ヨコハマメリー の商品レビュー
昭和の終わりから平成初期は、まだ戦争によってなんらかの運命を背負った人がそこここにいたように思う。 メリーさん。自分も都民ですが一度だけ見かけました。子どもでしたが。 ハマっ子の友人は《近々いいことあるよ》と言っていました。一部の人たちからは、そんな幸せのアイコン的存在だった...
昭和の終わりから平成初期は、まだ戦争によってなんらかの運命を背負った人がそこここにいたように思う。 メリーさん。自分も都民ですが一度だけ見かけました。子どもでしたが。 ハマっ子の友人は《近々いいことあるよ》と言っていました。一部の人たちからは、そんな幸せのアイコン的存在だったのかな。 強烈なインパクトは残ったけれど。 新宿には派手な月光仮面の新聞配達の人がいたし(まだお元気で、新宿タイガーと呼ばれているそう。)とはいえこの人はどうやら団塊らしく、戦争の影響があるっちゃあるし…程度かな。 そしてその人たちは思い出したくないのか、寡黙なひとも多い。 でも戦争が遠くなるほどに こういった普通の人たちが背負った戦後は他人の手によってでも記録があった方がいいと思う。 そう遠くない未来、戦争を知る人は残らずいなくなる。 2023年、昭和98年。戦争が終わって78年が経った。
Posted by
横浜の予備校に通っていた頃に西口で初めて見かけ、その存在を知ったメリーさん。 横浜周辺の人たちにはとても有名な方だということをクラスメイトに教えてもらうも、都市伝説かのように個々から語られるプロフィールやエピソードが様々なことがとても不思議で、自分が横浜と縁遠くなってからもずっと...
横浜の予備校に通っていた頃に西口で初めて見かけ、その存在を知ったメリーさん。 横浜周辺の人たちにはとても有名な方だということをクラスメイトに教えてもらうも、都市伝説かのように個々から語られるプロフィールやエピソードが様々なことがとても不思議で、自分が横浜と縁遠くなってからもずっと頭の片隅で気になっていました。 映画は残念ながら観られなかったですが、この本を通じてメリーさんの人となりだけでなく時代の背景なども知り、単なる個人史ではなくちょっとした社会史にもなっているように感じました。 著者や周囲の方の本筋には必要ない個人的なことや、人を悪し様に著してるように感じる箇所が少し多いように思い、ちょっと興醒めしてしまったのが残念です(ドキュメンタリーではなく映画製作記録というのならアリかもしれないけど)。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
ヨコハマメリー ~かつて白化粧の老娼婦がいた 中村高寛著 2017年8月20日発行 河出書房新社 2015年11月、とりさんがプロデューサーを務める「第1回かさぎドキュメンタリー映像祭」が開催され、そこで中村高寛監督作品「ヨコハマメリー」が上映され、ステージ上でトークショーもありました。 不肖わたくし、司会進行役を務めました。 とてもすばらしい映画ですが、中村監督がメリーさんを題材にしたドキュメンタリー映画を思い立ったところから、取材、撮影、編集、試行錯誤でやり直し、上映、ヒット、そしてその後の話に至るまでを詳細に綴った本を、去年の夏に上梓されました。この本です。 とてもおもしろい本でした。あの時には見えなかった中村監督の姿が見えました。 ところで、この中に興味深いことが書いてありました。白塗りのメリーさんが横浜で有名になった頃、三重県津市にもメリーさんがいて、こちらは赤いメリーさんと呼ばれていたとのこと。 また、「80年代に入ると、「メリーさん」と呼ばれる老婆の噂話はいくつもあった。全身緑色をした名古屋市・昭和高校前のメリーさんや、白塗りの顔で派手なドレスを着ていた愛知県一宮市・尾張一宮駅前のメリーさんもいたらしい」と書かれています。 「うわさとは何か」(中公新書、社会心理学者・松田美佐著)に、口裂け女の噂は1978年末に岐阜県から始まって、翌年に全国の小中学校に広まったとあります。 私も、名古屋の平和公園という墓地を舞台にした話を、77年に聞いていますが、その後は各地の田舎町の駅前での目撃情報が続々と生まれていきました。 メリーさんの噂、いずれも東海地区。これって口裂け女の噂となんか共通項があるような。なかなかに興味深いことです。
Posted by
興味深かった。戦前戦後を娼婦として、生きた女性。その女性の話というよりメリーさんを通して横浜、日本の歴史が描かれていた。娼婦の歴史…どんな時代にも
Posted by
メリーさんや、彼女と関わった人たちひとりひとりの人生が、とても重く、濃く、厚く伝わってきた。にもかかわらず、10年という歳月をかけても、その人のすべてを映しとることはできないのだと思った。
Posted by
とっても不思議なのは、娼婦・風俗・色街・売春婦など言われる商売は穢れを表す世間の対応なのに、なんでみんな好奇心や興味を持つんだろう。それは私も同じ。身内からするとやっぱり穢れで、放っておいて欲しいことなんだよなぁ。当たり前か。自分が育った街は、ストリップ劇場、ロマンポルノの映画館...
とっても不思議なのは、娼婦・風俗・色街・売春婦など言われる商売は穢れを表す世間の対応なのに、なんでみんな好奇心や興味を持つんだろう。それは私も同じ。身内からするとやっぱり穢れで、放っておいて欲しいことなんだよなぁ。当たり前か。自分が育った街は、ストリップ劇場、ロマンポルノの映画館、昼サロン、トルコ風呂、赤線跡、風俗なんでもありの街だったので、それが街の一部でもあった。今は何一つ残ってないけど、あの頃が古き良き時代?だったと言うんかな?でも、子どもだった自分からは、気怠い大人が多かったことしか印象にない。
Posted by
子供の頃、都市伝説のように伝え聞いていた、白塗りの娼婦「メリーさん」。彼女の周辺の人々に話を聞き、メリーさんの軌跡をたどった1冊、なのですが。(本であろうと映画であろうと)ドキュメンタリーを作る人々の心に肉薄したところに、この本の凄みがある。時に精神を病み、仲間に裏切られ、取材相...
子供の頃、都市伝説のように伝え聞いていた、白塗りの娼婦「メリーさん」。彼女の周辺の人々に話を聞き、メリーさんの軌跡をたどった1冊、なのですが。(本であろうと映画であろうと)ドキュメンタリーを作る人々の心に肉薄したところに、この本の凄みがある。時に精神を病み、仲間に裏切られ、取材相手に辛辣な態度をとられ、自分が何のために誰のために作ろうとしているのか分からなくなってさえ、追い求めることをやめられない病的な情熱。綺麗事では語れないドキュメンタリー制作の現場の熱気が感じられ、こみ上げるものがありました。時代が過ぎれば街が変わるのは当然だけど、横浜のそれはあまりにも激しく、人間味が溢れている。 横浜にゆかりのない方でも、歴史好きなら楽しめるはず。
Posted by
子どものころ、メリーさんを横浜駅西口で見たなあ。 メリーさんといえば伊勢佐木町というイメージがあったから、西口で見たのは記憶違いだと思ってたけど、西口も縄張りだったんだなあ。 しかしこうして読んでいると、いわゆる”横浜”というのは中区や西区のことなんだなあとつくづく思う。
Posted by
学生時代にメリーさんを見たことがある。横浜出身のクラスメイトに連れられて行ったダイヤモンド地下街で、彼女の指さす先にメリーさんはいた。その後、年月が経ち、記憶のかなたに押しやられていたメリーさんと再会したのは、本牧の映画館のレイトショーで観た映画『ヨコハマメリー』だった。 その監...
学生時代にメリーさんを見たことがある。横浜出身のクラスメイトに連れられて行ったダイヤモンド地下街で、彼女の指さす先にメリーさんはいた。その後、年月が経ち、記憶のかなたに押しやられていたメリーさんと再会したのは、本牧の映画館のレイトショーで観た映画『ヨコハマメリー』だった。 その監督の書いたドキュメントということで、かなり楽しみに読んだのだけれど、正直つまらなくて途中放棄。映画はヒットしたみたいだけれど、私的にはどうしてこういう構成にしたのかな?と思いながら観たので、本には期待していたのに。 ってか、映画があれだから、本がそれを超えることはないってことか。
Posted by
横浜ってところの、いろんな意味でごちゃごちゃしてて、なんでもありな感じが好きだったけど、メリーさんの姿を見かけなくなり、街の姿もどんどん変わって、今は何だかこういう歴史を隠そうとしているようにも見える。 それってなんか、かっこ悪くないですか。
Posted by
- 1
- 2