詩人なんて呼ばれて の商品レビュー
先月亡くなった日本でもっとも有名な、ただ1人の職業詩人の評伝。 昔懐かしのネスカフェのCM以来のお付き合いだったが、一時、100万回〜の佐野洋子と夫婦だった時期がある。ということと、阿佐ヶ谷に住んでいる。というくらいしか知らなかったので、今さらながら、人となりを知りました。 個人...
先月亡くなった日本でもっとも有名な、ただ1人の職業詩人の評伝。 昔懐かしのネスカフェのCM以来のお付き合いだったが、一時、100万回〜の佐野洋子と夫婦だった時期がある。ということと、阿佐ヶ谷に住んでいる。というくらいしか知らなかったので、今さらながら、人となりを知りました。 個人的には昔の詩壇の話などはよく分からなかったけど、村上春樹との共通点についての考察などが面白かった。 なんだか今年は、亡くなった人の本をよく読んでいた気がする…
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あらかじめ主義主張があってそれに自分の言いたいことをあてはめていくのではなく、その時その時に浮かび上がる自然に生まれたことを後からつなげていく。それが谷川俊太郎の流儀なのだろうと思った。それはややもするとかなり散漫な足取りとなりうる。無計画にかつ野放図に、書いたものが広がっていく...
あらかじめ主義主張があってそれに自分の言いたいことをあてはめていくのではなく、その時その時に浮かび上がる自然に生まれたことを後からつなげていく。それが谷川俊太郎の流儀なのだろうと思った。それはややもするとかなり散漫な足取りとなりうる。無計画にかつ野放図に、書いたものが広がっていくわけだから……そう考えると尾崎真理子によるこの仕事はそんなバラエティに富んだ谷川俊太郎をポータブルな1冊の本に仕上げたということで、実に「敏腕」というか「辣腕」が発揮されたグッジョブということになる。この詩人を知りたい人に薦めたい
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インタビュアーの尾崎真理子さんは読売新聞の文化部の記者だった方のようですが、大江健三郎とか瀬戸内寂聴とかのインタビューもあって、相手が相手だけに、大変だろうと思うのですが、それぞれツッコミどころがいいというのでしょうか、読んでいてイライラしませんね。 本書は詩人、谷川俊太郎に...
インタビュアーの尾崎真理子さんは読売新聞の文化部の記者だった方のようですが、大江健三郎とか瀬戸内寂聴とかのインタビューもあって、相手が相手だけに、大変だろうと思うのですが、それぞれツッコミどころがいいというのでしょうか、読んでいてイライラしませんね。 本書は詩人、谷川俊太郎に対するインタビューで、初期から現在に至るまでの、詩人の回想を自然に聞き出しています。読みすすめながら、谷川俊太郎の「詩」の、流行り言葉でいえばアーカイブを自然と辿り直す構成です。 その上というか、その結果というか、添えられている詩を再読しながら、その当時の詩集まで手にとり直させてくれるという、思はぬ谷川俊太郎総復習の、机のまわりがとっ散らかってしまう、本人は楽しくて同居人には叱られてしまう読書でした。 ブログにも感想書きました。覗いてみてください。 https://plaza.rakuten.co.jp/simakumakun/diary/202108270000/
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小さい頃から知っていたが、よく知らない人ということで、雑誌か何かのおすすめで知り、読んでみた。 谷川俊太郎は有名だけれども、何もわかっていなかったし、アバンギャルドだけれども、筋が通っている話だった。個人的に意外なことが多く、厚めの本だったが早めに読んでしまった。 同じような...
小さい頃から知っていたが、よく知らない人ということで、雑誌か何かのおすすめで知り、読んでみた。 谷川俊太郎は有名だけれども、何もわかっていなかったし、アバンギャルドだけれども、筋が通っている話だった。個人的に意外なことが多く、厚めの本だったが早めに読んでしまった。 同じような人にはいいかもしれない。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
谷川俊太郎さんの詩集を何冊か続けて読んだので、興味がわき、図書館で借りたら大当たりの本でした。 どれだけ内容を理解できたかは別として、知的好奇心がワクワクして、最近読んだ本の中でダントツに面白かったです。 現代詩の歴史や、谷川さんの詩に対する思いや、私生活まで大変、興味深い内容でした。 谷川さんと、村上春樹さんを並べているあたりも、面白いと思いました。 ただ、三人の奥様との関係は(三人ともほめたたえていらっしゃいますが)、女性としてはなんだか複雑な気持ちがしました。
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「詩人なんて呼ばれて」(谷川俊太郎/語り手・詩、尾崎真理子/聞き手・文)を読んだ。今年最初の一冊は、詩人谷川俊太郎への3年越しのロングインタビューを含む尾崎真理子渾身の一冊。 ほんとこれはすごいですから。 なんだかんだ言ってもやっぱり私は朔太郎でも中也でもなく谷川俊太郎が好きさ。
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聞き手の尾崎真理子さんは、石井桃子の評伝も書かれていて、気になっていた方でした。 谷川俊太郎は私にとって、「20億光年の孤独」こどもの絵本や、最初にシュルツの「ピーナッツ」を日本に紹介して翻訳した人。そして、佐野洋子のもと夫でした。 3回目の妻となった佐野洋子。彼女の才能に惚れ込...
聞き手の尾崎真理子さんは、石井桃子の評伝も書かれていて、気になっていた方でした。 谷川俊太郎は私にとって、「20億光年の孤独」こどもの絵本や、最初にシュルツの「ピーナッツ」を日本に紹介して翻訳した人。そして、佐野洋子のもと夫でした。 3回目の妻となった佐野洋子。彼女の才能に惚れ込み、刺激を受けながら、批評しないと気が済まない彼女から、きつい言葉を投げかけられながらも、初めて気付かされたたくさんのこと。父である谷川徹三が死ぬまで、「世間知らず」だったと。 この本は、ご本人も気づいていなかった「谷川俊太郎」を導き出している、すごい評伝だと思いました。
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自伝以上の 谷川俊太郎さんの自伝に なっている 聞き書きをはるかに超えて もはや一冊の 谷川俊太郎論に なっている 谷川さんの詩集が その時代と密接に関係し その時代に溶解し そこから言葉が 紡ぎ出されていった その過程が なんともお見事です この世の中から 「本」というもの...
自伝以上の 谷川俊太郎さんの自伝に なっている 聞き書きをはるかに超えて もはや一冊の 谷川俊太郎論に なっている 谷川さんの詩集が その時代と密接に関係し その時代に溶解し そこから言葉が 紡ぎ出されていった その過程が なんともお見事です この世の中から 「本」というものが そして 「詩集」というものが 決してなくならないだろうと 改めて思わせてもらえました
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哲学者だったお父様、谷川徹三氏を語るところから始まるり、谷川俊太郎という天才を紐解く、尾崎真理子氏。すごい人だなと思う。このインタビューと、谷川俊太郎作品の解説、なんて知的に掘り起こしていくんだろうと、とてもおもしろいんだけど、あまりに知的な解説ぶりに、私なんて理解しきれずたじろ...
哲学者だったお父様、谷川徹三氏を語るところから始まるり、谷川俊太郎という天才を紐解く、尾崎真理子氏。すごい人だなと思う。このインタビューと、谷川俊太郎作品の解説、なんて知的に掘り起こしていくんだろうと、とてもおもしろいんだけど、あまりに知的な解説ぶりに、私なんて理解しきれずたじろぎました。 前半の私の知らない谷川俊太郎の生い立ちがとにかく面白く(ラジオドラマなどの脚本書いてただなんて!)サクサクとへえへえ!と読み進めていると、中盤からの3人の歴代の妻君についての辺りで、女として読みづらくなって… でも平成の軽やかな谷川俊太郎像にまた安心して最後まで読み切った。なんとも壮大な時間を、時間かけて読みました。 天賦の才を持った詩人なんだと感心してしまったのが、小学校1.2年生の頃の日記に 「けさ、生まれてじめて朝をうつくしいと思った」 と書いてあったというエピソード。 向かいの家のニセアカシアの木の向こうから太陽が昇るのをみて、きれいだと感じ、その瞬間のことを文章におさめたのだという! 哀しみや貧しさや、喪失感からでなく、自然の美しさの讃歌が谷川俊太郎という人の詩の根源なんだと、戦後の鎮魂歌をうたってきた詩人とは違う。それが現代にも軽やかに受け入れられるおじいさん詩人の秘密。 村上春樹との類似点も述べられていた。ぜんぜん違うんだけど、なんていうか、太宰治や三島由紀夫が生理的に苦手という村上さんと、詩壇の異星人と言わてきた谷川俊太郎さん、確かにどこか近しいものは感じました。なにひとつ不自由ないくらしの中から生まれてきた作品という点とか、河合隼雄氏に傾倒していたところとか。 まだまだ時代に求められ、活動し続ける谷川俊太郎。この本を読むのもいいけれど、やはり詩を読みたいなと思わされました。 今欲しいのは「トロムソ・コラージュ」かな。
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2017年63冊目。 谷川俊太郎さんが歩んできた人生を振り返りながら、濃厚なインタビューを交えて「詩」「言葉」の本質に触れられた。 その本質は、「あやふやな豊かさ」みたいなものを持っている、と感じる。 書き手の自我をはっきりと表現するのではなく、自我をなくして世界を取り込み、そ...
2017年63冊目。 谷川俊太郎さんが歩んできた人生を振り返りながら、濃厚なインタビューを交えて「詩」「言葉」の本質に触れられた。 その本質は、「あやふやな豊かさ」みたいなものを持っている、と感じる。 書き手の自我をはっきりと表現するのではなく、自我をなくして世界を取り込み、そこで受胎したものを、ただ安産させる。 「創り手」である以上に、「通路」なのだと思った。 はっきりとした意図の元に紡いだ言葉ではなく、もっとあやふやなのだけど、生命力が削がれる前の生々しさと美しさを持っている言葉。 「加工前」、と言ってしまうと機械的な印象過ぎるけど、可能な限り「あるがまま」に近づこうと試みているのだなと思う。 そう思って改めて詩に触れると、昔はわからなかった楽しさや美しさが、本当に強く感じられるようになった。 「人生は日々のものである。そして人生が日々のものである限り、詩もまた、日々のものである」 形而上学的な思索の結果ではなく、あくまで日々の中に眠っているものを詩にする谷川さん。 私生活の暴露まで厭わないあたりが、生粋の詩人なんだなと思った。 (奥さんはちょっと大変そうだったけど)
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