Ank: a mirroring ape の商品レビュー
一気に読み終えてしまった。 アフリカはウガンダで密猟されたチンパンジーの幼体。読み終えると、意味不明だった表紙が哀しい図柄となって迫ってくる。灰色の影で横向きのank・アンク。仲間を救うための原始の叫びが思わぬ災禍を引き起こす。 手続きを経て京都亀岡の研究所で受け入れられたチン...
一気に読み終えてしまった。 アフリカはウガンダで密猟されたチンパンジーの幼体。読み終えると、意味不明だった表紙が哀しい図柄となって迫ってくる。灰色の影で横向きのank・アンク。仲間を救うための原始の叫びが思わぬ災禍を引き起こす。 手続きを経て京都亀岡の研究所で受け入れられたチンパンジー。そこには類人猿とヒトの進化について研究する若き研究者、鈴木望がいた。望によってアンクと名づけられる。がある日地震が起き・・・ ここからの展開が怒涛のよう。アフリカでの記憶から危険だ、と仲間に知らせる声を発したアンク。すると研究所では所員同士、類人猿同士が殺しあった。アンクは研究所を飛び出し・・ さらに京都市中が殺戮の渦に。 渦は渦を巻き、この描写がまったくもってすごい。わけのわからない暴動は治めることができるのか? 「京都暴動」と当局が名付ける、そのエネルギーの発出が行間から漏れる。そして、その合間に、ヒトの進化の深淵がのぞく。また最後に理由は明かされますが暴動は8分20秒続く、というそこもおもしろい。 パニックの発端、爆発、進延、収束。篠田節子の「夏の災厄」や、映画「アウトブレイク」などを思い浮かべたが、そちらは病原菌が原因で、死者はだんだん弱ってくる、という形。だがこちらは、いきなり人と人が素手で殺しあう「暴動」。そして中心にはチンパンジーのアンクと望がいる。そこがなにか哀しい。 「京都暴動」を基点として、日時と場所と関係者が最初に太字で示され、文章が続く。最初が「京都暴動」の三日目。まったく予備知識なしに読み始めたので、何か暴動が起こるのだ、というのは分かる。そして霊長類研究者の鈴木望、サイエンスライターのケイティ、シンガポール人でAI 開発者で富豪のダニエル・キュイ、亀岡の新しい霊長類研究所、その所員たち。これらが時間を前後して語られる。 鈴木望の考える、ヒトの進化の分岐がおもしろい。ankは古代エジプト語で鏡のことだと説明される。そして鏡に映るのが自分と認識できるかどうか、が進化の分岐点とも。 書き下ろし 第20回(2018年)大藪春彦賞受賞(徳間書店) https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000130.000016935.html 第39回(2018年)吉川英治文学新人賞受賞(講談社) https://www.kodansha.co.jp/awards/yoshikawa/bn 2017.8.22第1刷 図書館
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読み始めは面白くて霊長類研究者について興味が湧き、面白くなる予感しかしなかったのに どんどん読むのが苦痛になっていった 暴動シーンがしつこいし、鏡の理解がどうだとか、 stsat反復がなんだとか、結局最後まで人間が声を聞いただけで、あんな殺し合いをして、その時の記憶を失った理由が理解できずイライラした それを免れた3人の理由も納得できず、、
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時間軸と地域がめまぐるしく変わるのと、諸所の説明がやたら理屈っぽかったりで、全く楽しくなかった。小説は楽しく読みたい派なので、次のテスカが心配になってきた。
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認知革命とは何なのか?ということをかなり大胆に描く本作品の想像力はとても興味深い。確かにそうなのかもしれないと首肯してしまう。 知らないモノへの怯えから発生する遺伝子の変革とそれによるホモサピエンスの突出した進化とは所謂、現生人類の根底にある暴力性が原点にあるのかもしれない…...
認知革命とは何なのか?ということをかなり大胆に描く本作品の想像力はとても興味深い。確かにそうなのかもしれないと首肯してしまう。 知らないモノへの怯えから発生する遺伝子の変革とそれによるホモサピエンスの突出した進化とは所謂、現生人類の根底にある暴力性が原点にあるのかもしれない…という著者の著作に一貫して通底していると感じるテーマに惹かれる。 そして暴力だけではない選択肢を模索する作者のもがきにも共感する。
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AI、霊長類学、言語、DNA、カウンセリング、パルクール、ドラッグ、そしてゾンビ(?)パニック……読み終わった後の満足感が文字媒体のそれじゃない。映画3本一気見したようでした。人生を変えた小説の一つです。 佐藤究の作品の中で1番実写映画化を待望している作品でもあります。 AZ(オールモスト・ゾンビ)とかStSat反復(土星通りのトラウマ)とか京都暴動(キョート・ライオット)とか、この作者のワードセンスが好き。
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おもしろかった。 ロマンと自然と進化の脅威を感じた。 類人猿と人類の違い、興味深い。 人間の鏡像認識は1-2歳で確立するっていうところを読んで、そういえば姪っ子も鏡を見るのがすごく好きだった時期がその頃だったかも?と思い出した。
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図書館にて借りる、第462弾。 (泉南図書館にて借りる、第4弾。) 山田宗樹的なディストピアSFを期待したのだが、そこまでハマらなかった。 決して退屈な訳ではなく、むしろ一気読みに近いものはあったのだが、それでも星4つの満足感は得られなかった。 題材も時制を行き来する構成も...
図書館にて借りる、第462弾。 (泉南図書館にて借りる、第4弾。) 山田宗樹的なディストピアSFを期待したのだが、そこまでハマらなかった。 決して退屈な訳ではなく、むしろ一気読みに近いものはあったのだが、それでも星4つの満足感は得られなかった。 題材も時制を行き来する構成も好みだっただけに残念。 星は3つ。3.5とか。
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佐藤究さんの作品は、科学的な話があってそれをわかりやすく物語に落とし込んでいることが面白いと思う、 今回は、猿から人類への進化のところに踏み込んでいたので、実際はどうなのかということも気になった。
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暴動の前後で描かれたり類人猿の祖先の話で『?』って感じになるかもしれないけど、うーん…何て言うか難しいかもしれないけど面白いと思う。 ちなみに暴力描写が結構キツいと思うので苦手な人にはお勧めしません。
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テスカトリポカで直木賞を取った作者の過去作。個人的にはテスカトリポカよりも身近なスケールで面白さも恐怖も上だった。 作品を読んで「虐殺器官」に設定が似ているなと思ったが、「コインロッカーベイビーズ」や「キングスマン」も似たような状況が描かれていたか。「万物に対する闘争状態」に対す...
テスカトリポカで直木賞を取った作者の過去作。個人的にはテスカトリポカよりも身近なスケールで面白さも恐怖も上だった。 作品を読んで「虐殺器官」に設定が似ているなと思ったが、「コインロッカーベイビーズ」や「キングスマン」も似たような状況が描かれていたか。「万物に対する闘争状態」に対する根源的な恐怖というのは普遍的なものなのかもしれない。ただし他作品との最も大きな違いは悪意を持つものが存在しないという点か。そういう点では全員が被害者でしかなくただただ救われない。さらに最悪なのが8分19秒後に正気に戻るということ、自分が何をしたか分からないまま地獄のような光景に放り出されることになる。 この作者はストーリー自体もすごく面白いが何よりもその裏付けとなる科学知識に脱帽。「StSat反復配列」なんてこの本を読まなければ一生出会うことのなかった単語だと思う。
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