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性食考 の商品レビュー

3.5

18件のお客様レビュー

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2020/10/10

東北学を生み出した赤坂憲雄の挑戦的な考察ーいのちの根源。 なんと刺激の強い本だろう。これが、お堅い岩波書店から出ているので、襟を正して読まなければならない。「食べる。交わる。殺す。」の三角関係について、赤裸々に語られている。 そして、総合的、俯瞰的なユニークないのちの根源の概説と...

東北学を生み出した赤坂憲雄の挑戦的な考察ーいのちの根源。 なんと刺激の強い本だろう。これが、お堅い岩波書店から出ているので、襟を正して読まなければならない。「食べる。交わる。殺す。」の三角関係について、赤裸々に語られている。 そして、総合的、俯瞰的なユニークないのちの根源の概説となっているのである。 食べることは、交わることにつながる。食べることは、殺す行為によって成立する。 交わることと殺すことは、カマキリのような人生だ。 確かに、食べることは、交わることの同じ神経回路の中にあり、興奮するのだと思う。 芥川龍之介が「ボクは文ちゃんがお菓子なら頭から食べてしまひたい位可愛いい気がします」と言ったという。「食べちゃいたいほど可愛い」って、私も言ってみたい気もするが、無理だよなぁ。 「内なる野生の叫び声」としたら、体の中に別の生き物がいるに違いない。 「異類婚姻譚」は、神話、童話、民話や昔話に当たって、縦横無尽の言葉狩りをして、一つのあり様を成立させる。「ぬいぐるみ」に、そんな深い意味があったとは、人間の持つ変身願望を表現する方法だったのだ。 姫様が 泉にマリを落として困っていると、カエルがとってきてやるから、一緒にメシを食べ、ベットインしようぜという。そんなにマリが大切だったのだ。そして、とってきてもらって、メシは一緒に食べるが、ベットインまでできない。王様に相談したら、「恩返ししろ」とまるで、大和田常務だ。姫は、怒って、カエルを壁にぶつけたら、王子様になって、結婚したという。なんともハッピイな話だが、そんな筋たての話は、恩返しの内容が、等価交換ではないような気もする。少なくとも、倍返し以上だ。まぁ。カエルの逆玉現象ですね。よく考えれば、鶴の恩返しも良くにてる。蛇と交わるというのも、神との関係でいくつもの物語がある。なるほど、そんな風に、身分違いの結婚というのが、異類婚姻に発展して行くのですね。 食べることと交わることは、つながって行くのだが、殺すことなくして、食べられないというどうしても避けられないことについての関係は、宮沢賢治の「注文の多いレストラン」で見事に表現している。食べようとして、食べられてしまう。 それにしても、童話や絵本には、赤ずきんちゃんも含めて、食べられてしまう話が多いのは、物語の始まりは、いのちのあり様から始まるからかもしれない。ぐりとぐらも、たまごでケーキを作ることから始める。唐揚げを作らないところが、ミソとは思わなかったなぁ。問題は、日本人が江戸から明治に変わるときに、肉食に食文化が変わったときに、どのような納得があったのかが知りたい。 猿に近親相姦(インセントタブー)をしないルールやペットを食べないルールが確立したにも関わらず、豚だけは食べるためだけに育てるという食文化の形成が面白い。 始まりの神話においては、太古の海から、性の出現によって、性が死を引き寄せ、死が性とともに顕われた。性こそが世界に多様化をもたらした。 レヴィストロースの料理の三角形は、「生のもの」「腐ったもの」「火にかけたもの」となっているが、「発酵」が腐ったものに対峙していないのが残念だ。そして口と肛門の関係を語る。 生け花が生贄につながる考察は、面白い。 性欲、権力欲、食欲のそのいのちの根なるものを紐解いて行くことで新しい分野が広がる。

Posted byブクログ

2019/10/29

や~、おもしろかった。 世界中の民族文化や神話から導き出される、性と食についての考察。食べることは生きること、なんてよく言われるけど、知らず知らずのうちに、セックスも生きることなのにそれは退けられてる。でも、読めば読むほど、言われてみりゃー両者の共通点が山ほど・・・普段意識しない...

や~、おもしろかった。 世界中の民族文化や神話から導き出される、性と食についての考察。食べることは生きること、なんてよく言われるけど、知らず知らずのうちに、セックスも生きることなのにそれは退けられてる。でも、読めば読むほど、言われてみりゃー両者の共通点が山ほど・・・普段意識しないけど縛られているタブーの感覚にも気づかされ。「文化的」に生きてるけど、やっぱりもっと自然に戻りたいし野生にあこがれる。・・・それにしても、こういう人類学やら民俗学やらって、なるほど~そういう考え方もできるネ~!っておもしろいけど、真実かどうか確かめようがないし、やっぱり解釈の問題って気がするけど、そしてこの著者の「こうなんじゃないの~?」っていうあーだこーだの思索を、これだけ面白く、しかも「文化的に」「もっともらしく」読ませる、なんかズルいわ。楽しい仕事だね。。。

Posted byブクログ

2019/03/19

生・死・性・食にまつわる古今東西の引用文献は面白いものだったが、脈絡が感じられず、何を言いたいのかわからない。否、何も言っていないのかもしれない。何か肩透かしをくらったような。

Posted byブクログ

2018/10/28

【由来】 ・確か図書館の岩波アラート 【期待したもの】 ・2017/9/20に「食べたい位可愛いに共感したことがないんだが」と気付いたら、この本。妙なつながりを感じてね。 【要約】 ・ 【ノート】 ・ 【目次】

Posted byブクログ

2018/08/21

食べてしまいたいほど可愛い、古くからいろんな所で用いられている愛の表現に含まれるものは何だろうか? 食べること、交わること、ころすことは密接不可分、 人間の深淵に向かい、命の根源との遭遇を目指す、 古事記、宮沢賢治、異類婚姻譚、食と性と暴力、肉食をめぐる問い、神話の世界の性、...

食べてしまいたいほど可愛い、古くからいろんな所で用いられている愛の表現に含まれるものは何だろうか? 食べること、交わること、ころすことは密接不可分、 人間の深淵に向かい、命の根源との遭遇を目指す、 古事記、宮沢賢治、異類婚姻譚、食と性と暴力、肉食をめぐる問い、神話の世界の性、生け贄、愛の倒錯、

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2018/03/24

昨年末のBRUTUSの読書特集で取り上げられていて気になった本。 「食べちゃいたいほど、可愛い。」この言葉の意味は? 最初は、食事に誘えば、その後もセットだぐらいの下世話な話かなと思ったけど、そうではない。食と性と排泄、そして生と死を巡る偉大なる考察。 参考文献に、古事記や日本書...

昨年末のBRUTUSの読書特集で取り上げられていて気になった本。 「食べちゃいたいほど、可愛い。」この言葉の意味は? 最初は、食事に誘えば、その後もセットだぐらいの下世話な話かなと思ったけど、そうではない。食と性と排泄、そして生と死を巡る偉大なる考察。 参考文献に、古事記や日本書紀に始まり、折口信夫、柳田国男、そしてグリム童話や宮沢賢治と種々の文献がずらっと並んだ読み応えのある比較文化論。 口も奥が深いねぇ。

Posted byブクログ

2018/03/14

脱線が多く所々読みづらい所もあったけれど、様々な国の民話の共通点が指摘されていて面白かった フロイトの説明にマッドマックス怒りのデスロードが使われているのには驚いたけど分かり易かった どこの国の風習や伝承は男視点のものが殆どという印象を受けた

Posted byブクログ

2017/08/23

民俗学者の赤坂氏による、食べること/交わること/殺すこと、をめぐる論考。世界中の民話や寓話、フロイト、レヴィ=ストロース、果ては現代のSFまで、広大な思想の海で食と性を考える。

Posted byブクログ