死体展覧会 の商品レビュー
作品紹介・あらすじ 現代アラブ文学の新鋭が放つ鮮烈な短篇集 アラビア語版がヨルダンで直ちに発禁処分を受け、ペンギン社から刊行された英訳版がPEN翻訳文学賞を受賞した、イラク出身の鬼才による14の短篇集。 「死体展覧会」:人を殺し、その死体をいかに芸術的に展示するかを追求する...
作品紹介・あらすじ 現代アラブ文学の新鋭が放つ鮮烈な短篇集 アラビア語版がヨルダンで直ちに発禁処分を受け、ペンギン社から刊行された英訳版がPEN翻訳文学賞を受賞した、イラク出身の鬼才による14の短篇集。 「死体展覧会」:人を殺し、その死体をいかに芸術的に展示するかを追求する謎の集団。その幹部である「彼」は、新入りエージェントの「私」に心得を説く。「我々は狂信的なイスラーム集団ではないし、非道な政府の手先でもない」。そして「彼」は、〝陳腐な人道的感情〟に感染したあるエージェントの末路を語りだす……。 「アラビアン・ナイフ」:僕たちは「ナイフの術」で結びついた仲間だ。4人は目の前のナイフを忽然と消すことができ、ただひとり僕の妻だけが消えたナイフを取り戻すことができる。ナイフはこの国を覆う残虐さの象徴なのか? 謎はいっこうに解けぬまま月日は流れ、ある日、消息不明になっていた仲間の最期を知る男が訪ねてくる……。 独特の奇想が悪夢のように展開し、どれも忘れがたい幕切れを迎える。イラク戦争をめぐる文学において、米国の作家とはまったく異質な感性が登場したと高く評価され、20以上の言語に翻訳されている。作家は1973年バグダッド生まれ、現在はフィンランド在住。 ***** バグダッド生まれで現在はフィンランド在住の作家による14篇からなる短篇集。 空想話から虚実入り乱れたもの、ドキュメント風から寓話風のもの、と様々あるのだけれど、そのどれにも理不尽な暴力が前面に押し出されている印象。読んでいて楽しくはない。 これがイラクの現実なんだな、と短絡的に分かった体をすることもできないし、かといって全くの作り物じゃないか、と現実から目を背けるような態度も取れない。とてももどかしい気持ちにさせられた。いずれにしても読んでいて楽しくはない。
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イラクはこんな状況なのか、だったのか、暴力が当たり前の世界と今自分のいるところとのあまりの違いに驚く。精神的なものか、そうでないのか、区別がつかないぐらいの世界観で、この世界の向こう側みたいなところは村上春樹にちょっと似てるかも。
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混乱のイラク出身作家の作品なだけあって、暴力と死の描写に容赦がないです。 しかし、死と汚泥の中に幻想的な詩情があり不思議な感じ。 基本一人称で進むのに、作中劇や時間の跳びがあるので、そこが読みにくかったです。
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難しくて読みにくかった。ストーリーも???っていうのが多くて、意図されたシュールなのか、常識が違いすぎて伝わってこないのかは謎。 ーーーーーーーーーーーーー この世界では抜け目なく生きなきゃダメだ。今日死ぬか30年後に死ぬかなんてどうだっていい。大事なのは今日だ。 誰かが、それ...
難しくて読みにくかった。ストーリーも???っていうのが多くて、意図されたシュールなのか、常識が違いすぎて伝わってこないのかは謎。 ーーーーーーーーーーーーー この世界では抜け目なく生きなきゃダメだ。今日死ぬか30年後に死ぬかなんてどうだっていい。大事なのは今日だ。 誰かが、それは神に禁じられている、とか、そんなこと間違ってる、とか言ってきたら、そいつのケツを蹴り飛ばしてやれ。その神は出鱈目もいいところだからな。それは連中の神であって、お前の神じゃない。お前の神とはお前自身だ。 その名の下に飢え死にしても苦しんでも構わないという信者や泣き虫がいなければ、神なんか存在しない。お前はこの世界でどうやって神になるかを学ばなきゃならない。そうすればみんな、お前の糞を飲み込みながらケツを舐めてくれる。
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イラク出身、2004年からフィンランド在住の映像作家、作家。小説の作風はイラクの暴力を生のまま剥き出しに示す。のため、アラビア語圏ではなかなか発表されなかった。暴力シーンを緩和した版もヨルダンではすぐ発禁。イタリアの出版社からアラビア語訳が2015年に出る。 一方、様々な歴史的・...
イラク出身、2004年からフィンランド在住の映像作家、作家。小説の作風はイラクの暴力を生のまま剥き出しに示す。のため、アラビア語圏ではなかなか発表されなかった。暴力シーンを緩和した版もヨルダンではすぐ発禁。イタリアの出版社からアラビア語訳が2015年に出る。 一方、様々な歴史的・文化的背景を持つ移民たちを、まとめて「ムスリム」と呼んでしまうヨーロッパ側の反応にも批判的エッセーを書いている。 彼の第1短編集「自由広場の狂人」、第2短編集「イラク人キリスト」からの14編セレクトして編集したアメリカ版短編集の英語版からの訳が本書。藤井氏の着目点である「英語で書く非英米系作家」ではない(ブラーシムはアラビア語で書く) 今日はそんな中から最後と最初「カルロス・フェンテスの悪夢」と「死体展覧会」。自分がこれを手に取ったきっかけの「カルロス・フェンテスの悪夢」は、作家フェンテスとは全く関係のない、イラク人の清掃人がオランダに亡命するに至って変えた名前。サリーム・アブドゥルフサイン改めカルロス・フェンテスは、オランダ語を覚え、オランダ人女性と結婚し、市民権を得る。悲惨な母国を忘れ、受け入れ国の国民に成り切ること、それが彼の目的だった。が、そうしているうちに彼は悪夢を見、奇矯な行動を繰り返すことになり、悪夢の中で転落死してしまう。 「死体展覧会」は「芸術的」に人を殺し、その死体を市街に展示するという謎の集団。こういうのがイラクにいるのか、フィクションとしてもそれを提示する意味はあるのか、ちょっと自分の中で疑問の一つ。ひょっとしたらこれはイラクから投影した先進資本主義社会の姿なのかも。 この世界では、アイスクリームを舐める映画女優が何十という写真や記事になり、飢餓に苦しむ遥か彼方の村までに届く。悲鳴と踊りのこの石臼こそが世界なのだ。 (p10〜11) (2018 11/25) ブラーシムの静なる構図 昨夜(というか今日未明)と今日、「死体展覧会」から読んだ短編 「コンパスと人殺し」「グリーンゾーンのウサギ」「軍の機関紙」「クロスワード」「穴」「自由広場の狂人」「あの不吉な微笑」 (読んだ順番は異なる) どれもやはり暴力に溢れた短編(イラクに限らず、作家が今暮らすフィンランドなどでも)なのだが、今まで読んできたものより、幻想的なSF的な要素も増えてきた。バクダットの戦乱の最中落ちた穴にアッバース朝の老人が住んでいたとか(「穴」)、雑誌社へのテロ攻撃時に駆けつけて焼死した警察官の声が助かった男の腹に住む(「クロスワード」)とか、なぜか知らぬが微笑が顔に貼り付いて動かせない(「あの不吉な微笑」)とか。 一方「コンパスと人殺し」みたいに、殺伐とした殺しと暴力がただ描かれているような作品でも、ペシャワールでのテロで殺されたアッザーム師のコンパスが作品の筋とは一見無関係に、しかし対峙されて置かれているのが構図的に意味深い。 これは人生をあざける笑顔なのだ、理由もなくこの子供を作り出しておいて、これまた理由もなく力ずくで奪い去っていく人生をせせら笑っているのだ、と穏やかに説明できるのか? (p176 「あの不吉な微笑」) あなたが賢明にして全知全能であり、荘厳な御方であるとは承知しておりますが、あなたもかつて、軍の機関紙にお勤めだったことがおありでは? そして、なぜあなたは、ご自分でお作りになった登場人物たちのために焼却炉を必要とされるのですか? (p50〜51 「軍の機関紙」) なんか、気になる文章二つ引っ張ってきたら、どちらも似たような痛切な問いかけの文章になった。とにかく書かれている表面の筋から、構図や印象の力で落ちていく深いところへと。 あと5編、続けて今日中に読み終えるのはやめておく。 (2018 12/02) えっと、日曜に残りのうち2編、火曜日に2編、木曜日に1編で読み終わり。12/06読み終わり。返却したあとここに書いてないの気づいたので、感想メモは空白…
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ファンタジー・・・なんだよな・・・??? 海外文学特有の現実と非現実の狭間みたいのが・・・怖かったな・・・
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最後の一行で全てがひっくり返るという経験を久しぶりにした。特に「死体展覧会」には驚かされた。人生が変わるような本として雑誌に紹介されていたけれど、まさにその通りだと思う。どの短編に出てくる登場人物にも、それまでの人生があるのが当たり前のように描かれていて、一気に世界の中へ引き込ま...
最後の一行で全てがひっくり返るという経験を久しぶりにした。特に「死体展覧会」には驚かされた。人生が変わるような本として雑誌に紹介されていたけれど、まさにその通りだと思う。どの短編に出てくる登場人物にも、それまでの人生があるのが当たり前のように描かれていて、一気に世界の中へ引き込まれていく。最後の一行でひっくり返されたり途中で予想していたのとは全く違う方向へ行ったり、自由自在、変幻自在。すごく面白かった。そして、中東の当たり前が私にとっての当たり前とは違うことも知った。色々な面で大変勉強になる本だった。
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バクダッド生まれフィンランド在住という異色の(映像)作家。出身、タイトルからして不穏な雰囲気。悲惨で血みどろ、平山夢明さんみたいな感じかしら。どきどき。読む。確かに陰惨ではある。しかしクールで疾走感あり、むかーしに読んだチャールズ・ブコウスキーを思い出した。 語り手はどれも若者で...
バクダッド生まれフィンランド在住という異色の(映像)作家。出身、タイトルからして不穏な雰囲気。悲惨で血みどろ、平山夢明さんみたいな感じかしら。どきどき。読む。確かに陰惨ではある。しかしクールで疾走感あり、むかーしに読んだチャールズ・ブコウスキーを思い出した。 語り手はどれも若者で(短編)「全くもって嫌な世の中だが気にした所でどうにもならねえ。道は他にねえ。自分も歯車の1つになるしかねえ。」という空気感が、まさに現代の日本で生きる国民にカチッとフィットする。自分には爽快感溢れる読書でした。
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やっっっっっと読み終わった。長い戦いだった。読みにくいわけではないのだけれど、あまりにも意味が分からなさすぎて読破までに本当に時間かかった。意味が分からない、というか共感できない?安寧たる日本社会で育ってきた私には当たり前なのかもしれないけれど、登場人物の感情の機微がまず拾えない...
やっっっっっと読み終わった。長い戦いだった。読みにくいわけではないのだけれど、あまりにも意味が分からなさすぎて読破までに本当に時間かかった。意味が分からない、というか共感できない?安寧たる日本社会で育ってきた私には当たり前なのかもしれないけれど、登場人物の感情の機微がまず拾えないし行動の意図も分からないし、加えてSF的というか非現実的な短編もままあるから更に混乱した。ただ全短編を通して、イラクという国(またその周辺地域が)圧倒的な暴力に支配されているということは伝わってきた。暴力によって生まれるものが悪意であれ狂気であれ、また善良たる人間性を保とうとする努力であれ、作者は非情にも思える冷静さでそれらを平等に客観的に描いている、ように私には思える(自信ない)。日本の小説にはない、息苦しいほどの暴力による圧制の中で産まれた、まさしく"文学"だな、という感じ。「記録と現実」「カルロス・フエンテスの悪夢」が特に面白かった、、、というか理解できた。また時間をおいて読んだらちゃんとこの本の真価を解することができるかもしれないな、、、
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世界の小説を読む第42冊目イラク 暴力と抑圧が日常茶飯事だと伺える、1970年代のイラク生まれの筆者の短編集。戦争、テロ、拉致に拷問、血と、肉に、骨。あるべきではない物事がいとも簡単に家に、庭に、路地に侵入し、日常を侵す。そして加害者と被害者の立場も、まるで爆撃に遭ったかのように...
世界の小説を読む第42冊目イラク 暴力と抑圧が日常茶飯事だと伺える、1970年代のイラク生まれの筆者の短編集。戦争、テロ、拉致に拷問、血と、肉に、骨。あるべきではない物事がいとも簡単に家に、庭に、路地に侵入し、日常を侵す。そして加害者と被害者の立場も、まるで爆撃に遭ったかのようにすぐさま暗転し。これらの暴力は決して「不条理」なんかではなくて、この世界の「条理」なんじゃないかと思える程だ。文体は淡々としているが、ずりずりと地獄に引き込まれるので読む人は注意!一般人を殺害し、芸術的に街中に展示する事に対して報酬が支払われる表題作の「死体展覧会」、金髪の二人の偉業に狂う「自由広場の狂人」、暴力の象徴とも思えるナイフを消す能力を持った仲間達の「アラビアン・ナイフ」が14編の中で特に好きだった。
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