港の人 の商品レビュー
「いちべついらい 田中和子さんのこと」を読んだときに出てきた北村太郎さんの詩集。 やさしいことばで横浜の風景を撫でるような詩なんだけど、病に侵された死のにおいや乾いた自嘲が色濃く出ていて詩全体が冷たく透き通っていくような、そう思えば逆に実体をもってこちらの胸を鷲掴みにしてくるよう...
「いちべついらい 田中和子さんのこと」を読んだときに出てきた北村太郎さんの詩集。 やさしいことばで横浜の風景を撫でるような詩なんだけど、病に侵された死のにおいや乾いた自嘲が色濃く出ていて詩全体が冷たく透き通っていくような、そう思えば逆に実体をもってこちらの胸を鷲掴みにしてくるような…。 巻末に収録されている若い頃の詩がまた、光が強くてせつなくなってしまう。 少し引用したいと思ったけど、どの詩も一部を切り取るととたんに死んでしまう感じがする。なんて繊細なことばの連なりなんだろう。
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言葉は 木の葉ではなく 海の波なのかもしれないと 時々思う 港 船 待ち人 行く人 旅人と 漁師 それだけでもう 詩ではないか と 自然と人間 それだけで 対立している 言葉にならない世界と 言葉という世界の寄り辺に立つ人達と 優しい世界と 厳しい世界と 優しい世界と そ...
言葉は 木の葉ではなく 海の波なのかもしれないと 時々思う 港 船 待ち人 行く人 旅人と 漁師 それだけでもう 詩ではないか と 自然と人間 それだけで 対立している 言葉にならない世界と 言葉という世界の寄り辺に立つ人達と 優しい世界と 厳しい世界と 優しい世界と そうではない世界と 一体 本当なのは どちらなのだろう 珈琲とエクレアと詩人で 描かれた詩人の詩を 初めて読んだ 空のように優しい人は 遠くまで続く海を見つめる人を愛しんだのかと思う
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「海の教訓は とてもきびしい でも もっときびしくてもいいとおもいながら」 「こんど恋人にあったら たましい、こわしちゃってね、っていってやろうか」 さわやかに悪態をついてくる。 読みやすくて、きれいな詩集。
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