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本物の読書家 の商品レビュー

3.7

11件のお客様レビュー

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2023/07/29

乗代さんの本を全部読もうと思い、2冊目。中編二つあるが、特に「未熟な同感者」にぐっとくる。書くこと、読むこと、がテーマになるのはいつもなのだろうか。サリンジャー、ボヴァリー夫人、など引用されつつゼミが舞台で、文系ゼミの鬱屈と楽しさを思い出す。

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2022/04/17
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

川端康成の『片腕』を代作した大叔父上を老人ホームに送ろうとする『本物の読書家』、サリンジャーを読むゼミでの怪しい教授と美少女を描く『未熟な同感者』。どちらも教養溢れてすごいけれど、後者は「書く」こと「読む」ことの意味を哲学的に考察するような文章の引用が多くて論文みたいで難しかった。頭を手淫して文章を射精させる。

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2021/01/26

2021年1月11日読了。 電車に乗る主人公と大叔父、そして乗り合わせた男。 3人で展開される、三谷幸喜的とも言える1シチュエーションもの。 “読書家”の定義や使い方が面白い。 乗り合わせた男も独特で、「エロ事師たち」のスブやんを思わせる喋り口。 「川端康成からの手紙」を入り口...

2021年1月11日読了。 電車に乗る主人公と大叔父、そして乗り合わせた男。 3人で展開される、三谷幸喜的とも言える1シチュエーションもの。 “読書家”の定義や使い方が面白い。 乗り合わせた男も独特で、「エロ事師たち」のスブやんを思わせる喋り口。 「川端康成からの手紙」を入り口と引っ張りに独自の展開を見せる個性的な世界観。 ●P19 ●P65 ●P104 ●P121

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2020/10/09

文学論議の合間に、大叔父と川端康成に関係はあったのか、というミステリー仕掛けが挟まれ、さらに会話をする3人の関係性が一言一言で変わっていく。一気に読んでしまいました

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2020/06/28

文学論と物語が巧みに並行して進む。 難解なのに一気に読めるのは、作者の筆力か。 読む、書くという行為について 深く考えさせられる。

Posted byブクログ

2020/04/29

【本物の読書家】 純文学らしさに囚われておらず自由な構成、展開が魅力的だった。ミステリー要素もあり、大叔父の秘密が結局本当なのかがわからないところがまた良かった。一番印象的なシーンは髭が植えられた本がでてくるところ。 【未熟な同感者】 サリンジャーを中心とした評論と女子大生の日...

【本物の読書家】 純文学らしさに囚われておらず自由な構成、展開が魅力的だった。ミステリー要素もあり、大叔父の秘密が結局本当なのかがわからないところがまた良かった。一番印象的なシーンは髭が植えられた本がでてくるところ。 【未熟な同感者】 サリンジャーを中心とした評論と女子大生の日常が交錯するような作品。古典文学からの引用をふんだんに盛り込みながらも人々の会話とかはやけに現代的だったりするその組み合わせのギャップに新鮮さを感じた。オリジナリティがすごい、それは著者の膨大な読書体験に支えられているであろうことが伝わってくる。

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2018/12/18

2篇収録されていて、もう1篇の『未熟な同感者』の方が私は面白かったです。構成とテーマと書き方どれも新しく、作中の講義内容がとても興味深かった!ほぼ全部を引用したいほどです。講義のテーマの中心人物となるのはサリンジャー。有名すぎて読んでいないので(有名な作家を読むのは何だか恥ずかし...

2篇収録されていて、もう1篇の『未熟な同感者』の方が私は面白かったです。構成とテーマと書き方どれも新しく、作中の講義内容がとても興味深かった!ほぼ全部を引用したいほどです。講義のテーマの中心人物となるのはサリンジャー。有名すぎて読んでいないので(有名な作家を読むのは何だか恥ずかしい気分になります)これを機に読んでみたくなりました。

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2018/03/08

 現代小説だね、完全な同感者は。  本物の読者家も、何かどっかに行ってしまった。  語り手は、ちょっとよじれた。

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2018/02/10

なにかで書評をみて気になって。中編がふたつ。 「本物の読書家」は、川端康成から手紙をもらったことがあるという大叔父から、彼を老人ホームまで送り届けるという体でその真相を聞かされるつもりだった青年が主人公。 しかしその鈍行列車の車内で、関西弁のミステリアスな男に絡まれて--という話...

なにかで書評をみて気になって。中編がふたつ。 「本物の読書家」は、川端康成から手紙をもらったことがあるという大叔父から、彼を老人ホームまで送り届けるという体でその真相を聞かされるつもりだった青年が主人公。 しかしその鈍行列車の車内で、関西弁のミステリアスな男に絡まれて--という話。 川端やカフカといった文豪のエピソードに導かれるように、本物の読書家とはなんなのか?と考えさせられました。 「事実は小説より奇なり」に対するアンチテーゼ。その事実の構成員に本物の読書家は決して含まれない。本物の読書家は事実の中に棲まうことを拒否する。言うなれば異邦人なのだ。 「未熟な同感者」は、とある文学ゼミで集まった4人の大学生のほろ苦い青春のようなもの。 難解な論文や文献の引用が多く、まるで私まで教授の講義を聴いているようでした。 こちらの題材はサリンジャー。書くことってなに?読むことってなに?という読書の本質を問い質してきます。 「読む」とは「書く」と同じ強度でそれを自動詞として体験すること。うーんむずかしい。 大学生4人の人物造形が魅力的でした。

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2018/07/07

二編の中編小説が収められている、なかなか素敵な装丁の小説集。 文学に関するウンチクや引用がちりばめられている一方で、ミステリーっぽいというか、どんでん返しが設定されたりしていて、「ドキドキさせる堀江敏幸」(本家は基本的には何も起こらない)という感じ。 あまり他に似たタイプの小説...

二編の中編小説が収められている、なかなか素敵な装丁の小説集。 文学に関するウンチクや引用がちりばめられている一方で、ミステリーっぽいというか、どんでん返しが設定されたりしていて、「ドキドキさせる堀江敏幸」(本家は基本的には何も起こらない)という感じ。 あまり他に似たタイプの小説家はいないような気がする。 伏線とその回収だけが楽しみではなくて、出てくる人物がなかなか魅力的なのも良い。 長編小説を読んでみたい作家である。

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