テヘランからきた男 の商品レビュー
中途採用という異色のスタートから社員20万人を抱える東芝という大企業の社長となった西田厚聰さんに関する本。ビジネスマンとして、本当に才能があり、実績も残し、すごい人だということは分かったが、最後には欲に溺れ、自分を正当化する。WHの買収、パソコン事業でのバイセル行為。過去を振り返...
中途採用という異色のスタートから社員20万人を抱える東芝という大企業の社長となった西田厚聰さんに関する本。ビジネスマンとして、本当に才能があり、実績も残し、すごい人だということは分かったが、最後には欲に溺れ、自分を正当化する。WHの買収、パソコン事業でのバイセル行為。過去を振り返っても、反省しても現実は変わらないが、この方、また歴代社長の判断によってどれほど多くの人が露頭に迷ったことか。内部にいても全く情報が無かったが、こんなやりとりが上層部ではあったのかと。
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数年前に東芝が「不正」会計問題でメディアに取り沙汰されていた頃、自分はあまり何も知らずに東芝を横目で冷ややかに見ていた記憶がある。もちろん西田厚聰なる人物も知らず、東芝がひとつの企業としてどのような歴史をたどり、どのようなことをしていたのかも知らなかった。単に、日本的な企業の成れ...
数年前に東芝が「不正」会計問題でメディアに取り沙汰されていた頃、自分はあまり何も知らずに東芝を横目で冷ややかに見ていた記憶がある。もちろん西田厚聰なる人物も知らず、東芝がひとつの企業としてどのような歴史をたどり、どのようなことをしていたのかも知らなかった。単に、日本的な企業の成れの果て、というような単純で穿った見方しか持っていなかった。 西田厚聰はその経歴や考え方、物事の進め方などおよそ常人からはかけ離れており、そのような人物を社長に指名した東芝という会社も実は大胆不敵な組織であったのではないだろうか。しかし、WH買収、SWの減損問題、原子力事業に関わる成り行きを見ると、西田厚聰もどこかで目が曇り始めていたのだろうか。後継者の佐々木則夫との確執についても、佐々木則夫個人にも問題はあっただろうが、リーダーとしてもっと別のやり方はなかったのだろうか。単に世界の変化に対応しきれなかったと言うのは簡単かもしれないが、西田厚聰ほどの人物であっても、晩年にはそのすごみが陰ってしまった原因は何であったかのだろうか。
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2020年5月2日読了。 土光や西田というカリスマが東芝を発展させた経緯が描かれた前半では、彼らの才能だけでなく、彼ら自身の独自のモノの考え方や人知れぬ努力も記されており、偉人伝を読んでいるような感覚があった。 しかしながら後半以降では、リーマンショック以降の業績悪化を皮切りに、...
2020年5月2日読了。 土光や西田というカリスマが東芝を発展させた経緯が描かれた前半では、彼らの才能だけでなく、彼ら自身の独自のモノの考え方や人知れぬ努力も記されており、偉人伝を読んでいるような感覚があった。 しかしながら後半以降では、リーマンショック以降の業績悪化を皮切りに、東芝だけでなくそれを支えた経営者の行く末に暗雲が轟き始める。 西田の半生を読んだ側としてみたら、巨大企業の栄枯盛衰を見ているようでどこか寂しい気持ちになるが、WH社との関係、世界における原子力ビジネス、佐々木をはじめとした社長人事…どれを取ってもリスク管理が十分ではなく、土光の時から問題視されていた公家企業から完全に逸脱できていなかったことが露呈されている。 東芝という大企業を社長が完全にコントロールすることは至難の技だとは思うが、会社の長だからこそ周りの人間との助け合いが重要であり、権力欲や過剰な競争心、嫉妬はそうした信頼構築に傷をつけるものであると痛感した。
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西田社長ー会長 東芝の戦略を確立した 「半導体と原子力」に選択と集中を進めた 尊敬するウェルチGE氏の経営戦略手法を踏襲したものか・・・ そのダイナミックさは社内外の高い評価を得、株価も倍へ しかし時は味方せず リーマンショックと 東北大震災・福島原発事故 半導体と原発を直撃 ...
西田社長ー会長 東芝の戦略を確立した 「半導体と原子力」に選択と集中を進めた 尊敬するウェルチGE氏の経営戦略手法を踏襲したものか・・・ そのダイナミックさは社内外の高い評価を得、株価も倍へ しかし時は味方せず リーマンショックと 東北大震災・福島原発事故 半導体と原発を直撃 それまでの西田経営には誤りはないが、結果的にリスクが過大だったということ 経営は結果責任 でもリタイアした西田氏は責任を受け入れず むしろ自己正当化 東芝ものでは出色の一冊 それでも後味は不味い 世界グローバル化に対応してきた男 西田社長 それでも晩節を汚す 勲章と財界ポストはダメ 人を腐らせる
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権力は腐敗する。 より上の世界を知るとその世界の住人になりたいと願い、そこに至るとそこから落ちることを怖れるようになる。 優秀な人材で有ってもその罠を逃れることが出来る人は少ない。そのような人たちをトップにしてしまった会社の悲劇である。 力のある会社なので、真っ当な会社になって欲...
権力は腐敗する。 より上の世界を知るとその世界の住人になりたいと願い、そこに至るとそこから落ちることを怖れるようになる。 優秀な人材で有ってもその罠を逃れることが出来る人は少ない。そのような人たちをトップにしてしまった会社の悲劇である。 力のある会社なので、真っ当な会社になって欲しい。
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2018年3月22日読了。東芝のパソコン事業を立て直し社長に上り詰めたイラン出身・東大卒の異端児・西田の活躍と「名経営者」の晩年とは。東芝の粉飾決算の発覚・特別損失の計上はつい最近の話であり、非常なリアリティを感じつつ読むことができた。会社は一人でやるものではないし内部・外部の様...
2018年3月22日読了。東芝のパソコン事業を立て直し社長に上り詰めたイラン出身・東大卒の異端児・西田の活躍と「名経営者」の晩年とは。東芝の粉飾決算の発覚・特別損失の計上はつい最近の話であり、非常なリアリティを感じつつ読むことができた。会社は一人でやるものではないし内部・外部の様々な要因に対応して行うものだから、誰でも常勝し続けることはできないし、死の間際においても「名経営者」の評判が覆ることはありうることだ。が、「リスク」がリスクである以上、何かにチャレンジすることには失敗が伴うことは当然なのだが、前半のドラマになりそうな快男子ぶりと、最後のインタビューに見える姿のギャップは非常に寂しさを覚える…。西田が社長職を辞する直前、なぜPC事業が赤字転落したのか・西田の変節はどのようにして起こったのか、については記述が端折られているように感じる、病床の西田が多くを語らなかったのだろうし取材が難しい部分だったのだとは思うが、ここはもっと著者の仮説でいいから読みたかったところ。
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2018年3月11日読了。 300ページ。 ウエスチング・ハウス(WH)買収時の東芝社長、西田厚聰氏への長期取材に基づくノンフィクション。 早稲田大学から東大大学院に行き、東芝のイラン現地法人に中途で採用され、社長まで登りつめる。 イランでの合弁会社を成功させ、撤退間際のパ...
2018年3月11日読了。 300ページ。 ウエスチング・ハウス(WH)買収時の東芝社長、西田厚聰氏への長期取材に基づくノンフィクション。 早稲田大学から東大大学院に行き、東芝のイラン現地法人に中途で採用され、社長まで登りつめる。 イランでの合弁会社を成功させ、撤退間際のパソコン事業を立て直し、一時期「世界のDyna book」と言われるまで成長させた辣腕が、なぜ東芝を没落させたのか。 西田氏だけが悪かったわけではないが、(私は西田氏の次の社長の佐々木氏に一番問題があったと思っている。)企業というものはトップの判断で生きるも死ぬもという怖さを感じる。 あの東芝でさえ「あいつしかいなかった」という理由で社長に推挙しなければならないということ。「地位が人を育てる」ということが万能ではないこと。 西田氏は極めて優秀な人だったが、なぜ東芝壊滅のきっかけを作ってしまったのか? など、あっという間に読了する傑作。
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平家物語ですな。盛者必衰。奢れる人も久しからず、ただ春の夜の夢のごとし。猛き者もつひにはほろびぬ、ひとへに風の前の塵に同じ。 結局、西田氏はコングロマリット(東芝がコングロマリットかどうかは難しいところだが、白物家電と原子力は異業種でしょう)の代表の器ではなかったのでしょう。西室...
平家物語ですな。盛者必衰。奢れる人も久しからず、ただ春の夜の夢のごとし。猛き者もつひにはほろびぬ、ひとへに風の前の塵に同じ。 結局、西田氏はコングロマリット(東芝がコングロマリットかどうかは難しいところだが、白物家電と原子力は異業種でしょう)の代表の器ではなかったのでしょう。西室氏・西田氏・佐々木氏それぞれのルサンチマンに振り回された大企業が風前の灯火ですが、今後どうなるのでしょう。いよいよバンカー(銀行屋かもしれませんが)登場で、ただの中小企業になってしまうのでしょうか。お膝元の府中市民としては気になるところです。
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先日亡くなられた西田元社長を軸に書かれたもの。「東芝機械ココム事件」「イラン革命」「Dynabook」「ロータス1-2-3」など、懐かしい事象に揉まれながら歩んだ西田氏の経歴が語られます。丸山眞男氏、大前研一氏なども登場し、今では反原発派の小泉氏が政権掌握時代に原発を推進すべく、...
先日亡くなられた西田元社長を軸に書かれたもの。「東芝機械ココム事件」「イラン革命」「Dynabook」「ロータス1-2-3」など、懐かしい事象に揉まれながら歩んだ西田氏の経歴が語られます。丸山眞男氏、大前研一氏なども登場し、今では反原発派の小泉氏が政権掌握時代に原発を推進すべく、東芝に圧力をかけたなども紹介。この頃の日本の政治・経済を包含しながら、今の東芝の姿に至る第一級のドキュメンタリーになっています。 大変な勉強家で、就任時には「陽」で皆からも歓迎されながら、どうしてこうなってしまったのか、「陽極まれば陰に転ず」と言えばよいのか、読後には考えさせられます。 「負けず嫌い」な性格でひたすら業績をあげることに注力したのでしょうが、最後のインタビューで、社員に対するコメントがなかったのが痛切です。
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[異能故の功罪]後に大きく傷つくことになる原子力事業に大きく舵を切り,粉飾の原因を作り出したとも批判される元東芝社長の西田厚聰。イランにおける現地法人に採用され,韋駄天のごとく社長の椅子を手にした人物は,どこで歩みを間違え,名門企業を存続の淵に立たせることになったのか.........
[異能故の功罪]後に大きく傷つくことになる原子力事業に大きく舵を切り,粉飾の原因を作り出したとも批判される元東芝社長の西田厚聰。イランにおける現地法人に採用され,韋駄天のごとく社長の椅子を手にした人物は,どこで歩みを間違え,名門企業を存続の淵に立たせることになったのか......。著者は,『堤清二 罪と業 最後の「告白」』で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した児玉博。 ノンフィクションの醍醐味を凝縮したような作品。西田厚聰という人間の歩みが東芝と重なり,そしてそのまま「壊滅」へともたれ込んでいく様子が丁寧に描かれています。他方,本書をしてただの批判本となっていない所以は,西田の成功が東芝の壊滅につながった点を示唆している点。読み終えた後の寂寥感が凄まじい作品でした。 〜光と影。言い古された言い回しだが,西田厚聰という人物の人生にわずかばかりだが,触れさせてもらった率直な感想は,圧倒的に光り輝いた部分と,その光があまりに強いがゆえに濃さを増した影を見たような気がする。〜 サラリーマン/ウーマンなら読んで損なし☆5つ
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