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いくさの底 の商品レビュー

3.5

26件のお客様レビュー

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2018/01/07
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

古処先生久々に読みました。 本格ミステリランキングに入っていたので。 感想は古処先生だなぁと懐かしく思いました。 ミステリかと言われたらうーん。 強いて言うならフーダニットに見せかけてホワイダニットだったというところでしょうか。 でもあくまで戦争小説

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2017/12/26

あぁあ、そういうことなのか、と目を閉じる。 戦争なんて、結局こういうことなんだよ。 タイトルにある「底」というのがどういう意味なのだろうと思っていたけど、戦争とか軍隊とか大きなものだろうがなんだろうが、結局一番底にあるのはこれなんだ、ってこと。だから戦争なんてするべきじゃない。す...

あぁあ、そういうことなのか、と目を閉じる。 戦争なんて、結局こういうことなんだよ。 タイトルにある「底」というのがどういう意味なのだろうと思っていたけど、戦争とか軍隊とか大きなものだろうがなんだろうが、結局一番底にあるのはこれなんだ、ってこと。だから戦争なんてするべきじゃない。するべきじゃないんだ。

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2017/12/15

この著者の作品はメフィスト賞後に戦争文学に移行してからはしばらく読んでいなかったが、今年の各種ランキング本の上位に入っていたので久々に読んでみた。 第二次大戦時、ビルマの村に駐屯した日本軍の警備隊。村人は好意的に見えたが、警備隊の隊長が何者かに殺害される。犯人は隊員か、村人か、そ...

この著者の作品はメフィスト賞後に戦争文学に移行してからはしばらく読んでいなかったが、今年の各種ランキング本の上位に入っていたので久々に読んでみた。 第二次大戦時、ビルマの村に駐屯した日本軍の警備隊。村人は好意的に見えたが、警備隊の隊長が何者かに殺害される。犯人は隊員か、村人か、それとも侵入を企てる敵軍なのか… ノンフィクションのように淡々とした文章で描かれる戦地の息詰る緊張感、そして明らかになる哀しい真相。 いますぐ生きるか死ぬかという悲惨な状況ではないように見えても戦争はいくつもの悲劇を生み出し、理不尽な死を引き起こす。ミステリとしても素晴らしいし、戦争について考えさせられる話だった。

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2017/12/12

著者の真骨頂である「戦時下のミステリ」。実際に戦争を体験しているのではないかと思わせる位、軍隊の描写や異国の空気感にリアリティがある。巧い。 動機に納得しかねる部分もあるが、他はほぼ完璧。たまにはこういう硬派な作品も良いな。

Posted byブクログ

2017/09/28

全編を通じてピンと張りつめた緊張感。第二次大戦のビルマ戦線、過剰な説明を排し、読者の基礎知識と読解力を要求しながら、ミステリという読み物としても良く出来ており、人物の葛藤や余韻は文学的でもある。8.0

Posted byブクログ

2017/10/10
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 『UNKNOWN』で第14回メフィスト賞を受賞し、ミステリ作家としてデビューした古処誠二さん。第4作『ルール』以降は戦争小説作家に転じ、現在に至る。もうミステリーを書くことはないのだろう。そう思っていた。  新刊はやはり戦争小説だが、ミステリー的方法論を持ち込んでいる点が興味深い。もっとも、そのように言われるのは、古処さんには不本意かもしれないし、ご本人はミステリーを書いたつもりなどないのかもしれないが。  第二次大戦中期の、ビルマの山岳地帯の村で、駐留する日本軍の青年将校が殺害された。元々日本軍を遠巻きに見ていた住民たち。それぞれの思惑により分断され、疑心暗鬼に陥る小さな村。日本軍としては、とにかく収拾を図らねばならない。  連隊本部から副官が送り込まれる。戦死として処理せよという方針には、一読者である僕でも首を傾げざるを得ない。誤魔化し通せるものか。しかし、上層部の命令ならば、事実なのだ。それが軍隊という組織なのだから。  乱暴に言ってしまえば、いわゆるフーダニット・ホワイダニット・ハウダニット、誰が・なぜ・どうやってという、ミステリの定番的テーマが焦点である。ただし、前線ではないとはいえ、この村が戦場の一部であることが前提になる。  軍隊における価値観と、戦場における価値観。軍隊に身を置き、それらを解する者でなければ、辿り着けない真相だろう。静かな村の秘密とは。現代社会や日常の価値観でしか判断できない我々には、説明されてももやもやが残る。  組織へのダメージを最小限にするという論理思考は、現代社会にも通じるだろう。目的のために、誰かを切り捨てるか、あるいは見て見ぬふりをするか。しかし、これはその場しのぎでしかない。組織の価値観を優先するあまり、このようなその場しのぎが繰り返されたのではないか。  筆致はあくまで淡々としている。日常の価値観が通用しない、戦場という特殊な世界。本作に描かれたのは、そんな戦場の恐ろしさなのかもしれない。

Posted byブクログ