自死で埋葬された腐乱死体の描写から始まる異色すぎる自伝(この部分は作者ではないけど)。恋人朴烈とこれから本格的というところで終わるが全て筆者である金子文子の意図によるところ。教育環境が良くないなかで鋭い分析と読み応えのある文章を23歳にして書き上げた点に驚く。4桁の掛け算を暗算でできたと本人がサラッと書いている事からも相当に知能が高い事が伺える。もし環境が良く理系方面に進めば凄い事になっていたかもしれぬ。 横浜の寿町(ドヤ街で有名)で生を受けるも無籍扱い、無責任な親の都合で各所をたらい回し、更に父方の叔母の養女として朝鮮に行ったはずが人権を無視した下女扱い(この7年間の描写が1番長く作者の怨念を感じる)と尽く不遇。あまりの酷さに少女時代に自殺を考えるがそこから生き抜いていく意思と覚悟を見出す場面は感動的ですらある。 親、親類縁者の中でも朝鮮の祖母が陰険高慢強欲卑劣という鬼畜さで実在系悪党でもなかなかのクソぶりである。男からレイプされるだけでも酷いがこの人の場合それがメイン級の不幸でないのも恐ろしい。付き合ってた男達も身勝手で多分性の対象としてか考えていないよう見える。そんな中で朴烈と出会った事(今後付き合っていく上での質問が具体的なのが爽快)は彼女にとっては幸せだったのだろう。 なお画像検索で出てくる金子文子は別人らしい。本当の顔が気になる。個人的には高橋是清と並ぶ自伝の傑作。

Posted byブクログ

2022/10/04
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ブレイディみかこ著『両手にトカレフ』で知り、読みました。まず、小学校すらまともに通えていない著者が、よくこれだけの自伝を書き上げたものだと、壮絶な執念を感じました。文章力も記憶力も凄まじい。全てが正しい記憶ではないとしても。得意と苦手の幅がすごいのでしょう。我慢強いところと、我慢が足りないところ、その両方で『えっ? そこで…?』と、私には理解できない行動に、イライラさせられることも。また、朝鮮での7年間の様子はあまりにひどくて、途中で読み進められなくなりそうでした。読み終えて、書き残してくれたことに感謝します。

Posted byブクログ

2022/09/28
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

読んだことのないタイプの人の自伝だが、読めてよかった。生まれる時代が違えば国政を担うような人になったかもしれない。朝鮮の祖母、両親、叔父などから虐げられてきたものの、芯が腐ることなく、前向きに生きる姿は素晴らしい。教師になって好きなことを学びたいと思って上京しても、社会構造を知って学ぶ気を失う。完璧な人間じゃないところも人間くさくていい。 親になる人、教育者にぜひ読んでもらいたい。

Posted byブクログ

2022/06/25

ブレイディみかこさんの『女たちのテロル』『両手のトカレフ』を読み金子文子についてもっと知りたくなりました。 無籍者として育ち、不遇、壮絶などという言葉では到底語れないような人生。頼り守ってくれるべき両親からも不当な扱いをされ、特に朝鮮時代の人生は読むのが辛すぎて何度もページを閉じ...

ブレイディみかこさんの『女たちのテロル』『両手のトカレフ』を読み金子文子についてもっと知りたくなりました。 無籍者として育ち、不遇、壮絶などという言葉では到底語れないような人生。頼り守ってくれるべき両親からも不当な扱いをされ、特に朝鮮時代の人生は読むのが辛すぎて何度もページを閉じました。 17歳で東京へ出てきてそこでも多くの裏切りにあい、19歳で朴烈と出会い23歳まで駆け抜けた文子。大人から虐げられ虐待を受け、それでも自らの生きる道を突き詰めた。朴と過ごした時間が唯一の安らぎだったのかもしれません。

Posted byブクログ

2022/05/31

23年の短い生涯を強烈な密度で過ごした著者。 苦境また苦境、さらに続く苦境。 およそ100年前に実在したこの体験が、今こうして書籍となり読むことができることに対して感謝したい。そう感じる一冊だった。 筆者は、とある理由で死刑宣告を受ける。 恩赦により、無期懲役に減刑されるが、そ...

23年の短い生涯を強烈な密度で過ごした著者。 苦境また苦境、さらに続く苦境。 およそ100年前に実在したこの体験が、今こうして書籍となり読むことができることに対して感謝したい。そう感じる一冊だった。 筆者は、とある理由で死刑宣告を受ける。 恩赦により、無期懲役に減刑されるが、それを拒否し、獄中で自殺。このとき23歳。この人の人生には何があったのか。 彼女の幼少期は、身勝手で責任感のない大人達の間で翻弄された。父、母、多くの親族等々。朝鮮時代の祖母とかゴミクズ。暴力を振るわれ、尊厳を無視され、侮辱され馬鹿にされ、自由を奪われた。それでも、強く生きようとする。10歳やそこらの少女がこの境遇に絶望しながらも生き続けられたのが奇跡だと思わざるを得ない。 戸籍がないことは、本人の責めに帰すべきでは当然ない。両親によってのことだ。これに起因する事柄だけでも、彼女は幼い頃から大変な苦境の中に立たされ、大いに苦しめられた。戸籍がなければ皆が行く学校に行けない。手を尽くしてなんとか入学した学校でも、主に大人から悲しい扱いを受ける。 朝鮮時代の閉塞感はあまりにつらい。 これは、祖母と叔母による支配が原因だが、子供が打破できるものではない。どうしようもないのである。(最も辛い出来事は本書には書かれていないとのこと) 彼女は自身に対してこう述べる。 「こうした境遇に置かれた時、私が自暴自棄的な気持ちになったのは咎められるべきであろうか。無論私は、咎められるべきである。私は私自身の生命を冒涜しているのである。」 これほど強く、自分の人生の意味を捉えようとした経験が自分にはあるだろうか。 自分の生は、自分によって薄められていやしないか? どんなに苦しくとも折れない彼女の生き方に、頭を殴られるかのような衝撃を受けた。必ず再読する。 余談だが、自死の誘惑に駆られた時の様子は、会社に追い詰められた過重労働者のそれと重なるものがあった。踏み留まるのにも、同じ理由が適用できると思う。 女性差別満載の時代で、今こうして読むとおいおい…となるが、当時を自分が生きていたとして、違った判断・言動ができるかと言ったら。。 「現代のあるべき論のもとに」ではなく「真に正義のもとに」何か言う・行動できるか。私にはその自信はない。

Posted byブクログ

2022/02/05

 ここ最近で読んだ本の中で、最も心抉られる作品であったことには間違いがない。この様な人生を送った人物が、自ら手記として書き記し、それが後世にまで残されていることが尊いと思った。人生で何度も読み返したい本。図書館で借りたが、一冊手元に置いておきたいので早速購入した。  関東大震災...

 ここ最近で読んだ本の中で、最も心抉られる作品であったことには間違いがない。この様な人生を送った人物が、自ら手記として書き記し、それが後世にまで残されていることが尊いと思った。人生で何度も読み返したい本。図書館で借りたが、一冊手元に置いておきたいので早速購入した。  関東大震災後、朝鮮人の恋人と共に検挙、大逆罪で死刑宣告、天皇の恩赦も受けず23歳にして獄中自殺した金子文子が、自身の生い立ちを記す。  幼少期から家庭環境の複雑さや貧しい暮らし、何より無戸籍で学校にも通えない。父母に見放され、親類にも虐げられる。それでも、人生を変えるため東京へ飛び出し学問に傾注する姿、この時代に自分が女だからと引かずに必死に生きる姿に、その荒々しさに心抉られた。  この本は、虐げられたものの生き様として一つの物語(レミゼ的な)としてもかなり興味深いし、これだけ貧しく生きた人の一生としてこの様に読み易く記録に残るものがあまり多くないであろうこと、この時代に女だからといって引かずに高い意識を持って学問に取り組む生き様としても、価値のある本だと感じた。    今生きる社会は、みな平等に学問を受け、チャンスが与えられ、必死な努力が報われる社会だろうか。不条理が見えていないだけなのかもしれない。  持っている物も体も簡単に奪えるけれど、頭の中にあるものは奪えない。

Posted byブクログ