皇帝と拳銃と の商品レビュー
倒叙ミステリ短編集。いつも思うのですが、こういう倒叙ものって犯人に同情してしまいます。だってものすごーく頑張っているのに、必ず暴かれちゃう運命なのだもの。しかもじわじわじわじわ追い詰められてさあ。犯罪者とはいえ、可哀想すぎる! そして今回のこの作品も、その思いはひとしお。乙姫警部...
倒叙ミステリ短編集。いつも思うのですが、こういう倒叙ものって犯人に同情してしまいます。だってものすごーく頑張っているのに、必ず暴かれちゃう運命なのだもの。しかもじわじわじわじわ追い詰められてさあ。犯罪者とはいえ、可哀想すぎる! そして今回のこの作品も、その思いはひとしお。乙姫警部……嫌だ、犯人目線から見ると嫌すぎる! おそらく、人格的な部分ではそれほど嫌な人でもないと思うのですが。それでもこのキャラクターはあまりに怖すぎるでしょ。 お気に入りは「吊られた男と語らぬ女」。なんとなく見抜けはしたのだけれど。なぜそんなことをしたのか、というところはまったく見当がつかなくって。これはあまりに切ない物語かも。 「恋人たちの汀」も好き。あまりにも些細すぎる点でばれてしまう、やはり犯人があまりに可哀想。
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短編4編. 死神のような乙姫警部の推理が冴える警察物.乙姫警部とイケメンの部下鈴木刑事が毎回違った形容でしつこいほど語られるが,少し煩わしい感じがした.「吊られた男と語らぬ女」がちょっと違った切り口で一番面白かった.
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2018年18冊目。待望のシリーズ化。倒叙物はやっぱりこのじわりじわり追い詰められていく感じが面白い。刑事のキャラクターがそれに拍車を掛けてくる。最後の短編は中でも異色だけど、もう一押しだけ欲しかった。
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死神みたいな風貌の刑事が来たら絶対ビビる。犯人との会話はもちろんだけど、周辺の人が浮かれながら聞き込みを受けてるのも面白かった。
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著者初の倒叙ミステリ。連作短編集で4篇収録。 いつものユーモラスな文体は影を潜め、スタンダードな倒叙物になっていて、完全犯罪に自信を持つ犯人とミスを探し出す警部との駆け引きが繰り広げられる。どこをミスしたのか、4篇共さっぱり分からなかった。説明されて納得。倉知さん、流石に良く考え...
著者初の倒叙ミステリ。連作短編集で4篇収録。 いつものユーモラスな文体は影を潜め、スタンダードな倒叙物になっていて、完全犯罪に自信を持つ犯人とミスを探し出す警部との駆け引きが繰り広げられる。どこをミスしたのか、4篇共さっぱり分からなかった。説明されて納得。倉知さん、流石に良く考えられている。 死神みたいな様相で名前だけが可愛い警部、というのがユニークだったが、欲を言えばもう少し奇抜な設定でも良かったような・・・。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
前作同様、約2年ぶりと、この方にしては早めの新刊である。今回は、倉知淳さんが倒叙ミステリに挑む。そう、いわゆる『コロンボ』型ミステリである。読者には犯人がわかっている。綿密な偽装を、いかに探偵役が崩していくか? 前作の探偵役は、元大役者にして芸能プロ社長だった。推理の部分はもちろん楽しめたものの、どちらかというとキャラクターを前面に出していた印象を受けた。一方、今回の探偵役は、陰気なオーラを放つ、死神のような男。見た目と裏腹な名前を持つ「乙姫」警部。……。ま、まあ、これはこれで味があるのだが。 「運命の銀輪」。売れっ子の共作恋愛作家の仲間割れ。アリバイは万全なはずが…。そんなところから足がつくのかと思ったが、もちろん証拠としては弱い。しかし、心理的に追い込むには十分だった。白を切り通す剛の者も、中にはいるかもしれないが。動かぬ証拠とは言いにくいのが、逆に意外といえば意外な1編。 表題作「皇帝と拳銃と」。「皇帝」とは、実は大学教授のこと。学内屈指の実力者なら、もっと穏便に済ませられただろうと突っ込みたくなるが、「皇帝」のプライドが許さなかった。動機や心理描写の面で興味深い。威厳のある人物なのだろうが、まったく動じないばかりか、気遣いさえ見せる「死神」は、すごい。 「恋人たちの汀」。タイトル通り、恋人にアリバイ工作を依頼する男。無理がありすぎるが、有耶無耶にするくらいの効果はあった。しかし、崩れたきっかけは…。あまり重要とは思っていなかった、被害者のある行為が、こんな形で痕跡を残すとは。とっさの言い訳を思いつかせないように追い込む、「死神」の真骨頂。 「吊られた男と語らぬ女」。ある意味、最も意外性が高いだろう。首を吊った状態で発見された男。偽装自殺か? 一課が動き、多くの証言、証拠が上がってくるのに、しっくり来ない。「死神」が披露した知識は、的を射ていた。彼でなければ解決しなかっただろうが、なぜ彼がこの事件を担当したのだろう…。 初出時期がばらけているが、単行本1冊分貯まってよかった。このシリーズは存続してほしいが、「死神」の再登場はあるだろうか。本格作家倉知淳、ここにあり。
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