対称性 の商品レビュー
世の中にはいろんな形の対称性があり、わたしたちは、それを美しいと思っています。人間の体は左右対称に近く、植物やある種の生物は放射対称性を持っています。さらに、対称性は物理法則レベルで広く存在しており、数理的な法則の中に逆に対称性を仮定することで、「未発見の粒子があるはず」とあたり...
世の中にはいろんな形の対称性があり、わたしたちは、それを美しいと思っています。人間の体は左右対称に近く、植物やある種の生物は放射対称性を持っています。さらに、対称性は物理法則レベルで広く存在しており、数理的な法則の中に逆に対称性を仮定することで、「未発見の粒子があるはず」とあたりをつけることもできます。そして、それは多くの場合、実際に発見されてきました。 わたしたちの脳が美しいと思うから、対称性という視点が生まれ、その視点のもとで物理法則を構築するから、法則が対称性を含むのか、自然界の絶対的真理が対称性をもとに構築されるのでわたしたちは対称性を好むのか?それは本書のテーマではありませんので読み取ることはできませんでしたが、大事なことかと思います。わたしたちは、「釣り合い」を日々判断して生きていますが、(例えば、悪いことをした人が社会的にどれくらいの罰をうけるべきか、自分の能力がどれくらいの給与に相当するか)それも、自分の中にある天秤=対称性を釣り合わせる評価軸があるからなのでしょう。それが生じる理由は今は明らかではないですが、世の中にどのような対称性があり、どのように整理されているのかを知ることはとても有意義で、本書はその助けになります。 群論の議論は込み入っているので、さらっと読み飛ばしても差し支えないと思います。また入門書を探して見たいと思います。
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タイトルの「対称性 不変性の表現」は少し仰々しい。 原著はIan Nicholas Stewartで同じようなテーマで一般向けの書籍が多数出版されている。プロの数学者。 本書はサイエンス・パレットから出版されているように、対象は大学生から高校生である。(同シリーズの目的は「高...
タイトルの「対称性 不変性の表現」は少し仰々しい。 原著はIan Nicholas Stewartで同じようなテーマで一般向けの書籍が多数出版されている。プロの数学者。 本書はサイエンス・パレットから出版されているように、対象は大学生から高校生である。(同シリーズの目的は「高校レベル基礎知識で学びなおす」らしい) ということで特に数式を使うことなく対称性を説明している。 が、内容はやや専門的である。 対称性という概念を一般的に説明した後に、Lie代数を導入し、抽象的な群論から導き出される帰結を多数紹介している。 高校生向けの本にいきなりSO(3)とか書かれても、読者はついていけないと思う。 厳密な数学的な証明が主目的ではなく、そこから導き出される帰結が重要ということは本書の意図からわかるが、それでも「高校生レベル」の読者を置いてけぼりにしている感じはいなめない。 本書を入門書の位置付けとして読むのであれば、Ian Nicholas Stewartの「対称性の破れが世界を創る: 神は幾何学を愛したか?」、「自然の中に隠された数学」、「もっとも美しい対称性 」のほうが適していると思う。
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