淵の王 の商品レビュー
読み出すと止めることができなくなるほどの勢いがあった. 読んだという読まされたと言った方がしっくりくると思う.悪い意味ではなく. 内容としては、常に主人公と共にいた存在は次の話の主人公なのかなと.
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久々の舞城作品だったので楽しみにしていたのだが、読書のスピード感と文章のややこしさがマッチせず、ホラー小説で口語体(舞城口調)で、あのリアルな高校生がダラダラだべるような癖になる文章が、語り部の分からぬ視点のスイッチに時々置いつかずに妄想世界から振り落とされた。 その視点こそギ...
久々の舞城作品だったので楽しみにしていたのだが、読書のスピード感と文章のややこしさがマッチせず、ホラー小説で口語体(舞城口調)で、あのリアルな高校生がダラダラだべるような癖になる文章が、語り部の分からぬ視点のスイッチに時々置いつかずに妄想世界から振り落とされた。 その視点こそギミックであり、短編集のような本作が、どうしてこれで長編なのかと、ペラペラめくりながらまだ悩む。そうするとホラーにミステリー要素がベッタリ、いやネチョっと塗りついて、ホラーが気味悪さになり、ただのエンタメグロシーンみたいになってしまう。 物足りないというのも違うが、舞城作品は、もっとその疾走感、つまり盛り上がりと共にグイグイ読むスピードが上がってページ捲りまくる読み方が好きだったので、少し期待と違った。
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どうしてなのか自分でもよく分からないけど、読み終わった後しばらく心に居座り続ける本がある。これもそうだった。 話は3つに分かれていて、それぞれの主人公を見守る『何か(もしくは誰か)』が物語を語る珍しい二人称の小説。 色々な解釈の仕方があるだろう。こういう不思議な掴みどころのな...
どうしてなのか自分でもよく分からないけど、読み終わった後しばらく心に居座り続ける本がある。これもそうだった。 話は3つに分かれていて、それぞれの主人公を見守る『何か(もしくは誰か)』が物語を語る珍しい二人称の小説。 色々な解釈の仕方があるだろう。こういう不思議な掴みどころのない話は。 『これはこうだからこうなのだ』というほとんどの人が辿り着くような明確な結論はなく、悪意の近くに吸い寄せられるように現れるブラックホールのようなものの正体も、そしてその空間をいったりきたりする裸の男が誰なのかも分からない。 文章なのにそれらはわたしの頭の中でビジョンとして居座り続けるから、ついついそのことについて考え続けてしまう。 自分のやりたい道を迷わずに、ずんずん進んでいく人の物語を読むのは、とっても気持ちのいいもんだ。例えそれが、ところどころ身震いするような恐ろしい話だったとしても。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
凄い! 舞城王太郎さん。 デビュー作の「煙か土か食い物」で度肝を抜かれたが、そのあとは意味がつかめない作品が多くてご無沙汰してましたが、久しぶりに手に取りました。 怖い。というより不気味。 個性的な3人が理不尽に異常な世界に引きずられる物語。 そもそも誰が語っているのか分からない。 二人称かと思ったがそうでもない。守護霊的なもの? ●中島さおり 「私は光の道をあゆまねばならない」18歳の秋に宣言した彼女は友人の危機に……。 ●堀江果歩 負けず嫌いで努力家の少女はマンガ家を目指して……。 ●中村悟堂 諦めない。呪いだろうが、怪異だろうが、友人を救い、惚れた女を取り戻すまでは!
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どう評価すべきか迷う小説はだいたい良い小説だ。傑出したリーダビリティ、その速度から突如脱線する筋の奇妙さ、ロジカルな会話、などなど舞城らしさを感じずにはいられない。登場人物たちは何と闘っていたのか?僕は物語そのもの、想像力そのものだと思う。彼らを葬るのはだれか。作者か読者か、それ...
どう評価すべきか迷う小説はだいたい良い小説だ。傑出したリーダビリティ、その速度から突如脱線する筋の奇妙さ、ロジカルな会話、などなど舞城らしさを感じずにはいられない。登場人物たちは何と闘っていたのか?僕は物語そのもの、想像力そのものだと思う。彼らを葬るのはだれか。作者か読者か、それとも。
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日本語のリズムは相変わらずとても小気味いい。 デビュー作の「煙か土か食い物」を読んだ時には、樋口毅宏氏あるいは町田康氏を想起したが、今回は古川日出男氏あたりをイメージしてみたり。 しかしやっぱり一冊丸ごとまとまりで振り返ると、物語として"閉じた"感がないので物...
日本語のリズムは相変わらずとても小気味いい。 デビュー作の「煙か土か食い物」を読んだ時には、樋口毅宏氏あるいは町田康氏を想起したが、今回は古川日出男氏あたりをイメージしてみたり。 しかしやっぱり一冊丸ごとまとまりで振り返ると、物語として"閉じた"感がないので物足りないと思ってしまう。 序盤から中盤にかけてストーリーに引き込む力はあるし、文章そのものも気持ち良いんだけど、読了した時にトータルでのカタルシスが得られない。 今作は裏表紙の紹介文に"ホラー長編"とあったけれども、どうやっても3つの中編が並んでいるようにしか見えなくて、私の読解力の問題かもしれないけれど、それぞれの間に有機的なリンクは見出せなかった。 もっと乱暴に言ってしまうと、あくまで"雰囲気もの"として力でゴリ押しされてしまったかのような感さえあった。 要するに、実にもったいない。 …と思いつつ、まだ「深夜百太郎」が気になっているのでまあ今度読んでみようか…。
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twitter文学賞受賞作ってことで。舞城作品は、だいぶ前に『煙か~』を読んで以来。それなりに楽しめたものの、読書巧者がこぞって誉めそやすほどには入れ込むことが出来ず、数作品買ってはみたものの、どうにも手が伸びず、今まで距離を置いてきてしまっていた。自分も読書キャリアを経てきたし...
twitter文学賞受賞作ってことで。舞城作品は、だいぶ前に『煙か~』を読んで以来。それなりに楽しめたものの、読書巧者がこぞって誉めそやすほどには入れ込むことが出来ず、数作品買ってはみたものの、どうにも手が伸びず、今まで距離を置いてきてしまっていた。自分も読書キャリアを経てきたし、作者もどんどん円熟度を増しきてるだろうし、っていう風に双方の良い条件が重なったおかげもあってか、本作は上記作品よりも遥かに楽しめました。内容は、珍しい(そして難しいであろう)二人称で描かれる、中編×3編から成るもの。各主人公の背後霊的な”淵の王”目線で、ちょっとホラー寄りの物語が語られる。登場人物の造形やら、ホラーの味付けやらがそれぞれに絶妙で、あまり長くない作品の中に、それぞれの人生が濃縮されてつまっているのも良い。俄然、彼の他作品にも興味が沸いてきました。
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不気味なだけでオチが! 正体ハッキリしない系オチ! 世界設定ハッキリして欲しい派だからスッキリしなかった。
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舞城王太郎やっぱしんど〜おもいながら読んでいたけどさいごの怒涛の展開で気づいたらちょっと泣いてたしやっぱりええわ〜っていうのが読後一番の感想 ゾッとする感情も、愛も、あったよ今回も
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名前のない二人称は主人公を愛し、慈しみ、彼らの魔と悪への対峙を見守る。二人称のその無力さが、読む者が必然的にもつ無力さとシンクロするため、読後に不思議な余韻を残すのだと思う。 ストーリーにわかりやすい対立構造をもつ「さおり」と、インパクトのある強敵と格闘する「悟堂」に比べて、「果...
名前のない二人称は主人公を愛し、慈しみ、彼らの魔と悪への対峙を見守る。二人称のその無力さが、読む者が必然的にもつ無力さとシンクロするため、読後に不思議な余韻を残すのだと思う。 ストーリーにわかりやすい対立構造をもつ「さおり」と、インパクトのある強敵と格闘する「悟堂」に比べて、「果歩」には明確に対立する敵や実体化した敵が登場しない。広瀬や絵の少女がそうかというと違う気がする。強いて言えば自分自身の意識下にある何か、または健全な外観からは見えない悪なるものである。それに気づかない者は、恐らく生涯気づかない。また気づいたときには「怖いことを考えることそのものが、悪い影響を持つ」というテーゼのもと、すでに手遅れになっているのである。 つまり「深夜百太郎」を完成させた舞城は、もういろいろと手遅れなのかもしれない。でもきっと、「果歩」のラストで二人称が消えかけたときのような執念をもって復讐のチャンスをうかがっている。
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