夜の木の下で の商品レビュー
一作目の文体があまりに冗長で、そこからしばらく手にとらなかった。 いざ読んでみればなんてことはなくすぐ慣れた。 どこか憂いを感じるような不思議な作品が多かった。 が、好みでもなかった。 リターンマッチはどこかで読んだことがあるような気がしたし、1番面白かった。
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湯本香樹実さんの文章って頭の中で映像が浮かぶ。 この短編集はなんだか懐かしく、不思議で、どこか暗さを私は感じた。 群青、深緑、そんな感じ。 女友達とのことが描かれた「焼却炉」 姉弟、そして家族が描かれた「夜の木の下で」 この2作品が特に印象的だった。
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若さ、みずみずしさを感じる本。残酷さや切なさも感じるけど読んでて心が休まって、好きだなと思った。 思春期に感じるもやもやした繊細な感情が丁寧に描写されていて共感する部分がある。 自分の成長に応じて読んだらまた違った感じ方が出来そう。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
P77 自分の意志で始めたことなんだから、ひどい目にあったって納得できるでしょ。 わけもわからすまただいじめられているのはいななんだよ。 変わるとしたら、僕の方だ P142 もし恋というものが、相手の持っている時間と自分の時間を重ね合わせたいと願うものなら、あの時僕はもう恋をしていたのだ スピリチュアルな感じで僕には合わなかった。
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まず、この本の装丁が美しい。青い花を密集させた繊細な絵の中にラベルのように貼られたタイトル。図書館で見つけた時は思わず見とれてしまった。そして、本の中身も実に美しい。まるで音楽を聴いているかのような読書体験だった。たまに変調もあるが、全体的にゆったりとした静かな短調の曲が何曲も続...
まず、この本の装丁が美しい。青い花を密集させた繊細な絵の中にラベルのように貼られたタイトル。図書館で見つけた時は思わず見とれてしまった。そして、本の中身も実に美しい。まるで音楽を聴いているかのような読書体験だった。たまに変調もあるが、全体的にゆったりとした静かな短調の曲が何曲も続く。それぞれ様々な想像をかきたてる結末で、1曲1曲おわるたびに胸にずしんとした重みを感じた。何かの教訓を得るとか、考察するだとか、そういうものではなく、音楽を聴くようにこの気だるいようなやるせなさをぼうっと味わう。この本はそういう本なんだろうと思う。
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追憶をテーマに据えた6つの短編集はともすれば悲しいだけになってしまいがちなところを絶妙の匙加減でありきたりにならないよう、それも美しい表現で丁寧に描いていて読後の余韻を楽しめました。女子だともっと共感できるのかもしれませんね。
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例えば 深く 碧く 透明な 湖の底 穏やかで 静かで 淡々と 粛々と 水は動く 時も刻む 水底から 上を見上げれば 眩しい光 たゆたう花びら グルグル 時間を戻す そして みんなバターみたいになればいい なにもかも いっしょくたに なればいい この本は 感想が書きづらい ...
例えば 深く 碧く 透明な 湖の底 穏やかで 静かで 淡々と 粛々と 水は動く 時も刻む 水底から 上を見上げれば 眩しい光 たゆたう花びら グルグル 時間を戻す そして みんなバターみたいになればいい なにもかも いっしょくたに なればいい この本は 感想が書きづらい 過去の数々の洗濯物 それが 今日に繋がっていて やがて 明日にも 繋がっていく
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思い出すことで記憶が引き寄せるように現れる。今の自分は、過去の記憶の積み重ねの上にある。「リターン・マッチ」「夜の木の下で」がよかった。2019.7.14
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湯本香樹実さんの書くストーリーはいつも不思議な懐かしさを感じさせてくれる。自分が同じ体験をしたわけでもないのに何故だろう。 表題作の「夜の木の下で」は希望の持てる終わり方でホッとしました。
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自分自身の子供の頃、大人になってしまった今となっては思い返すこともない出来事や当時の感情を彷彿と蘇らせてくれる連作短編集。 小・中学生のころ、この小説に出てくるような体験や出来事はなかったとしても、そこに湧き上がる子供の頃の感情、思い出はどの作品にも私自身の「当時」を、それも忘れ...
自分自身の子供の頃、大人になってしまった今となっては思い返すこともない出来事や当時の感情を彷彿と蘇らせてくれる連作短編集。 小・中学生のころ、この小説に出てくるような体験や出来事はなかったとしても、そこに湧き上がる子供の頃の感情、思い出はどの作品にも私自身の「当時」を、それも忘れてしまっていたあの頃を思い出させてくれる。それは懐かしかったり、悲しかったり、色々な感情がないまぜになったものである。 このような繊細な文章で情景を描き、登場人物の感情を描く湯本香樹実という作家のすごさを感じさせる。もう一度、一文一文を味わいながら読み返してみようと思う。
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