劇場 の商品レビュー
初めて読んだウクライナ作家の作品。 自伝的作品で未完の傑作とされているらしく、なんだか、なぜこれを手に取ったのか記憶にないが、とんでもないものを読んでしまったな…と思ったり。 これは現実なのか?舞台なのか?それとも夢なのか妄想なのか?という、それこそ劇的な場面転換があったのが印象...
初めて読んだウクライナ作家の作品。 自伝的作品で未完の傑作とされているらしく、なんだか、なぜこれを手に取ったのか記憶にないが、とんでもないものを読んでしまったな…と思ったり。 これは現実なのか?舞台なのか?それとも夢なのか妄想なのか?という、それこそ劇的な場面転換があったのが印象的だった。特に執筆の場面など。 また主人公の人間観察も面白い。《この男は驚嘆すべき人物だ》などの心中でのツッコミ笑 自分の書いた戯曲が劇場の都合で先延ばされているにも関わらず、劇場のことを忘れずにはいられない、引き込まれていく主人公の様子が面白い。 秘書の口述筆記、フィリッポヴィチの3人同時の会話、主人公の名前がひたすら間違えられるセリフなどなど、やはり様子がおかしく、非常に劇的な表現だと感じた。 何より解説のおかげでだいぶ理解が進んだ、ありがたい。 言論統制や表現の自由がバチバチに厳しい時代に、スターリン本人に手紙を書き続け、さらにスターリン本人からの電話を受けたこともあるという、現実は物語より信じがたいことが作家自身に起きている。(なんやねんそれ。) そういうもろもろを考えると理不尽な契約や、勝手に嫉妬され、勝手に批判されている様などは、まさに実体験なのだろう。なかなか理不尽で悲劇的だが、そう感じさせないユーモアというか、スピードというのか……。 あんまりよく分かんないなぁと思いつつ読み進めたが、結構面白いな、という読後。よかった。
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「犬の心臓」をきっかけにロシアの社会主義の歩みをノート一冊分勉強したので、この表現は何を揶揄しているのか、いちいち確認するように読んでしまい疲れた。作者がモスクワ芸術座に作家、演出として関わっていたそうで、自伝のようらしい。内容→小説を劇用に書き直してくれと依頼される。「こんなに...
「犬の心臓」をきっかけにロシアの社会主義の歩みをノート一冊分勉強したので、この表現は何を揶揄しているのか、いちいち確認するように読んでしまい疲れた。作者がモスクワ芸術座に作家、演出として関わっていたそうで、自伝のようらしい。内容→小説を劇用に書き直してくれと依頼される。「こんなに修正されたのでは上演する意味がない」劇場の俳優達は70歳にもかかわらず、21歳の役を演じるつもりでいる。そりゃー作家の大事な作品はめためたにされますよ。演歌の歌番組の世界みたいにどんづまり袋小路の世界。やはり小説と舞台は別物よ。
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未完に終わったブルガーコフ最後の長編。 巻末解説にもあるように、本作はブルガーコフの自伝的な側面が非常に強い。あの当時のソビエトという国で、粛清されなかったというのはラッキーだったのかもしれないが、では幸福だったのかというと疑問が残る。 反面、作中に描かれる世界は悲喜こもごも、作...
未完に終わったブルガーコフ最後の長編。 巻末解説にもあるように、本作はブルガーコフの自伝的な側面が非常に強い。あの当時のソビエトという国で、粛清されなかったというのはラッキーだったのかもしれないが、では幸福だったのかというと疑問が残る。 反面、作中に描かれる世界は悲喜こもごも、作風としては明るい部類に入るのではないか。『巨匠とマルガリータ』の例を挙げるまでもなく、作風自体は基本的に明るいのがブルガーコフの魅力でもある。
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