皇帝と拳銃と の商品レビュー
初の倒叙もの連作4篇。コロンボ役を務めるのは死神のような佇まいの乙姫警部。共作作家の仲間割れに端を発する殺人(「運命の銀輪」),不正をした大学主任教授が彼を強請る事務職員の口封じを狙う表題作,劇団主宰者がおじである高利貸しを殺し恋人にアリバイ作りを依頼する「恋人たちの汀」,そして...
初の倒叙もの連作4篇。コロンボ役を務めるのは死神のような佇まいの乙姫警部。共作作家の仲間割れに端を発する殺人(「運命の銀輪」),不正をした大学主任教授が彼を強請る事務職員の口封じを狙う表題作,劇団主宰者がおじである高利貸しを殺し恋人にアリバイ作りを依頼する「恋人たちの汀」,そして斬新な「吊られた男と語らぬ女」。倒叙ものでは犯人は大抵不自然なほど饒舌だが,この作品の犯人は必要以上に黙っている。読者も犯行のプロセスに不明な点を抱えつつ読み進めていくが,なんと意外な結末。
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短編4つ。犯人がわかっている倒叙スタイル。犯人たちを追い詰めるのは、乙姫警部。見た目は長身黒づくめ、眼窩が落ち込んだ死神そのもの。相棒の部下はモデル並みのイケメン、鈴木太陽刑事。 「運命の銀輪」・・・作家コンビでの事件。自転車の防犯登録がカギ。 「皇帝と拳銃と」・・・国文学教授...
短編4つ。犯人がわかっている倒叙スタイル。犯人たちを追い詰めるのは、乙姫警部。見た目は長身黒づくめ、眼窩が落ち込んだ死神そのもの。相棒の部下はモデル並みのイケメン、鈴木太陽刑事。 「運命の銀輪」・・・作家コンビでの事件。自転車の防犯登録がカギ。 「皇帝と拳銃と」・・・国文学教授が辞書に弾丸を残す。辞書は倉庫から持ってきた。 「恋人たちの右輪」・・・小劇場脚本家。高利貸しの叔父を殺害。恋人の女優にアリバイ作りを頼む。 「吊られた男と語らぬ女」・・・売り出し中の彫刻家と美人カメラマン。殺人と見えて実は自殺。結婚を断ったことに罪悪感を感じていた。 とにかく死神刑事のキャラが中心。特に何するわけではないが。ひたすら無表情、喜怒哀楽なし、動きが突然。なのに小劇場の歴史やティーンズモデルに詳しかったりする。トリックや動機は目新しくない。続編あるのかな。ドラマ化したら誰がいいかなーと思いながら読んだ。
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コンビ作家における殺人というのは最早定番になってるね。岡嶋二人にこんなことが起きたら…なんて、不謹慎なことを考えてしまった。ラストの作は、心理小説的に突き詰めたい。「ソア橋」の逆ヴァージョン?
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コロンボ風の倒叙ミステリ。 連載短編物なので仕方ないのかもしれないが、主人公である刑事キャラクターの説明が同じような内容で重複しており、くどい感じになってしまったのは残念。 この種の小説では主人公の魅力が肝になる部分なので、短編毎に違う角度から見た説明にしたほうが面白くなる気がす...
コロンボ風の倒叙ミステリ。 連載短編物なので仕方ないのかもしれないが、主人公である刑事キャラクターの説明が同じような内容で重複しており、くどい感じになってしまったのは残念。 この種の小説では主人公の魅力が肝になる部分なので、短編毎に違う角度から見た説明にしたほうが面白くなる気がする。
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作者さん、初の倒叙ミステリ。犯人視点で見ている我々でさえ、鮮やかに紐解いていくロジックに魅了されてしまう傑作短編集でした。 中でも『恋人たちの汀』の展開はハッとさせられました。全体的に一つの気付きからするすると暴かれてしまう作品ですが、乙姫警部の言葉一つ一つが恐ろしく、ですが止め...
作者さん、初の倒叙ミステリ。犯人視点で見ている我々でさえ、鮮やかに紐解いていくロジックに魅了されてしまう傑作短編集でした。 中でも『恋人たちの汀』の展開はハッとさせられました。全体的に一つの気付きからするすると暴かれてしまう作品ですが、乙姫警部の言葉一つ一つが恐ろしく、ですが止められないのがもどかしかったです。 さらに表題作『皇帝と拳銃と』も好きでした。主に稲見主任教授の皇帝であろうとする姿と、乙姫警部を避けたがる相反した様子に、私自身が稲見主任教授になってしまったような錯覚がありました。
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+++ 計画は練りに練った。ミスなどあるはずがなかった。それなのに……いったいどこに落ち度があったというのだ!? 犯罪に手を染めた大学教授、推理作家、劇団演出家らの前に立ち塞がる、死神めいた風貌の警部の鋭利な推理。〈刑事コロンボ〉の衣鉢を継ぐ倉知淳初の倒叙シリーズ、4編を収録。 ...
+++ 計画は練りに練った。ミスなどあるはずがなかった。それなのに……いったいどこに落ち度があったというのだ!? 犯罪に手を染めた大学教授、推理作家、劇団演出家らの前に立ち塞がる、死神めいた風貌の警部の鋭利な推理。〈刑事コロンボ〉の衣鉢を継ぐ倉知淳初の倒叙シリーズ、4編を収録。 +++ 表題作のほか、「運命の銀輪」 「恋人たちの汀」 「吊られた男と語らぬ女」 +++ まずは、刑事のコンビの風貌に目を惹かれる。まるで死神のような中年刑事と、現役モデルも真っ青なイケメン若手刑事なのである。しかもその名前は、乙姫と鈴木。出会った人は必ずと言っていいほどその風貌と名前のギャップに、一瞬志向が停止する。そしてこの死神乙姫は、感情の読めない立ち居振る舞いも死神にぴったりなのだが、事件現場における着眼点には目を瞠るものがある。一点のミスも犯していない自信を持つ犯人をじわじわと追い詰め、ついに退路を断った時、初めから疑っていたことを明かすのであるが、その際の犯人の驚きと虚脱感は想像に難くない。映像化にも向きそうな一冊で、愉しみなシリーズである。
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倒叙ミステリの短編集。死神のような警部が犯人たちを追いつめる。 倒叙モノの醍醐味は、犯人と探偵の探り合いのようなやりとり、そして完璧と思われる計画のどこにほころびがあったのか最後に明かされるところだが、王道で楽しめた。 四話の構成もすばらしい。
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倒叙ミステリ4編。死神みたいな見た目は大変好みなのである!推す! <収録作品> 運命の銀輪 皇帝と拳銃と 恋人たちの汀 吊られた男と語らぬ女
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4話の傾叙物。犯人の犯行から始まり隠蔽工作まで分かった上で話が進んでいく。警視庁の死神警部がジワジワ犯人を追い詰めていき最後は犯行解明されてしまう。犯人はどこでミスしたのか最後にわかるし、犯人目線でストーリーを読んでるから読者も追い詰められる。こんな切れ者警部がいたら怖いなぁ。
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倉知淳の倒叙ものは初らしい。コロンボは黒衣の死神(っぽいおじさん)。4編いずれも、古畑任三郎シリーズでタレントが演じていても不思議ではない映像力(誉め言葉)。
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