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ヒトラーの試写室 の商品レビュー

4.1

38件のお客様レビュー

  1. 5つ

    12

  2. 4つ

    15

  3. 3つ

    8

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2023/11/27

松岡圭祐の作品はハマれるかどうかが全てだ。 一番の理由は博識な情報量ゆえにある。その作品の世界に入り込めてワクワクしながら読み進められる時は、なるほどこういう背景があるのかなどと感心してしまう。逆に面白くないと思ってしまうとその博識ぶりが鼻について、物語はつまらないのに情報だけ満...

松岡圭祐の作品はハマれるかどうかが全てだ。 一番の理由は博識な情報量ゆえにある。その作品の世界に入り込めてワクワクしながら読み進められる時は、なるほどこういう背景があるのかなどと感心してしまう。逆に面白くないと思ってしまうとその博識ぶりが鼻について、物語はつまらないのに情報だけ満載してどうするんだよと思ってしまう。 本作は残念ながら後者のつまらない方。戦前の日本映画の特撮のハシリが円谷英二と共に展開し、ドイツの絶頂期から敗戦までの変遷がゲッベルスを中心に描かれているが、どうにもワクワクしなくて面白くなかった。 原因は主人公や他キャラクターの描き方がショボいからだろう。全然魅力的でない。いくら歴史上の有名人が何人も登場したところで、キャラが立っていなければ情報過多なだけの退屈な物語だ。

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2023/10/13

実在したとしたらすごい。家族の絆、仲間の絆、プロとしての誇り、時代の翻弄される技術者、素敵な敏子さん、歴史上の人物の登場、いろんなものひっくるめて楽しめました。

Posted byブクログ

2023/05/04

円谷英二に特撮技術を学んだ柴田彰がドイツで一連の技術を伝授する物語だが、ドイツの体制の頑なさの中で何とか撮影を続行する過程は読んでいてもどかしい感じだったが、映画関係者の中には理解者もおり、彰が成果を上げることがで来たのは誇らしいと感じた.沈没船を表現する際に波を寒天で代替えする...

円谷英二に特撮技術を学んだ柴田彰がドイツで一連の技術を伝授する物語だが、ドイツの体制の頑なさの中で何とか撮影を続行する過程は読んでいてもどかしい感じだったが、映画関係者の中には理解者もおり、彰が成果を上げることがで来たのは誇らしいと感じた.沈没船を表現する際に波を寒天で代替えするアイデアが出てきたが、日本の特撮の極意を表していると思った.戦時下での芸術活動の困難さをうまく表現している件が数多く出てきて、このような時代を現在でもよく認識しておく必要があると痛感した.

Posted byブクログ

2022/08/06
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

反戦と日本の特撮技術・円谷英二讃歌を高らかに。面白かったです。 実話が元になっているようですが、どのあたりなんだろう…どのあたりでも凄い。日本の特撮技術がナチスドイツの目に止まって、青年が単身渡独して映画製作に携わる。柴田彰くんも劇的だけれど、ナチス党の宣伝担当ゲッベルスの状況もなかなかキツイな。不憫には思うけどかと言って彼は悪くなかったとはなりませんが。 逮捕されてしまうので表立って政府に反抗することは出来なくても、それぞれの戦い方で戦ってたんだなぁ。セルピン監督もシュテファンやランベルト、トラウゴット、円谷英二も。柴田くんはかなり流されて生きてる気がしましたが彼らの思いはちゃんと染み込んでいる。 圧倒的な映像を作ったら、現実で同じ事を起こさなくても同じような、またはそれ以上の効果はある。圧倒的な映像は、国を越え、どんな立場や考え方の人たちの心も動かします。事実を元にしたフィクション映像だけれど、『ハワイ・マレー沖海戦』を観てるヒトラー、ゲッベルス、ヒンケルのシーンは映像に魅了されてるのがよくわかりました。 ドイツの宿舎?が長崎にあるので嫌な予感はしたけれど、危惧したとおりにならなかったのが良かったです。長崎に行ってなかった理由も納得でした。 フィクションは現実ではないので表現に目くじらを立てるのも違うけど、現実をフィクションのように捉えて過小に感じてしまうのもまた弊害だなぁと余計な事も思ったりしました。 東宝=東京宝塚。

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2022/02/21

史実を基にしたというところに驚愕。 戦時下でも最前線以外ではこういうことも行われていたんだな。 最後は少しうまく行きすぎていた感じがする。

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2022/02/10

戦時中の匂いが、生きる人々の感覚が伝わってくる 冒頭に”この小説は史実から発想された”とあるように、主人公”柴田彰”を含め登場人物が実在の人物である。 例えば、彰の上司として円谷プロダクションの創業者である円谷英二が登場したり、ヒトラーはもちろん、その側近であるヨーゼフ・ゲッ...

戦時中の匂いが、生きる人々の感覚が伝わってくる 冒頭に”この小説は史実から発想された”とあるように、主人公”柴田彰”を含め登場人物が実在の人物である。 例えば、彰の上司として円谷プロダクションの創業者である円谷英二が登場したり、ヒトラーはもちろん、その側近であるヨーゼフ・ゲッベルスも架空ではなく実在の人物である。 日本側の主人公として彰が、ドイツ側の主人公としてはヒトラーではなくゲッベルスが描かれている。 彰は映画俳優を目指すも恵まれず、受けたオーディションの帰りに勧誘された特殊技術を担当する撮影所に助手として働くことになる。 ゲッベルスは、軍に所属して兵として働きたいが、身体的な特徴から兵役に就くことができなかった。後にナチ党で宣伝省の大臣になったゲッベルスは戦いではなく宣伝によって革命を起こそうとする。物語はこの宣伝省大臣時代の話である。 日本ではあまり歓迎されていない特殊撮影技術だったが、ドイツでのタイタニック沈没の映画を撮影するためにその技術が必要になり、日本からの技術者として彰がドイツへ派遣されることになる。 その撮影は大成功し、彰はナチス党員名誉バッジを授与される。しかし、授与されてしまったために戦時中ということも相まって日本へ帰国できなくなってしまう。 この名誉バッジを授与されたことも事実なのだそうで、このあたりの話も後記として巻末に記載されている。 登場人物含め、その年代にあったことを調べてみると、この小説に書かれていることが正確なことがわかる。事実と異なるのはドイツの登場人物関連あたりだろうか。さすがにドイツでの同僚やヒトラーやゲッペルスの心理までは事実と異なると思いたい。 最近読んだ著者の別の作品、シャーロックホームズ対伊藤博文もそうだが、著者の作品は丁寧な取材とそこからくる繊細な描写が作品への没入感を高めている。その没入感によってあたかも作中に自身もいるような感覚になるのが好きだから、私はこの著者の作品が好きなのかもしれない。

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2021/12/31

時代は第二次世界大戦の前後。 映画俳優を目指し家を飛び出した彰は、ひょんなきっかけで特撮の仕事をすることになります。 そこには円谷英二がおり、、 映画、戦争、嘘か真か。 とても感動し、読んで良かったと心から想いました。 「史実から発想された」お勧めの作品です。

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2021/09/20
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

映画タイタニックが作られる以前に、思想戦略としてドイツでこの映画が作られていた。それには日本人柴田彰が関わっていた。俳優になりたいという夢を抱き志すが、現実は厳しく特殊撮影班というなんとも地味な裏方作業に従事することとなる。そこでは、日本軍を主役としたマレー沖海戦などの映画を模型のみで撮影するという仕事を行なっていた。 一方、ドイツでも低予算で国民の思想を操作できるようにと、タイタニックの映画化が企画されるが、タイタニック沈没の場面がどうも上手く撮影できない。 そこで、日本映画を参考に日本から支援を依頼する。たまたまドイツ語を少し話せて、社会的地位も高くない彰が選抜され有無を言わさずドイツへ向かう。 日本では寒天で海原を表現したが、寒天は輸出禁止となっておりドイツでは手に入らないという壁にぶち当たる。しかし、コッホ研究所に北里柴三郎がいたこともあり、寒天培地用の寒天を譲受け、実現する。そのほかにも、壁の落書きを映像上消してみせろという難題も彰はこなしていく。 模型で作って撮影することにやりがいを感じつつある彰であったが、実際には模型ではなく実在の人間が多く犠牲になっており、壁の落書きを消して映像化できてしまったことが、後に捕虜を輸送する船を自国がわざと沈没させた際に赤十字の船であったと主張することとなる。 日本も外国もどちらがより強いかを嘘の情報で競い合い、家族のいる長崎に原爆が投下された時も、嘘だろうと信じられなかった。 2021/03/07 12:28

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2021/08/09

第二次世界大戦中の 映画界。 円谷英二 率いる 特撮部の、特撮映像を、日本軍や、ドイツ軍ナチス が 利用しようとした、史実に基づいた 物語。 ちょっと学べる本。

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2021/03/21

「この小説は史実から発想された」  この言葉が最初のページに書かれている。  ものすごく興味を惹かれた。  はじめてこの本を手に取ったのは、  この題名に惹かれたから。 「ヒトラーの試写室」  その後しばらくは、積んであったのだけれど、どれを読もうか思案しているとき、目に入り、...

「この小説は史実から発想された」  この言葉が最初のページに書かれている。  ものすごく興味を惹かれた。  はじめてこの本を手に取ったのは、  この題名に惹かれたから。 「ヒトラーの試写室」  その後しばらくは、積んであったのだけれど、どれを読もうか思案しているとき、目に入り、ページをめくった。  (思っていた以上にヒトラーは登場しなかった…)  時代はちょうど第二次大戦前後。  ドイツが主な舞台化と思えば、主人公は日本人。  それも、映画を作るほうの人たちのお話。  それは思っていたものと違っていて、それがまた、興味をそそった。  一気に読むのではなく、少しづつ読み進めていったのだけれど、続きが気になってしょうがなかった。  次の日にページをめくるのが、とても楽しみだった。  戦争前から、戦争に入り、戦後までの数年が描かれており、その時代折々での映画の内容や作り方なども書かれており、それはなかなか知ることのできないことなので、興味深く読んだ。  この本を通して思ったのは、  やはり何でもない日常がとても幸せなんだということ。  特に今、こういう世の中なので、家族が一緒に笑いあえることがとても幸せなことなんだと強く感じた一冊だった。  (この主人公が戦争に翻弄されることなく、映画の世界にずっと身を置いていたら、どんなものができたのだろうかとも考えてしまった…)  

Posted byブクログ