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花びら供養 の商品レビュー

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2021/02/07

こんなにも深く、世界を、人間を、生死を、見つめたひとは他にいないだろうと思う。 著者の石牟礼道子さんは誠に残念ながら2018年に亡くなりましたが、今の世界を見たらなんと仰っただろうかと考えた。 石牟礼さんは、四大公害病のひとつである水俣病に、ただひたすら向き合ったひとだ。 ...

こんなにも深く、世界を、人間を、生死を、見つめたひとは他にいないだろうと思う。 著者の石牟礼道子さんは誠に残念ながら2018年に亡くなりましたが、今の世界を見たらなんと仰っただろうかと考えた。 石牟礼さんは、四大公害病のひとつである水俣病に、ただひたすら向き合ったひとだ。 最所に水俣病の症状が発見されてから12年間、水俣で起こっている惨劇は、無いものにされていた。 工場が水俣湾に流し続けたメチル水銀が原因となり、沿岸に住む何万人もの人々の中枢神経が破壊され、手足が痺れ、舌はもつれ、視界は奪われた。 こんなことが起こってよいのかと思うほどの不条理。 石牟礼さんは、不条理な現実というよりむしろ、不条理そのものを見つめ、ひとの、世界の美しさを見つめた。優しさを、強さを、尊厳を、見つめていた。 メチル水銀を垂れ流していた工場や、近代化の犠牲を供養しようともしなかった日本政府を許していた。ただ水俣病の患者さん達と生き、ご自身も病を抱えて生き、不条理な死と生きていらっしゃった。 凄いものを読んだ。 なかなか感想がまとまらず、時間も経ってしまった。人間とは、尊厳とは、生きるとは、死ぬとは、許すとは。様々なことを考えた。 私も、ここまで深く世界を見つめることができるだろうか。

Posted byブクログ