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絞首台の謎 新訳版 の商品レビュー

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4件のお客様レビュー

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2023/09/10
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※このレビューにはネタバレを含みます

バンコランの悪魔的なところを思う存分楽しんだ。 霧のロンドン、会員制クラブに届く絞首台の模型、死者だけを運転席に乗せて走り回る車、死刑執行人を名乗る脅迫の手紙。攫われた美女、行方不明になるエジプト人の富豪。予告の手紙には実在しない土地の名前が書かれ、攫われた富豪が絞首されるのはどこか、犯人に名指しにされた警部はロンドン中を捜す。 エジプトの品々やら過去の決闘沙汰やら、色々なものが混じり合って幻想的な雰囲気の中、謎を解けたら晩餐を奢らせるなどというかけに乗って推理するバンコラン。人命かかってるんだよ!?という感じだけど、まあかかってるのも悪い奴の命ではあり…。 最後、ご機嫌に鼻歌を歌うバンコランが本当に悪魔的ですごかった。面白かった。

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2022/08/21

アンリ・バンコランの第二作です。サリニー事件の七か月後「銀の仮面」初日観覧のため霧深いロンドンに来ていた魔王様一行の目前、死体を運転席に乗せたリムジンが走り抜け滞在中のクラブに着きます。所轄の警部は「ルイネーション《破滅》街の絞首台で吊るされたぞ」と殺人予告があったと言い、そんな...

アンリ・バンコランの第二作です。サリニー事件の七か月後「銀の仮面」初日観覧のため霧深いロンドンに来ていた魔王様一行の目前、死体を運転席に乗せたリムジンが走り抜け滞在中のクラブに着きます。所轄の警部は「ルイネーション《破滅》街の絞首台で吊るされたぞ」と殺人予告があったと言い、そんな街は無いと怪しみます。タイムリミットもの張りに48時間以内に犯人を挙げると豪語する〈サリーちゃんのパパ〉もとい魔王様。語り手はジェフ・マールでラブロマンスもあります。幻想的なロンドンを彩る新訳は素晴らしいの一言です。(1931年)

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2019/01/11

米国の作家の書くものはアメリカンジョークと言うのか、何を言っているのか分からないことがあるなあと思っていたが、カーのは特に多い。 さらにこの作品は理解できない描写も多くて、それが気になって頭に話が入らない。感嘆符付きで話しておきながら「冷静に語る」だとか、とろけるような「低い声」...

米国の作家の書くものはアメリカンジョークと言うのか、何を言っているのか分からないことがあるなあと思っていたが、カーのは特に多い。 さらにこの作品は理解できない描写も多くて、それが気になって頭に話が入らない。感嘆符付きで話しておきながら「冷静に語る」だとか、とろけるような「低い声」とか、気心が知れていたとはいえ元部下が元上司に「それがね」なんてタメ口で話してみたり。。。 そればかりでなく、冒頭で犯人が分かってしまって、どうにも楽しめなかったなあ。ある意味犯人が驚くべき早さで分かってしまった記念すべき1冊。

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2017/11/30

舞台は1930年頃の霧の都ロンドン。初冬の11月。クラブのラウンジにおかれた不気味な絞首台のミニチュアの謎から始まる。誰がなんの目的でこんな不気味なものを置いていったのだろうか・・・ ミニチュアから連想されるのは17世紀に実在した死刑執行人ジャック・ケッチ。単なるいたずらか・・・...

舞台は1930年頃の霧の都ロンドン。初冬の11月。クラブのラウンジにおかれた不気味な絞首台のミニチュアの謎から始まる。誰がなんの目的でこんな不気味なものを置いていったのだろうか・・・ ミニチュアから連想されるのは17世紀に実在した死刑執行人ジャック・ケッチ。単なるいたずらか・・・  しかし首を切られ殺された男が乗るリムジンが、操縦するものがいないのに繁華街を暴走したり、霧の中に浮かび上がる絞首台の巨大な影を見たとの目撃情報が届いたり、本物のジャックケッチを名乗る人物からの殺人予告が届いたり、と次から次へと怪奇な現象が連鎖的に起こる。そして警察署にかかってきた謎の通報によりもたらされた幻の街・ルイネーションの存在。それは、一体どこなのか。  これらの怪現象の裏にあるトリックやいかに!?  雑だけど、あらすじはこんなところ。  謎を解くのは主人公の予審判事バンコラン。  とてつもなく頭の切れる人は、おそらく周りの人はすべて馬鹿に見えるのだろう。でもやたらめったら馬鹿にしてても疲れるから、気に障らない限り放って置く。でも何かしら関わらざるを得ないときには会話をしたり、行動を共にしないといけないから、ある程度自分のペースを乱されても、凡人のペースにも合わせてみたりもする。でものっそりもっさりの凡人の思考や所作に段々イライラが募って、あるときダムが決壊したかのごとくに怒涛の罵詈雑言を浴びせてしまう。それも冷徹な言葉で。  バンコランもそんな感じ。    一回目の通読で謎とトリックがわかった後にすぐに再読して、今度はバンコランの言動に注意して読み通した。バンコランは初めから事件の謎という謎はすべてお見通しだったようだ。確かに読み返してみると、細かい描写に後々の複線が張り巡らされている。小林製薬の製品みたいな名前からは想像できないほど優秀だ。それなのに証拠固めのためなのか、凡人たちを無駄に捜査に駆り出したり、泳がせたりで、こき使う。頭の切れる人がよくやりがちな人を人とは思わない人使いの荒さ。それに腹を立てた登場人物もいる。でも君は凡人なんだから、腹を立てるのは筋違いさと言わんばかり。悪びれもしない。  『魔王』と呼ばれているらしい。  小説の最後のページを読んだときは、うわぁ、確かに、と思った。(読めばたぶんわかってもらえると思う)  とてつもなく頭の切れる人は大悪党になるか名探偵になるかのどちらかだと相場は決まっているが、バンコランはたまたま名探偵(正確には予審判事だけど)になっただけで、悪党のほうが面白いと思ったら大悪党になってたんじゃなかろうか。1作しか読んでいないので的外れなのかもしれないが、興味をそそられる人物ではある。この他の作品でどんな活躍をしているのか読んでみたい。

Posted byブクログ