1,800円以上の注文で送料無料

暴政 の商品レビュー

4.2

16件のお客様レビュー

  1. 5つ

    4

  2. 4つ

    10

  3. 3つ

    1

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2024/08/18

私たちは歴史から学ばなければなりません。そのために実際に何から始めればよいのか、それをこの本ではアドバイスしてくれます。 この記事ではその中でも私が気になったひとつ、「自分の言葉を大切にしよう」という章を紹介したいと思います。そこでは読書の意義について語られており、私の中で一番...

私たちは歴史から学ばなければなりません。そのために実際に何から始めればよいのか、それをこの本ではアドバイスしてくれます。 この記事ではその中でも私が気になったひとつ、「自分の言葉を大切にしよう」という章を紹介したいと思います。そこでは読書の意義について語られており、私の中で一番印象に残った箇所でもありました。

Posted byブクログ

2024/07/18

どこかで聞いたセリフが頭に残り、まるでそれを自分の言葉のように語る事がある。教訓めいたシーンを記憶し、自らの体験として誰かを説教する。いつの間にか、価値観や言葉、シーンが身体化され、刷り込まれている。教育制度やマスメディア、それらの影響を受けた他社の価値観により、自身の価値観が形...

どこかで聞いたセリフが頭に残り、まるでそれを自分の言葉のように語る事がある。教訓めいたシーンを記憶し、自らの体験として誰かを説教する。いつの間にか、価値観や言葉、シーンが身体化され、刷り込まれている。教育制度やマスメディア、それらの影響を受けた他社の価値観により、自身の価値観が形成される。それはやがて、自覚せぬ無意識となり、自らの行動にすら反映され、社会全体に連鎖する。 ー 私たちの時代の政治家は決まり文句をテレビにどんどん注ぎ込みますが、テレビでは、同意したくない人間でさえその決まり文句を繰り返すことになります。テレビは、政治的言語に対し映像を伝えることで異議を唱えるのだと称していますが、次から次へと映像が送られては「解像感」さえ殺がれ、意味を咀嚼するのが難しくなります。 ー 毎日メディアに登場するのと、同じ単語、同じフレーズを繰り返していると、私たちはもっと大きな観念上の枠組みが持てないことをも甘受することになります。そうした観念上の枠組みを持つためにはコンセプトの数を増やさなければならないし、増やすためには読書が必要なのです。だからテレビでもパソコンでも画面は部屋から一掃し、自分の周りに本を積み上げることです。オーウェルやブラッドベリの小説の中の登場人物は周りに本を積み上げたりすることはできませんでしたが、私たちにはまだ可能なのです。 ポストトゥルースがオルタナティブファクトをでっち上げる。世の中は影響力のある者が描きたい状態に誘導されている。無意識が操作される。本著は以下の言葉によって警鐘を鳴らす。これらの説明が、本書による20のレッスンだ。多数の著作に触れる、読書が正義。その上で自分の肌で感じ、頭で考える事が重要なのだろう。 自分で調べよ 真実がある事を信ぜよ 自分の言葉を大切にしよう 自分の意志を貫け 武器を携行するに際しては思慮深くあれ 準軍事組織には警戒せよ 職業倫理を忘れるな シンボルに責任を持て 一党独裁国家に気をつけよ 組織や制度を守れ 忖度による服従はするな 勇気をふりしぼれ 愛国者たれ 想定外のことが起きても平静さを保て 危険な言葉には耳をそばだてよ 他の国の仲間から学べ 大義名分には寄付せよ きちんとした私生活を持とう 「リアル」な世界で政治を実践しよう アイコンタクトとちょっとした会話を怠るな

Posted byブクログ

2023/11/15

成田悠輔の『22世紀の民主主義 選挙はアルゴリズムになり 政治家はネコになる』の中で、30分位で読める名著として一部が引用してあったので読んでみた。 30分とは行かず、2時間位掛かったが、トランプ政権発足後に緊急出版された本だけあって、ポピュリストに警戒せよ、というメッセージが、...

成田悠輔の『22世紀の民主主義 選挙はアルゴリズムになり 政治家はネコになる』の中で、30分位で読める名著として一部が引用してあったので読んでみた。 30分とは行かず、2時間位掛かったが、トランプ政権発足後に緊急出版された本だけあって、ポピュリストに警戒せよ、というメッセージが、20世紀の欧州政治の歴史を参照しながら、抑えた筆致で吶々と語られる。 ナチスが、クーデターによってではなく、選挙の結果により合法的に政権を奪取し、合法的にファッショ化していったことは、よく知られているが、それ以外でも20世紀の歴史上の大概の悍ましいことは、民衆の同意を得ながら進められていることが多い点には、正直ぞっとした。

Posted byブクログ

2022/04/15

ウクライナ情勢を理解するための本を探して、著者の「ブラック・アース」(いわゆる黒土地帯=ウクライナ?)が良さそうだなと思って、買うのにあわせて、こちらも買ってみた。 まずは、薄めのこちらの本から読んでみた。 20世紀の歴史、全体主義から学ぶべきことをわかりやすく20の項目にわ...

ウクライナ情勢を理解するための本を探して、著者の「ブラック・アース」(いわゆる黒土地帯=ウクライナ?)が良さそうだなと思って、買うのにあわせて、こちらも買ってみた。 まずは、薄めのこちらの本から読んでみた。 20世紀の歴史、全体主義から学ぶべきことをわかりやすく20の項目にわけて説明。と言っても、わたしたちが日頃生きていくなかで、心がけることというか、覚悟を呼びかけている感じ。 本のなかでは、しばしばハンナ・アーレントについて、言及されている。歴史研究家の間では、思想家ではあっても、歴史家ではないアーレントはあまり重要視されていない印象をもっていたのだが、どう具体的に生きるかということになるとやっぱアーレントは大事だな〜。 さて、この本は、トランプ大統領の就任などを踏まえて、アメリカが全体主義に近づいていることに危機意識をもって書かれているわけだが、今、ウクライナで起きていることと、強く共鳴していて、いい意味で重い感じ。

Posted byブクログ

2020/12/18

暴政がいかにして生まれるのか、それに抗うには何をすべきで、どういう心構えを持っておくべきかを様々なモデルケースを元に描いた指南書。 著者のブラッドランドを読んだ身としては、過去の為政者がいかに国民をコントロールするために様々な脅威や不安を利用してきたかを知った。それに伴う最悪の...

暴政がいかにして生まれるのか、それに抗うには何をすべきで、どういう心構えを持っておくべきかを様々なモデルケースを元に描いた指南書。 著者のブラッドランドを読んだ身としては、過去の為政者がいかに国民をコントロールするために様々な脅威や不安を利用してきたかを知った。それに伴う最悪の悲劇も。 現代でも形を変えて同じようなコントロールが行われているのが垣間見えるし、情勢が不安定になればなるほど暴政の登場は避けられないのだろうか。 だから、権威が望むような忖度をしない、想定外のことが起きても平静さを保つ、勇気を振り絞ること、自分の意思を貫くこと。 こういった著者の教えを強く心にとどめておき、さしあたって私は人と違う意見を持つことを恐れないようにしていきたい。 暴政の誕生は国民全員が選択した結果なのだから。

Posted byブクログ

2020/06/03

トランプ大統領を念頭において書かれた本だが、アメリカに止まらないドキッとするような内容。 1933年2月27日の国会議事堂放火という「例外的」「緊急事態」という一瞬の騒動により、12年間に及んで自由を差し出し、殺戮を許すことになったという歴史を忘れてはいけない。 コロナという「例...

トランプ大統領を念頭において書かれた本だが、アメリカに止まらないドキッとするような内容。 1933年2月27日の国会議事堂放火という「例外的」「緊急事態」という一瞬の騒動により、12年間に及んで自由を差し出し、殺戮を許すことになったという歴史を忘れてはいけない。 コロナという「例外的」「緊急事態」という言葉をよく聞く昨今、大義のある制度・自由への侵害に警戒しなければいけないと思う。

Posted byブクログ

2019/09/07

"Blackearth"や”Bloodland"の著者Timothy Snyder教授による、市民として暴政に退行するための心構え。第一にいきなり「忖度による服従はするな」とあるのが本邦の読者としては耳に痛い。

Posted byブクログ

2019/05/19

 各章がコンパクトにまとめられ読みやすかった。  現在が「ファシズム前夜」なのかどうなのか。本書を読むと切々とした危機感が伝わってくる。

Posted byブクログ

2018/06/28

現在の社会や政治の状況を考える際、過去の歴史に学ぶことはとても大切なことだ。 著者は、特に1930年代のヒトラーの台頭とそれに続くホロコーストから私たちが学ぶべきことを、現在世界を覆いつつあるポピュリズムや、いくつかの国々で見られる専制政治へ目配りを、20の簡潔な提言にまとめて訴...

現在の社会や政治の状況を考える際、過去の歴史に学ぶことはとても大切なことだ。 著者は、特に1930年代のヒトラーの台頭とそれに続くホロコーストから私たちが学ぶべきことを、現在世界を覆いつつあるポピュリズムや、いくつかの国々で見られる専制政治へ目配りを、20の簡潔な提言にまとめて訴えている。 それぞれ、私たちが忘れてはならない重要な提言なだけに、パンフレット的に広めるのなら、もう少しこなれた訳文にしてほしかった恨みはあるが、常に座右に置きながら、何かおかしいと感じる度に紐解くようにしたい著作である

Posted byブクログ

2018/01/08

本来なら昨年の内に読んでおくべきだった一冊。現大統領の誕生がどれだけ著者や米国人知識階級にショックを与えたかが伝わってくる。TwitterでもS.Waltが舌鋒激しく呟いている。著者が本書内でその名を述べずずっと「現大統領」といっているのが正直怖買った。ヤン=ヴェルナー・ミュラー...

本来なら昨年の内に読んでおくべきだった一冊。現大統領の誕生がどれだけ著者や米国人知識階級にショックを与えたかが伝わってくる。TwitterでもS.Waltが舌鋒激しく呟いている。著者が本書内でその名を述べずずっと「現大統領」といっているのが正直怖買った。ヤン=ヴェルナー・ミュラー「ポピュリズムとは何か」と共通する主張も所々に見られる。また一部で言われている「今日の世界はWWIとIIの戦間のグローバル化の反動と同様な様相」という認識も見られる。大慌てで記されたような筆致であるがそれだけ危機感を感じていたのだろう。米国市民向けであるが読んでおくべき一冊だと思う。できれば日本でもパンフレットのような本(岩波ブックレットなど)で出して欲しかった。 正直読了後はあの狂乱の選挙とその後の混迷ぶりを突きつけられた気分でぐったり疲れてしまった。

Posted byブクログ