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帝国と立憲 の商品レビュー

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4件のお客様レビュー

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2023/10/18

副題は「日中戦争はなぜ防げなかったのか」。1874年の台湾出兵に始まり、1937年の日中戦争勃発までの約60年の日本の政治体制の変遷を、「立憲」化と「帝国」化という二つのファクターを軸に考え、軍部の暴走を抑えられず、日中戦争に突入していった負の歴史を振り返りながら、なぜ止められな...

副題は「日中戦争はなぜ防げなかったのか」。1874年の台湾出兵に始まり、1937年の日中戦争勃発までの約60年の日本の政治体制の変遷を、「立憲」化と「帝国」化という二つのファクターを軸に考え、軍部の暴走を抑えられず、日中戦争に突入していった負の歴史を振り返りながら、なぜ止められなかったのかを明らかにしていく。現代の常識的観点からすれば、言うまでもなく「帝国」化は悲しむべきことであり、「立憲」化は喜ぶべきことである。しかしこの二つの歩みがつねに同時進行していたわけではなく、「立憲」が強い時には「帝国」は抑制され、「帝国」が強い時には「立憲」は息をひそめる、という形になっているのではないかと筆者は主張する。(例外的時期もある、らしい。)そして「内に立憲、外に帝国」のような両者の併存を意味する言葉で日本近代史を理解するのは間違っている、という。そして1.戦争が起こらない限り、デモクラシーを鎮圧することはできない、2.一旦戦争が起こってしまえば、戦争が終わるまで、デモクラシーには出番がない。この二つを前提にすると、問題は次の一点に絞られてくる。すなわち、デモクラシーが戦争を止めるにはどうしたらいいのか。そしてその問いに対する答えを一言で要約すれば、デモクラシー勢力が政権についていれば、戦争を止めることができる、ということである。詳細→ https://takeshi3017.chu.jp/file9/naiyou28002.html

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2019/08/10

政党内閣は515で終焉を迎えたが、その後も立憲政治は続いたという点については留意する必要がある。が、「昭和デモクラシー」によって結果的に戦争に突き進んでしまったとも言えるわけで、この辺は社会大衆党の台頭(社会主義と戦争との親和性)にフォーカスして検証してく事の重要性を再認識させら...

政党内閣は515で終焉を迎えたが、その後も立憲政治は続いたという点については留意する必要がある。が、「昭和デモクラシー」によって結果的に戦争に突き進んでしまったとも言えるわけで、この辺は社会大衆党の台頭(社会主義と戦争との親和性)にフォーカスして検証してく事の重要性を再認識させられる。

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2017/11/05
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※このレビューにはネタバレを含みます

副題にあります”日中戦争はなぜ防げなかったか”の問いには、中国側にとっての日中戦争は「民族解放戦争」であり、侵略者日本軍を国土から駆逐することが目的であったので、日本軍の無条件全面撤兵を前提としない講和はまやかしでそれに応ずることは敗北を意味したのである。よって、日本は中国軍民の「殲滅」を選択したが、開戦2年で長期持久戦に方針転換した。筆者は和平への責務は為政者であるといい、リベラルな政党内閣か準政党内閣の下でしか、戦争は抑え込めないと主張しています。

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2017/09/14

明治期から昭和戦前期の数多くの歴史書の中で、「帝国と立憲」という視点に注視した本は初めてみた。 戦前日本は、朝鮮半島と大陸に一貫して進出していき、日本のほとんどすべての指導層がその道を疑うことなく進んでいったのだと小生は理解していたが、本書は決してそうではないと考察している。 こ...

明治期から昭和戦前期の数多くの歴史書の中で、「帝国と立憲」という視点に注視した本は初めてみた。 戦前日本は、朝鮮半島と大陸に一貫して進出していき、日本のほとんどすべての指導層がその道を疑うことなく進んでいったのだと小生は理解していたが、本書は決してそうではないと考察している。 このような見解は多くの歴史学者の中でも他にみられないのではないかとも思えた。実に新鮮である。 また高橋是清が「中国政策の本質的転換論」を提起していたことも初耳だった。小生の無学を恥じるものであるが、日本の戦前期が決して侵略一本槍では無かったことに安堵感をも感じた。 坂野潤治氏の著作はほとんど読んではいるが、この本はそのいずれよりも読みやすい。本書を高く評価したいが、さて本書の視座は順当なのだろうか。まだまだ学びたいものである。 2017年9月読了。

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