Black Box の商品レビュー
顔を出し実名で会見を開くとは、なんと勇気ある行動だろう。デートレイプドラッグ、普通に処方される眠剤とお酒を同時に摂取することで意識がなくなる、だから信頼する人と飲食を共にするときにも安心しきってはいけない、そんなふうに考えたことがなかった。 さらにレイプを受けた時はまず救急外来に...
顔を出し実名で会見を開くとは、なんと勇気ある行動だろう。デートレイプドラッグ、普通に処方される眠剤とお酒を同時に摂取することで意識がなくなる、だから信頼する人と飲食を共にするときにも安心しきってはいけない、そんなふうに考えたことがなかった。 さらにレイプを受けた時はまず救急外来に行って(婦人科ではなく)証拠を保全することが重要、これは知識としてもっと広まらなければいけない。警察に行けば何とかなると考えていた為、ショックだった。 けっこうメンタルにくるので弱っているときにはおすすめできない。
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これは多くの人が読んだ方がいい、ドキュメンタリー映画も出るようなので日本でも公開して欲しいな(というか配信で見れるようにしてほしい、ジブリの様にはならないように)。 ちょっと気になったのは、捜査に主体的に頑張ってくれた高輪署のA刑事について。被害者である伊藤氏の為に色々頑張って、...
これは多くの人が読んだ方がいい、ドキュメンタリー映画も出るようなので日本でも公開して欲しいな(というか配信で見れるようにしてほしい、ジブリの様にはならないように)。 ちょっと気になったのは、捜査に主体的に頑張ってくれた高輪署のA刑事について。被害者である伊藤氏の為に色々頑張って、逮捕状が握りつぶされた際には、ある種本音で守秘義務がある組織上の問題についても被害者に対して開示をした。まではいいんだけど、これ本に書いちゃうと、A刑事の出世の道断たれちゃうと思うのよね、自分の組織を批判していたことが公になっちゃうわけだから。A刑事って勿論読者にはわからないけど、警察関係者はわかっちゃうわけよね。この本に載る事A刑事は了解してたのよね?してない気がするのよね、ちょっとだけ。了解しているんだったら本の中に書いておいてほしい、サラリーマンとしては気になっちゃう。 しかしこういった職務上の力関係を利用して、女性を搾取しちゃうのはダサいわよね。しかもさ、睡眠薬使うのは更にダサいわよね、まともに告白して断られるのが怖いんでしょ、要するに。そういった意味で自分は社会的には馬鹿にされているナンパ師を尊敬している、彼らは少なくともストリートで無視される、断れるリスクを取って勝負している。断られるのが怖くて睡眠薬使っちゃうおじさんとは格が違うのよ。 これをきっかけに社会がいい方向に変わってほしいと願いつつ、しかし悩ましいのは伊藤さんすげー美人ってとこなのよね、こういうハイスぺ美人で気が強い系の人って同性からも異性からも共感得られにくい問題ある気がするのよね。本読めば、伊藤さん自身は高い志を持って頑張っている普通にいい人なんだけど、ぱっと見記者会見見ただけだと誤解されやすよ、これは。 後意外だったのは、ハイスぺの割に実家は太くないということかしら。海外留学とかって裕福な家庭の子が行くので、精神的な余裕もある気がするけど、割と貧しい家庭環境の子だったから、海外で生活に結構苦しんだり、何とか仕事で成功せなあかん、と結構追い詰められてたことが、今回の事件に巻き込まれる引き金になってる気もするのよね。 とりとめないけど、色々考えさせられたわ。とりあえず娘は満員電車には乗らせたくないし、イモ洗いプールにも連れて行かない。
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この本を読むと、日本は安心・安全の国ではないと感じる。(特に女性にとっては。)法治国家としての日本は、世界からまだまだ遅れているのだと痛感した。
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女性に読んで貰いたい、切実に。 ってな事で、伊藤詩織の『Black Box』 ジャーナリストに成りたいと夢見た伊藤詩織さんが、TBSのワシントン支局長の山口敬之にレイプされた事件。 ちょっと前にニュースにもなってたけど、権力に押し潰された感が満載な出来事。 レイプや痴漢等...
女性に読んで貰いたい、切実に。 ってな事で、伊藤詩織の『Black Box』 ジャーナリストに成りたいと夢見た伊藤詩織さんが、TBSのワシントン支局長の山口敬之にレイプされた事件。 ちょっと前にニュースにもなってたけど、権力に押し潰された感が満載な出来事。 レイプや痴漢等々の性犯罪で泣き寝入りせざるを得ない人々をもう出さない為に、世の中を変える為に立ち上がった伊藤詩織さんが自分の心と身を削りながら戦って来たノンフィクション。 起こってはいけんけど、万が一もし被害にあった時の対応、未然に防ぐ対策の参考になるはずなんでマジで読んで欲しいものです。 2018年76冊目
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日本における性的被害の支援体制、司法システムの問題が、自身の経験を元に詳細に記述されている。 性的被害をうけ、 医療機関や警察にも相談できず、 相談しても満足のいく対応をされず(むしらさらに苦しめられ)、 ずっと苦しんでいる人が 日本にとてもたくさんいるのだということがよくわか...
日本における性的被害の支援体制、司法システムの問題が、自身の経験を元に詳細に記述されている。 性的被害をうけ、 医療機関や警察にも相談できず、 相談しても満足のいく対応をされず(むしらさらに苦しめられ)、 ずっと苦しんでいる人が 日本にとてもたくさんいるのだということがよくわかった。 「魂の殺人」と言われるほどの苦痛。 自分がその加害者にも被害者にもならないように 被害者になった時に迅速に適切に対応できるように そんな苦痛を味わう人が生まれないように 引き続き関心をもっていこうと思う。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
ニュースでは知っていましたが、レイプ被害者によるこの本に書かれたことは、一つの事件についてだけではなく、日本というこの国が国民一人ひとりの基本的な人権についてどう考えているかをも問うものだと思いました。 「売名行為なのではないか」という意見もネットで見たことがありますが、売名行為などしなくても彼女のジャーナリストとしての実力は認められつつあったわけで、逆にこのような心ない言葉をぶつけられるようなリスクを負う必要はなかったはずです。 ニューヨークでジャーナリストとして働きたい。 そのためには学力だけではなく、学校で勉強するための財力も必要となり、彼女は遠回りをしながらもひとつひとつ問題をクリアしながら知識や経験を積み重ねていきます。 体を壊す寸前までバイトをこなしながら。 最初からジャーナリストとしてやっていけるわけではないので、ここでも彼女は少しでも目標に近い場所での実績を積み、人脈を広げていきます。 そんな中で知り合った尊敬する、信頼できる大先輩に彼女は就職先の紹介をお願いするのですが、食事をしていた寿司屋での急な泥酔、意識喪失。 気がついたらホテルの部屋で、男がのしかかっていたのでした。 ジャーナリスト志望の彼女でさえ、突然自分に降りかかったその出来事をどうとらえていいのかわからなく、誰に相談することもできず、体はスケジュール帳のとおりに動きながら、心は混乱を極めます。 とりあえず産婦人科に行ってピルを処方してもらうのですが、それがまず最初のミスでした。 こういう場合は救急に駆け込んで、自分の体の状態をチェックしてもらうことがまず必要。 そういう事すら知られていないのです。 彼女がこの本を書いたのは、まず真実を知りたいこと。 紆余曲折を経て、ようやく逮捕状発行までこぎつけたのに、逮捕予定当日に突然刑事部長の一言で逮捕はしないことが蹴ってします。 担当刑事と検事はその日のうちに異動させられます。 もうひとつ。 レイプ被害者を救うための法律やシステムの整備を促すため。 レイプはされる方も悪いんだという世間の圧力から、声を出せずにいる人たちがたくさんいるのです。 心だって体だって暴力を受けたら痛いんだよ。 見える見えないの違いはあっても傷ができるんだよ。 大きな傷は抱え込んでいるだけでは絶対治らないし、何なら悪化して化膿して壊死してしまうかもしれない。 だからそうならないように、まず心と体のケアが大事。 セカンドレイプなんて言語道断。 そして二度とこのようなことが起きないように、きちんと加害者に自分の仕出かしたことを認識させないと。 逃げ切ったという成功体験は、次の事件への一歩になるかもしれない。 著者も書いている通り、事件前と同じ自分には戻れないのです。 私もハラスメントを受けたことがあるから、うつ病になったことがあるから実感としてわかります。 元の自分には戻れない。 だから、他人を傷つける、他人を壊してしまうような出来事が起こらないような世の中にしていかなければ、と強く思いました。
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真実は、ここにある。 なぜ、司法はこれを裁けないのか? レイプ被害を受けたジャーナリストが世に問う、 法と捜査、社会の現状。 尊敬していた人物からの、思いもよらない行為。 しかし、その事実を証明するにはーー密室、社会の受け入れ態勢、差し止められた逮捕状。 あらゆるところに〝ブ...
真実は、ここにある。 なぜ、司法はこれを裁けないのか? レイプ被害を受けたジャーナリストが世に問う、 法と捜査、社会の現状。 尊敬していた人物からの、思いもよらない行為。 しかし、その事実を証明するにはーー密室、社会の受け入れ態勢、差し止められた逮捕状。 あらゆるところに〝ブラックボックス〟があった。 司法がこれを裁けないなら、何かを変えなければならない。 レイプ被害にあったジャーナリスト伊藤詩織が、自ら被害者を取り巻く現状に迫る、圧倒的ノンフィクション。 伊藤詩織さんが受けた準強姦罪を立証するには、大きい壁がある。 それは、合意があったかどうかを立証するのが難しいから。70%のレイプ被害者は、被害の最中に体が動かなくなる「擬死状態」になるため、「拒否の意思が明確に被疑者に伝わったか」が物を言う日本の裁判では準強姦が立証するのが難しい。 その壁を崩すには、強要があったかどうか、被疑者の証言の嘘を暴けるかしかなく、準強姦の要件を酒や薬などで自分の意思を相手に伝えるのが困難な状態に被害者がある場合は強要された状態と同じと認めるように現実に即した形に改正することが求められる。 スウェーデンにあるようなレイプ緊急センターの設置、取り調べや裁判でのセカンドレイプなどの捜査や裁判システムの問題、「弱い人間を征服し支配したい」という欲望が引き起こす強姦という卑劣で残酷な魂の殺人を無くし立件出来るためにどうすれば良いか男女問わず読んで欲しい渾身のノンフィクションです。
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図書館でたまたま目にし、手に取った本作。一気に読んでしまった。詩織さんとは同じ学年。ずっと日本で育ち、新卒で日系企業に就職し、日々過ごしている私と比べ、なんという人生だろう。 彼女の好奇心や行動力、正義感、きっと周りの人達に助けたいと思わせる信頼を得られる人なのかなと思った。政治...
図書館でたまたま目にし、手に取った本作。一気に読んでしまった。詩織さんとは同じ学年。ずっと日本で育ち、新卒で日系企業に就職し、日々過ごしている私と比べ、なんという人生だろう。 彼女の好奇心や行動力、正義感、きっと周りの人達に助けたいと思わせる信頼を得られる人なのかなと思った。政治や法律に対して絶望的になったが、友人や捜査員のA氏、タクシー運転手、清水さん、弁護士など、世の中誠実に助けようとしてくれる人はいるという希望もあった。 彼女のイギリスの番組でのインタビューを見たが(YouTubeに字幕入りである)、司会者の女性が、毎日何も気をつけずに過ごせたらどんなに楽だろうと言っていた。"何かあった時のために動きやすい靴を履かなくて良い"、"夜遅く歩いても良い"など。 私が一人暮らしを始めた時に母に何度も言われたのが、"お酒を飲めないフリをしなさい"、"エレベーターで男性と二人にならないようにしなさい"、"出来るだけ自宅で宅配便を受け取らない"だった。 不動産屋さんも当たり前のように"ピンク系のカーテンはやめて下さい"、"下着はベランダに干さないように"と言われた。なぜ女性がここまで毎日気をつけて暮らさないといけないのだろうか?そしてそれを守れなかったら被害者なのに責められるのだろう。 彼女の妹は歳が離れているようだが、いつかきっと分かってくれる時が来ることを祈りたい。 政治と司法の権力には恐ろしくなったが、この歳でもし何かあったら婦人科ではなく救急外来、毛髪、血液、尿は取っておくなどの知識を得た。レイプは1番安い武器。女性だけではなく、男性側の教育も進むことを願う。
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ニュースなどで聞いていた内容と、実際詩織さんの手記読んだ後では、私が受け止めた印象は全く違いました。 詩織さんのことをいろいろ非難するのは簡単かもしれませんが、まずはこの本を読んでみてはどうでしょうか。
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裁判は相手側の上告や名誉毀損も受けたが、二審は伊藤詩織が勝訴。事件は2015年の事だから、あれから彼女はこの問題により有名になり、人生を一変せざるを得なかった。事の虚実は、司法が裁く事であり、外野が想像であれこれ論ずるべきではない。所詮、人間関係には多少の下心が介在するもので、そ...
裁判は相手側の上告や名誉毀損も受けたが、二審は伊藤詩織が勝訴。事件は2015年の事だから、あれから彼女はこの問題により有名になり、人生を一変せざるを得なかった。事の虚実は、司法が裁く事であり、外野が想像であれこれ論ずるべきではない。所詮、人間関係には多少の下心が介在するもので、その事でどちらかを批判するのは、あまりにも人間に対して無垢だろう。結局、だからといって、合意なく一方的な性交に及んではならないのだから、相応の判決になる。 被害女性が申告し難い社会制度である事、一方で冤罪を生みやすいデリケートな性質の犯罪でもあり、賛否議論は必至。この機に、より良い仕組みに変わろうと考えさせる社会的影響という意味で、彼女の勇気には大きな意義があると思う。
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