1,800円以上の注文で送料無料

答えのない世界を生きる の商品レビュー

4.4

23件のお客様レビュー

  1. 5つ

    9

  2. 4つ

    10

  3. 3つ

    1

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2024/04/18

作者の思考されたものではなく思考の仕方が自伝がてら語られる。 答えのない、正しい答えが存在しない世界だからこそ問い続けなければならないこと、この世界を異端、異邦として見つめることで、画一化される正しさに疑義を与える。 今、この世界に生きるとき、大事な姿勢。

Posted byブクログ

2024/01/12

「解のない世界に人間は生きる。・・・      (中略) ・・・考えることの意味を知ることが重要だ。」 この世界で生きていく上での答えなどない。 自身の問いに向き合えているのか、そう著者に問われている気がした。 とても読みやすく、何度も読み直したい本だ。

Posted byブクログ

2023/01/10

小坂井敏晶の本を読むといつも(かなりクサい言い方をするが)「知的好奇心」が刺激されるのを感じる。豊富なネタを、しかし散漫に感じさせないだけの豪胆な筋の通し方を以て料理し、こちらに提示する。器用なようで不器用にも見えるその不思議な著書の魅力は、そのままこの著者の生き様/生き方の魅力...

小坂井敏晶の本を読むといつも(かなりクサい言い方をするが)「知的好奇心」が刺激されるのを感じる。豊富なネタを、しかし散漫に感じさせないだけの豪胆な筋の通し方を以て料理し、こちらに提示する。器用なようで不器用にも見えるその不思議な著書の魅力は、そのままこの著者の生き様/生き方の魅力でもあるようだ。青春時代の文字通りの放浪の過程、そして学者になってフランスの地で体感した「異邦人」としての自分、それから今に至るまで。道に迷った時はこの本の教えに従って、時には流されながらも一歩前に進み意識を変化させる勇気が必要だ

Posted byブクログ

2022/08/17
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

文系科目は何のためにあるか。世界には解が存在しないということを理解するため、というのが筆者の考えだ。普遍的な答えがあるとか、普遍的な価値観に基づく世界を作ろうとか思ってはいけない。それは全体主義的な世界であり、逸脱者がいるからこそ世界は維持されるのだ。

Posted byブクログ

2022/06/08

同著者の『社会心理学講義』や『責任という虚構』読もうとしたが重かったので、ちょっと寄り道。紆余曲折の末にフランスで社会心理学者として教鞭を執った著者の半生を振り返った本。 異文化の中で培った普遍性を疑う感性から見た世界を綴る。 「文科系学問は役に立つのか」という章の〆の一文が...

同著者の『社会心理学講義』や『責任という虚構』読もうとしたが重かったので、ちょっと寄り道。紆余曲折の末にフランスで社会心理学者として教鞭を執った著者の半生を振り返った本。 異文化の中で培った普遍性を疑う感性から見た世界を綴る。 「文科系学問は役に立つのか」という章の〆の一文が象徴的だった。 「文科系学問が扱う問いには原理的に解が存在しない。そこに人文学の果たす役割がある。何が良いかは誰にも分からないからだ。いつになっても絶対に分からないからだ。(···)技術と同じ意味で文化系学問の意義を量ってはいけない。」 文科系学問の意義は「人間の原理的な限界に気づく」ことにあるいう。 その認知は知識の矛盾により生じるが、一方で知識は世界を疑うことを忘れさせる。文科系学問は絶対的な解がない故に、人をこの認知へと到達させる。ここまで理解して、この著者による今の人文学への批判を読んでみたいと思った。 「海外旅行をして人生観が変わった」とよく聞く体験談は、その感性が自身の文化を擦り合わせた末の「矛盾」によるものか、その土地の文化への「服従」によるものかによって全く違う意味を持つのだろうなとも感じた。 自己内である程度のアイデンティティを確立してはじめて、異文化や他者と触れた時に「矛盾」が生まれる。そうして初めて単体では成立するが共存し得ないロジックの存在を認知することができ、解がない問いの存在を理解する。 昨今の世界からは、その前提意識が抜け落ちているなと思うなどもした。

Posted byブクログ

2022/01/31

自分の頭で考え自分の言葉で話すこと、価値観の崩壊を恐れないこと、多面的にものごとを捉えるようにすること 人生を考え直す良いきっかけとなりました 人とたくさん議論を交わせるようにしていきたいです

Posted byブクログ

2022/01/07

考えるとは悩むこと。 人は他人の頭で考えることができないのだから、借り物の知識だけでなく、”不思議だな”と思うことをしつこく追及していくしかない。しつこく悩み考えるなかにスッキリした瞬間があらわれる、たとえそれが大したことない”なーんだ、そんなこと当たり前じゃないか”と言えるもの...

考えるとは悩むこと。 人は他人の頭で考えることができないのだから、借り物の知識だけでなく、”不思議だな”と思うことをしつこく追及していくしかない。しつこく悩み考えるなかにスッキリした瞬間があらわれる、たとえそれが大したことない”なーんだ、そんなこと当たり前じゃないか”と言えるものが、実は思考の結果だ。 劣等感と劣等は違う。理想と現実の乖離があるからこそ悩む。悩みが多いということは野心を持っているということだ。 本書を読んで、目の前が明るくスッキリしたという読者は少ないだろうが、確実に自分の体内に小坂井さんの毒素が回っていくとこは実感できる。 10年後にまた再読したい。

Posted byブクログ

2021/07/08

尊敬する出口治明氏が推薦しているので読んでみた。 近代以前ならば、物事の是非を判断するのは「神」だったが、近代では人間が決めなければならない。 「人間が決める以上、その先に待つのが〈正しい世界〉である保証はない。」 知識の欠如ではなく知識の過剰が理解の邪魔をする。ペルーの農村の話...

尊敬する出口治明氏が推薦しているので読んでみた。 近代以前ならば、物事の是非を判断するのは「神」だったが、近代では人間が決めなければならない。 「人間が決める以上、その先に待つのが〈正しい世界〉である保証はない。」 知識の欠如ではなく知識の過剰が理解の邪魔をする。ペルーの農村の話は分かりやすかった。 名言がたくさんあって、メモを取るのが忙しかった。 「行為が正しいかどうかは社会的・歴史的に決まる」という言葉に唯幻論を思い出してたら、中盤で岸田秀氏の名前が出てきて嬉しい。 難しいけどおもしろく読めた。血肉になるまで何度も読み返したい。

Posted byブクログ

2021/05/07
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

第一章に記された「自分の頭で考えるためには、どうしたらよいか。専門用語を避けて平易な言葉で語る。これが第一歩だ。」という一文、 また第二章の「思考枠を感情が変える」の内容全体、 これらが、日常の忙しさにかまけて、早く(安易に)回答を知りたがる自分にとって、とても印象深いメッセージになりました。「うむ、読んで良かった!」という実感です。 ただし、構成には少し戸惑いました。 後半の第四章以降は、前半とはがらりと変わって著者の自叙伝のような内容。 私はこの本を手に取った動機が「筆者の主張を論理的に系統たてて読み解こう」であったので後半に入った時に退屈さを感じてしまいました。 しかし、その後半も読み進めていくと、筆者のアルジェリアとフランスでの実体験や心の動きが臨場感を持って感じられ、徐々に引き込まれて興味深く読むことができました。 大変僭越ながら、読み方としては、最初に後半の第四章以降から読み始めて、作者の「異邦人」としての思考を追いかけつつ、その後に第一章から第三章で、表題でもある「答えのない世界を生きる」ための切り口や考え方を発見していくと、より深く考えることができるのかなあと感じました。

Posted byブクログ

2021/05/15

ライフネット生命創業者の出口氏推薦という帯に惹かれGWに読了。 頑張れば夢叶う、という考えは甘いと言われているような感覚を受けたのが正直なところ。 じゃあ、どうすればいいのか?答えを示してくれないの?という感覚に陥る。 流行りの自己啓発本と思って読むと大変突き放されたような...

ライフネット生命創業者の出口氏推薦という帯に惹かれGWに読了。 頑張れば夢叶う、という考えは甘いと言われているような感覚を受けたのが正直なところ。 じゃあ、どうすればいいのか?答えを示してくれないの?という感覚に陥る。 流行りの自己啓発本と思って読むと大変突き放されたような気がしますが、それこそが自分で考えるということ。 もっと若い時に読んでおきたかったです。 今の私に最も印象に残ったのは、「思考枠を感情が変える」に出てくる仏教の逸話。 わが子を生き返らせたいという母親の思いが、生きとし生けるものはすべて死ぬという当たり前のことを気づかせ、解決不能な問題設定そのものが問題であったことを悟り(悟らせ)、母親自身それに気づいたことで絶望の袋小路から逃れられたという、まさに感情が思考枠を変えたという逸話。 第一部「考えるための道しるべ」は丸山才一「思考のレッスン」を彷彿させるような内容。第一章、第二章が印象に残った。 第一章:知識とは何か ・新しいことに挑戦するうえで、知識や経験が最大の障壁。常識を捨てる必要 ・常識を捨てるとは、既知のものから距離をとり、誰も気づかなかった部分に光を当てて気づくこと 第二章:自分の頭で考えるために ・常識を捨てて壊したのち、思考を再構成していくこと。それが考えること ・型を重視すること ・矛盾があってもそれこそが深く考えることにつながる ・読書をする際は情報のつまみ食いをするような消費する行為ではなく、作者の思考のパターンを学び、自らが作り出す生産側の視点を持つとパターンが見えてくる

Posted byブクログ