この世の春(下) の商品レビュー
忍びの呪咀だったのは意外だったが、宮部みゆきにしては意外と早い段階で結論に達した感じがした。 もう少し捻りがあると思ったけど。
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何だったのか? 徳政を敷いた父を死なせ、その子重輿に主君押込(しゅくんおしこめ)をもたらしたものは。 秘事、神隠し、陰廻、狭間、面・・・。 ???・・・ 読み進めていくうちに、事情が分かって、また、妙なものがクローズアップされてきて・・・ゆっくりゆっくり、本作の全体像が頭の中に形成されていく。 30年ぶりの宮部みゆきワールド、10日間かけて楽しみました。 「押込」という慣習も初めて知ったし、主君に対する「忠義」、「献身」の価値観もこんな感じだったんだろうなと想像できました。
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相変わらず読みやすい。初めて「レベル7」を読んだときのことを思い出しながら、中断して再開するたびに楽しく読み進めた。 恋愛要素のようなものが織り込まれてはいるが、最終章でその決着後、男三人が真相を語らう場面を見て、こちらの方が筆が乗っているように感じたのは気のせいだろうか。それにしても白田医師の現代精神科医ばりの開明さには参った。好き。 惜しむらくは自分の時代劇経験の浅さ。そのせいで、「犯人」の動機であった狭間と陰廻の統合がどうしてあそこまでの憎悪をたぎらせることになったのか、その点がつかめずじまいだった。
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徳川六代将軍の頃。 北見藩では、青年藩主・重興が、突然隠居を強いられ、主君押込にあい、座敷牢に閉じ込められた。 時に、重興は、違う人格になると言う。 元江戸家老・石部織部 各務多紀 多紀の従兄弟田島半十郎 らが、その謎を解き明かすために、奔走するが、 16年前の凶事の封印は解...
徳川六代将軍の頃。 北見藩では、青年藩主・重興が、突然隠居を強いられ、主君押込にあい、座敷牢に閉じ込められた。 時に、重興は、違う人格になると言う。 元江戸家老・石部織部 各務多紀 多紀の従兄弟田島半十郎 らが、その謎を解き明かすために、奔走するが、 16年前の凶事の封印は解けるのか? 最終章まで読んで、題名の意味がわかった。 面白くて、ページを捲る手が止まらなかった。
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2023.10.19 読了 ほとんど 何書いてもネタバレになりそうなので 書けませんが、 とりあえず ハッピーエンドで 良かった!
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読み応えたっぷり、続きが気になって気になって、一気読みした。 現代にも通ずる多重人格、幼児虐待、殺人を何とも思わないサイコパス。 設定を江戸時代に置くことでより謎や不思議が深まり、久しぶりの宮部ワールドを堪能した。 主従関係も温かく、イヤミスじゃないところがすごくいい。 ボロ...
読み応えたっぷり、続きが気になって気になって、一気読みした。 現代にも通ずる多重人格、幼児虐待、殺人を何とも思わないサイコパス。 設定を江戸時代に置くことでより謎や不思議が深まり、久しぶりの宮部ワールドを堪能した。 主従関係も温かく、イヤミスじゃないところがすごくいい。 ボロボロに傷ついた繁興が医師と付き添う人々によって少しずつ自分を取り戻し、明るくなっていく様子は清々しい。 ハッピーエンドなのも良かった。
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面白い、読みやすい、美しい、温かい、と言ったところか。残酷なストーリーではあるけれど、それだけにならないのは全ての人が誰かを常に想っているから。 最後の最後、由衣と多紀のシーンでは涙を拭いながら読んだほど、ストーリーに入り込んでいた。 素晴らしい。 五香苑チーム解散は惜しいけど、...
面白い、読みやすい、美しい、温かい、と言ったところか。残酷なストーリーではあるけれど、それだけにならないのは全ての人が誰かを常に想っているから。 最後の最後、由衣と多紀のシーンでは涙を拭いながら読んだほど、ストーリーに入り込んでいた。 素晴らしい。 五香苑チーム解散は惜しいけど、みんなに幸あれ。
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(借.新宿区立図書館) 宮部みゆきの時代小説であまり地方の藩を舞台にしたものはなかったようだが、考えてみれば『三島屋』シリーズでいくつかの短篇があった。そういう意味では三島屋シリーズの系統の大作化したものといってもいいのだろう。多重人格など精神的な問題も描かれている。最終的に精神的なものなどうまく着地しているのだが、肝心の「狭間」を使った”ラスボス”はどうなったのだろう?
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主な登場人物が5人を超えると混乱してしまう私も、個々の人物が細かく深く描かれているからか、時々相関図を見る程度で読み切ることができました。 ** この先、ネタバレあります。** 『模倣犯』を読んだ後は、読まなきゃ良かったと何年も苦しみ続けたので、今回もそうかも…と途中までは思いま...
主な登場人物が5人を超えると混乱してしまう私も、個々の人物が細かく深く描かれているからか、時々相関図を見る程度で読み切ることができました。 ** この先、ネタバレあります。** 『模倣犯』を読んだ後は、読まなきゃ良かったと何年も苦しみ続けたので、今回もそうかも…と途中までは思いましたが、温かなエンディングでよかったです。 人それぞれに正義や理想がある。それが他の誰かのものと対立する時、犯罪は生まれてしまう。別れたい男(女)と、別れたくない女(男)とか。当事者でなくても巻き添えを喰うこともある。男の子たちがそうだったように。どこに悪意が落ちているか分からない世の中だけど、穏やかな春を願う人もたくさんいるのだと慰められるところもありました。振れ幅の大きな物語でした。
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上巻は辞書を片手に言葉を逐一調べながら読みましたが、下巻は夢中になってどんどん読み進めることができました。 サイコ&ミステリーな時代小説として読んでいましたが、重興乱心やその背景の謎が解き明かされてくる後半は、重興と多紀の恋心も明確に描写され、途中までの重苦しいストーリ...
上巻は辞書を片手に言葉を逐一調べながら読みましたが、下巻は夢中になってどんどん読み進めることができました。 サイコ&ミステリーな時代小説として読んでいましたが、重興乱心やその背景の謎が解き明かされてくる後半は、重興と多紀の恋心も明確に描写され、途中までの重苦しいストーリーを払拭する清々しい結末を迎えます。 新潮社版装丁の話で恐縮ですが、最初、少女漫画のような人物の絵に違和感がありました。が、多紀のお館様を想う気持ちと重興の多紀への労わりの気持ちが、恋心へと転じていくのを表しているのだと思いました。 重苦しく暗い背景で二人を背中合わせに配した上巻と、明るく桜が咲いた神鏡湖畔で二人が向かい合って佇む下巻。よく考えられていると思います。 作家生活30周年記念作品とのことで、作者の魅力が詰まった渾身の一作といった感じでした。 また、作者の長編作品を読みたいと思います。
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