風刺画とアネクドートが描いたロシア革命 の商品レビュー

若林悠(著者),桑野隆

2021/01/23

ロシア革命とソ連に絡めたユーモア溢れるアネクドート（ロシアンジョーク）と風刺画が集められた一冊。
ロシア革命は大変な出来事でしたが、ソ連が存在している期間ずっと大変は続いたのです。
そんな大変な渦中で生きるために必要なもの、それは笑いです。
虐げられている自分たちを自虐することは更に落ちるわけではなく、寧ろ跳ね返るのです。
ユーモアやジョークと言えばイギリスやドイツがまず思い浮かびますが、ロシアやソ連にも素質があります。
例えば…

Q：スターリンが｢スターリン・ジョーク｣を集めているというのは本当ですか？
A：本当です。同時に語った人々も集められています。

検察官が工場労働者に質問した。
検察官｢何か不満は？｣
労働者1｢ありません！十分、満足しています！｣
検察官が二人目の労働者に質問した。
検察官｢何か不満は？｣
労働者2｢ありません！十分、満足しています！｣
検察官はレポートを提出した。
レポート｢二人目の労働者は不必要な重複のため、シベリア工場に回せる｣

スターリンが独裁者として名乗りを上げた。
しかし、何かと態度のでかいラデックがスターリン・ジョークを広めているらしい。
スターリン｢同志ラデック。君は私のジョークを広めているのかね？｣
ラデック｢冗談を言ってはいけないのかい？｣
スターリン｢内容が悪い！私は社会主義の理想を体現する、ソ連の偉大な最高指導者だ！｣
ラデック｢……そんなジョークは広めていないよ。誰か他の奴が広めてるんだろう｣

どうでしょうか、なかなかですよね。
風刺画も気持ち良い切れ味で、不思議と美しく見えてきました。

2020/12/15

面白くてサラリと読める。
当時これらの風刺画、漫画を描いた方々は、ソ連の外にいたからといって命懸けだったのではないか…。トロツキーの存在の評価など、もっと自分で知りたい。