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火定 の商品レビュー

4.1

75件のお客様レビュー

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2024/05/03

奈良時代の疫病大流行。単なる知識だけだったが、この物語のお陰でそこに生きる人々を想像することができた。 現代よりもずっと未知のことが多い時代。疫病は計り知れないほどの恐怖だっただろう。何かにすがりたいのも当然。でも、そんな人間の姿は疫病と同じくらい怖い。

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2023/12/06

描写がグロテスクで、読み進めるのがきついと感じるほど。ただ、コロナ後の今なら、これは少しも大袈裟ではないのだと、残念ながら思えてしまう。 病気も悲惨だが、人の世界そのものが醜悪で、それでもそこで生きていく、生きていかなければならない、その姿が、きれいごとではなく描かれていた。この...

描写がグロテスクで、読み進めるのがきついと感じるほど。ただ、コロナ後の今なら、これは少しも大袈裟ではないのだと、残念ながら思えてしまう。 病気も悲惨だが、人の世界そのものが醜悪で、それでもそこで生きていく、生きていかなければならない、その姿が、きれいごとではなく描かれていた。この作品の舞台は奈良時代だが、いつの時代も人類はこうやって生きてきて、そして今もこれからも、どうにかこうにか生きのびていくのか、いけるのか、時代を超えた重い内容で、読み終わってもきつさが残った。最後に描かれた登場人物の強さは、救いにつながるのだろうか。

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2023/11/02

面白くあっという間に読み終わりました。登場人物は人間味に溢れ、時に道に迷いながら感染症と戦う。最後まで飽きずに読めました。

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2023/05/18

現代の医療は昔と比べて素晴らしく進歩しているが、感染症にたいする恐怖は今も昔も同じ。目に見えない敵に為す術もない

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2022/08/08

頼れない国 感染病、パンデミックに対する藤原時代の官民の動き。現代と変わらず、国を司る医事薬事等は病人から退避、健闘するのは庶民の医者と看護する下働き者だけ。現代で風で言うならば国から補助金をもらっている医療機関はほんの一部が治療するだけで、国民が頼れるのは民間の医者と看護婦だけ...

頼れない国 感染病、パンデミックに対する藤原時代の官民の動き。現代と変わらず、国を司る医事薬事等は病人から退避、健闘するのは庶民の医者と看護する下働き者だけ。現代で風で言うならば国から補助金をもらっている医療機関はほんの一部が治療するだけで、国民が頼れるのは民間の医者と看護婦だけだ。さらに最終的な感染病に対する処方箋は「自己予防対策」しかないと言うことだ。 出自、コネで出世、後は競合他者を排除すれば例え学がなくとも頂点に立てるのが現代社会の出世の道だ。周りには生まれた時から大臣などと言われた輩もいるだろうが果ては中身の無い薄い出世欲しか無い人間になるだけとなる。 現代、政治家を見ているとまさに経験・専門知識が全くない輩が大臣級に上り詰めドタバタするだけで何も発信できない無策状態となっている、将来の日本は危うい、と感じているのは私だけだろうか。

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2021/12/27

歴史好きなので、手にとった本。 奈良時代の流行病について書かれた本です。 なにやら現代と通じるところもありますね。 人って、本質は変わらない?イロイロと考えさせられる内容でした。

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2021/12/13

今のコロナ禍を予知していたかのような小説。人は自分が理解できないものを恐れ、見えない敵を作り暴走する。作中の人名や役職など、最初は読み方が難しく戸惑うが、慣れてくると先が気になり、あっという間に読み進められた。病状や死骸の描写はかなりエグい表現だが、解説を読んで少し理解できたよう...

今のコロナ禍を予知していたかのような小説。人は自分が理解できないものを恐れ、見えない敵を作り暴走する。作中の人名や役職など、最初は読み方が難しく戸惑うが、慣れてくると先が気になり、あっという間に読み進められた。病状や死骸の描写はかなりエグい表現だが、解説を読んで少し理解できたように思う。別の作品も読んでみたい。

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2021/10/15

【琉球大学附属図書館OPACリンク】 https://opac.lib.u-ryukyu.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB25147815

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2022/05/13

奈良の平城京で起こったパンデミックの物語。 新羅から帰ってきた使節の一人が発熱した。その後、亰では次々と病に倒れる者が続出する。発熱し、数日経つと一時的に熱が下がる。治ったかと思いきや、全身に豆粒のような発疹に覆われるのだった。 本作は蜂田名代(はちだのなしろ)と猪名部諸男(いな...

奈良の平城京で起こったパンデミックの物語。 新羅から帰ってきた使節の一人が発熱した。その後、亰では次々と病に倒れる者が続出する。発熱し、数日経つと一時的に熱が下がる。治ったかと思いきや、全身に豆粒のような発疹に覆われるのだった。 本作は蜂田名代(はちだのなしろ)と猪名部諸男(いなべのもろお)という二人の人物の視点で物語が進んでゆく。 名代は役人になれたものの施薬院勤務を命じられて不満を抱えている。諸男は宮廷で薬の調合の仕事をしていたが無実の罪を被せられ、この世の全てを恨んでいる。 屈託を抱えた二人の前に、裳瘡(天然痘)という恐ろしい病が現れた。 施薬院にいる名代は、裳瘡で苦しむ民を少しでも救おうと奮闘する人たちと、内心反発を抱きながらも共に戦う。諸男は、獄中で知り合った者達と怪しげなまじない札を売り始める。 1980年にやっと根絶宣言がされた天然痘。その猛威は身体だけでなく心までも蝕む。熱や発疹に苦しみながら死んでゆく人、まれに助かったとしても、発疹の痕が残り絶望する人。病の恐ろしさに詐欺まがいのものを信じる人、デマに踊らされ暴徒化する人。そんな人間の醜さを、名代と諸男二人の視点から残酷なほどに描かれている。 本作ではとにかく人が死に、遺体が腐る。その描写も容赦なくされている。グロと言ってしまえばそれまでだが、少し前まで元気に過ごしていた人たちが、病であっという間に命を奪われ、腐った骸となって蝿がたかる様は人の命はなんと儚いものなのかと泣けた。 これは千年以上前の天平時代の物語である。現代は医療技術やその他いろいろな技術発展により、当時より生活はかなり良くなったけど、人間の根源は基本的にあまり変わっていないと思う。 感染症に脅かされている今だからこそ読んでおきたい一冊。

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2021/05/21

奈良時代が舞台の日本版「ペスト」的な話。 登場人物がわかりやすく、ストーリーも予想通りなのだが、基本に忠実な展開ですっきり読めた。 天然痘という未曽有の災厄が訪れる中、抗う者、怯える者、絶望する者、自暴自棄になる者、嗤う者、そして被害者たち。舞台の配役をイメージできる。 主役...

奈良時代が舞台の日本版「ペスト」的な話。 登場人物がわかりやすく、ストーリーも予想通りなのだが、基本に忠実な展開ですっきり読めた。 天然痘という未曽有の災厄が訪れる中、抗う者、怯える者、絶望する者、自暴自棄になる者、嗤う者、そして被害者たち。舞台の配役をイメージできる。 主役がダークサイドからライトサイドに立ち直る姿は様式美だがやっぱり王道である。安っぽくなるか心が震えるかは作者の力量次第だが、本作はすんなり入って来た。 まるで現代マスゴミのような悪役が印象的だった。小説らしく、自分の行為が悪であることを自覚し、自分自身の破滅も覚悟しているだけマスゴミよりははるかにマシだが。 舞台設定の奈良時代についてほとんど知らないことに気がついた。平安時代が舞台の「陰陽師」「応天の門」「源氏物語」「羅生門」からそれより前を想像したら妖怪しか思い浮かばなかった... 。 700年代で遣唐使があったわけだから法や行政制度はできていただろうし、キリスト教の悪影響がなかっただけ医学もそれなりには発展していただろう。少し勉強したくなった。

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