世界は四大文明でできている の商品レビュー
またしても橋爪先生の1冊。今回は企業のトップに向けたリベラルアーツの講義として行われたものを1冊にまとめられた。世界を相手にビジネスをする人にとって、この四大文明―「キリスト教文明」「イスラム文明」「ヒンドゥー文明」「中国・儒教文明」-を知らないではすまされない。特に人口から考え...
またしても橋爪先生の1冊。今回は企業のトップに向けたリベラルアーツの講義として行われたものを1冊にまとめられた。世界を相手にビジネスをする人にとって、この四大文明―「キリスト教文明」「イスラム文明」「ヒンドゥー文明」「中国・儒教文明」-を知らないではすまされない。特に人口から考えて、中国・インドのことはよくよく知っておく必要がある。忠より孝とか、カースト制とか何となくわかったような気はする。ユダヤ教をはじめとする一神教は皆おなじ神を信じているということ。アッラーが最後の預言者であるということ。ユダヤ教やイスラム教には生活の中にいくつかの決まりがあること。キリスト教にはそれがないこと。などなど確認できたことも多い。そして、何とも分かりにくいのが日本のこと。もともと日本で信じられてきた神と新たに入ってきた仏教との間にどう折り合いをつけるのか。天皇との関係はどうするのか。などなど、どうもわかりにくいことが多い。橋爪先生の本などを通して、こうした知識を血肉にしていかなければならない。まあでも、本当いうと個人と個人の関係が一番大きいのだろうけれど。
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「神はいるのか?」 この問いを目の前にしたときの日本人の反応はだいたいこんな感じでしょうか。「神?えっ、信じてるの?笑」はい、これで終わり。初詣や合格祈願には行くけれど、神に対してあんまり興味がない。でも、グローバルな場で生きていくには、この問いはけっこう大事だよ、というお話。 ...
「神はいるのか?」 この問いを目の前にしたときの日本人の反応はだいたいこんな感じでしょうか。「神?えっ、信じてるの?笑」はい、これで終わり。初詣や合格祈願には行くけれど、神に対してあんまり興味がない。でも、グローバルな場で生きていくには、この問いはけっこう大事だよ、というお話。 「世界は四大文明でできている」の四大文明は、キリスト教文明、イスラム文明、ヒンドゥー文明、中国・儒教文明の4つ。このうちキリスト教、イスラム教(あとユダヤ教も)は一神教です。神さまは一人。天照大神とか豊受大神とかいっぱいいない。神さまは神さまというわけです。 さて神さまが一人だとどうなるか。まず、神さまと人間の関係が全く異なります。「多神教では、たとえば神道では、神さまと人間は友だちのようなもの。一緒に食事をしたり、お酒を飲んだり、お祭りを楽しんだりします。それに対して、一神教では、神様が主人で、人間は僕(しもべ)。僕とは、家来を通り越して、奴隷のことです。」(p.41)一神教の場合、人間は全知全能の神が創造したもので、その人がいつ死ぬか、いつ病気になるか、選挙で当選するか、はたまたギャンブルで当たるかまで全て神の思うがままです。人間には価値がありません。でも、一神教を信じる人たちは、価値がないはずなのに自信たっぷりだったりする。これは、人間に価値があるかどうかは神が決めるので、神が自分を支えていると思っている人は自信たっぷりになる。少なくとも目の前にいる人間には左右されないよ、ということです。キリスト教圏、イスラム圏が個人主義なのは、こういう考え方に根ざしているわけですね。 日本は四大文明のどれにも根ざしていないわけで、どの文明の考え方もあんまりしっくりこない。でもグローバル社会においては、他の文明の人たちと交流があるわけで、その人たちがどういう考え方をしているか、その根本にあるものを理解しておくのは極めて重要だと思います。日本は宗教教育がほとんどされてないですが、こういうことを知らない人ばかりというのは、どうなんでしょうね。「神はいるのか?」という問いは、グローバル化した現代において笑ってスルーするような話ではない、いつまでもこういった話から避けていると世界から取り残されやしないか、ということです。
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