黙約(上) の商品レビュー
海外のbooktube界隈でよく秋に読みたい本といえばSecret Historyと紹介されていて、いつかの秋に読もうとずっと決めていた本なだけに投げ出したくはなくて、辛抱強く読み続けた。…けど長い。予想してたよりだいぶスローペースでページ数の倍は読んでる感じがした。 内容的にも...
海外のbooktube界隈でよく秋に読みたい本といえばSecret Historyと紹介されていて、いつかの秋に読もうとずっと決めていた本なだけに投げ出したくはなくて、辛抱強く読み続けた。…けど長い。予想してたよりだいぶスローペースでページ数の倍は読んでる感じがした。 内容的にも原作にトライしなくてよかった。(多分英語だったら読み終わるのに物語の中の季節と同じくらい時間がかかった)あと、もっとジュリアンについて出て来てもよかったのにと思う。 にしてもまさか事件が起こるまでにここまで時間がかかるとは… 下巻も読むけどさ…
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ピューリッツアー賞作家のドナ・タート氏の処女長編小説。胸ぐそ悪いストーリーで、無駄に長かった。 舞台はアメリカの田舎、バーモント州にある小さい教養大学。カリフォルニア出身の主人公が入ったギリシャ語・古典のゼミには他に5人の学生が学んでいた。そのグループは教授も含め排他的で秘密結社...
ピューリッツアー賞作家のドナ・タート氏の処女長編小説。胸ぐそ悪いストーリーで、無駄に長かった。 舞台はアメリカの田舎、バーモント州にある小さい教養大学。カリフォルニア出身の主人公が入ったギリシャ語・古典のゼミには他に5人の学生が学んでいた。そのグループは教授も含め排他的で秘密結社のよう。 学生たちの強い絆をつなげているものは、共有された秘密であった。ところが、そのうちの一人が気づいてしまう。トップシークレットを知ってしまった以上、誰かに言いたくなるのが人の常である。特に弱みがある人間には。 学生たちは裕福な家の出身ということもあり、とにかく年がら年中ろくに勉強もせずに朝から晩まで酒に酔っていて、あきれるばかりである。私もアメリカのリベラルアーツの大学に留学したことがあるが、学生たちの倫理観が乏しいのは否めず、その点では本書の描写はリアルである。だからこそ共感するアメリカ人が多くて本が売れたのだろう。 欧米人は日本人の想像を超えるレベルでギリシャ神話や哲学へのあこがれ(崇拝に近い)が強い。そこもこの本の神聖さ、はかない美しさを引き立てている。が、自分本位の学生たちがやっていることは馬鹿げている。 結末はドラマチックだが、何とも言えないモヤモヤ感で、これでいいのか?という感想だった。
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読んでいくうちに彼らが狂っているのか、私がおかしくなり始めたのか、それとも正常なのかよく分からなくなってくる… いいところで終わったので、速攻で下巻読む。
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『罪と罰』を彷彿とさせるという紹介文に惹かれて読んだが、衒学的傾向(古代ギリシア語やラテン語が頻繁に出てくる)や、とかく自意識過剰な主人公群や、客観的には何てことのない物事を壮大かつ深刻に描くところが確かに類似しているが、さすがにドストエフスキーほど人間心理を真底から抉るところ...
『罪と罰』を彷彿とさせるという紹介文に惹かれて読んだが、衒学的傾向(古代ギリシア語やラテン語が頻繁に出てくる)や、とかく自意識過剰な主人公群や、客観的には何てことのない物事を壮大かつ深刻に描くところが確かに類似しているが、さすがにドストエフスキーほど人間心理を真底から抉るところまでは至っていないし、文章の情報量も及ばない(ドストエフスキーの暗号のような文体は当時の検閲の副産物なので、現代にそれを望むのは筋違いではあるが)。特に主人公らが熱烈に信奉し、作品のバックボーンを提示する役割を担うギリシア語の「教授」がいまいち上手く描けておらず、終盤での拍子抜けする「変貌」もあって、物足りなさが残る。逆に20世紀後半のアメリカの青年社会を描く上で付き物の「薬物」の描写がやたらと具体的でくどいほどだが、正直冗長で徒労感を覚えた。
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(上下巻合わせてのレビューです) 長かった・・・。 実際、文庫本にして上下巻で1000ページを超える長さではあるのですが、個人的にはその1.5倍ぐらいの分量の話を読んでいるような印象でした。つまり文章一つ一つの密度がとっても濃い、労作であり力作なのです。 ただキングのように長さ...
(上下巻合わせてのレビューです) 長かった・・・。 実際、文庫本にして上下巻で1000ページを超える長さではあるのですが、個人的にはその1.5倍ぐらいの分量の話を読んでいるような印象でした。つまり文章一つ一つの密度がとっても濃い、労作であり力作なのです。 ただキングのように長さを気にせずどんどん読み進められるタイプのエンタメ小説ではないですね。私も読み終えるのに結構時間がかかりました。 面白かったかどうか問われればもちろんYESと答えます。冒頭から殺人が記述されているのでミステリとして読めるのはもちろん、サスペンス、悪魔祓いに代表されるオカルト要素、同性愛や兄弟愛といった禁忌など、盛りだくさんでお腹いっぱいになりました。登場人物がみな細かいところまできちんと描かれているのにも好感が持てます。ジュディ・プーヴィが特にいいですね。 不満もあります。まずリアリズム小説として読むと、学生が一人失踪しただけでこれほど大騒ぎするというのはあり得ないと思いました。また本家本元の『罪と罰』では最終的にラスコーリニコフがシベリア流刑という形で殺人に対するいわば公的な「落とし前」をつけていたのに対し、本作の終わり方はどうなんでしょうか。正直、私にはもやもやが残りました。これじゃあ農夫もバニーも浮かばれないのではないかと・・・
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