丹野智文 笑顔で生きる の商品レビュー
「丹野智文 笑顔で生きる」読了。 「オレンジ・ランプ」「認知症の私から見える社会」に続いて3冊目の丹野さんに関する書籍。39歳で若年性アルツハイマー型認知症を発症し、その後、認知症の「当事者」からの発信や、ピアサポートの重要性を発信している方。 認知症の告知によって、一度は...
「丹野智文 笑顔で生きる」読了。 「オレンジ・ランプ」「認知症の私から見える社会」に続いて3冊目の丹野さんに関する書籍。39歳で若年性アルツハイマー型認知症を発症し、その後、認知症の「当事者」からの発信や、ピアサポートの重要性を発信している方。 認知症の告知によって、一度は落ち込んだ丹野さんが、「当事者からの発信」を積極的に行なっていこうと行動していることの種明かしというのか、理由が書かれていました。 丹野さんの本を読んで、私が感じたのは、 ・認知症に対する偏見を自覚して取り払う努力をしようよ(当事者も周りの人も) ・認知症と「共に生きる」方法を模索してみましょうよ(当事者も周りの人も) ということ。 丹野さんはスコットランドでの認知症の当事者の団体の視察に行ったとのこと。 スコットランドでも、日本と同様に認知症に対する偏見もあるし、認知症と診断された当事者が家に引きこもってしまう事例もたくさんある。けれど、その団体では、 「認知症と共に生きる」ということに主眼を置き、「当事者を支える考え方」として ・ストレスをなくす ・不安をなくす ・「自立の手助けをする」 という3つがあると感じたとのこと。 日本でも、1、2項目は同様の取り組みがされているけれど、3つ目に関しては「自立の手助け」ではなく「当事者を守るため、周りの人たちが代わりにやってあげる」という方向性になっているという方向に向かうことが多いのではないか、と丹野さんは書いていました。 前に読んだ本でも感じたのですが、これは「認知症」だけに限らず、障害者や高齢者にも当てはまることなんだろう。 当事者の安全のため、介護者の安心のため、 という理由をつけて、「自立」を、逆に阻害しているのかもしれない、と。 日に日に弱っていく高齢の親を看ながら、これらのことは心に留めておかなくては、と、また気付かされました。 本を読むたびに気づきを得られるけれど、実際には、すぐに実行できるものではないというのも本心。でも、心の片隅に思っていることで、少しずつでも考え方を修正していければいいかもしれない、と思いました。 認知症、障害者、高齢者。身内にはそのような方がいない、という方も、心の片隅に、「介護」だけではなく「自立支援」が必要なのだ、という話を読んでおいてもいいかもしれない。 いろいろな立場の方にぜひ。 余談: 紙の書籍を購入して読んだのですが、この書籍、字が大きめに印刷されていました。高齢者、障害者、認知症の当事者の方にも読みやすいような配慮なのかな。好感が持てました。
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湖永さんの「オレンジランプ」のレビューを読んだのがきっかけで手にしました。ありがとうございます。筆者の丹波智文さんは、「オレンジランプ」のモデル、39歳で若年性アルツハイマー型認知症の診断を受けられれた方です。 著者の丹野智文さんは、車のセールスマンで仕事にやりがいを感じて...
湖永さんの「オレンジランプ」のレビューを読んだのがきっかけで手にしました。ありがとうございます。筆者の丹波智文さんは、「オレンジランプ」のモデル、39歳で若年性アルツハイマー型認知症の診断を受けられれた方です。 著者の丹野智文さんは、車のセールスマンで仕事にやりがいを感じていました。同じ職場の女性と結婚し2人の女の子にも恵まれ充実した毎日を送っていました。ここ数年で記憶力が悪くなったと自覚し、検査を受け若年性アルツハイマー型認知症の診断をされたのが39歳…子どもたちは中学1年生と小学5年生…え??すごく大変なんじゃない!!と感じました…。丹野さんも、将来が不安と眠れず泣きながら過ごした夜もあったようです…。でも丹野さん自身の人柄の良さもあってなんでしょうと思うんですけど、職場や家族、そして当事者組織などから、あたたかく受け入れてもらえているんです。そんな環境であるから、認知症の進行速度もゆっくりなんでしょうか…若年性認知症は進行が早く2年ほどで寝たきりになる…それが間違った情報であること、診断から4年経っても周囲の理解があって自分が笑えていれば大丈夫、周囲の無理解と自分自身へのやるせなさからうつ状態になってしまうような状況になることが問題だと話されます。丹野さんの笑顔はとってもステキなんですよねぇ~!! 丹野さんは、自分のような当事者の支援にあたりたいと、「オレンジドア」という支援組織を立ち上げます。その活動の中で、スコットランドに飛び、当事者支援について考えるきっかけを得ます。スコットランドでは、①ストレスをなくす②不安をなくす③自立の手助けをする、というもので、日本では③が守る(なんでもやってあげる)となってしまっているのではないか…と提起します。認知症だからできないだろうと、なんでも手を出すのではなく、できそうなことはなるべく当事者にさせてほしいし、大変なところだけを手伝ってほしいと言います。ついつい、手を出してしまうだけでなく、当事者の話をさえぎるとか代弁しちゃうとか、そして聴かないのはもってのほかと…、あぁ…思いあたります…。反省…。 そういえば、認知症の治療薬が承認されたとのニュースがありました!!朗報ですね!保険がちゃんと効いて、困っている方へきちんと行きわたりますように…。
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彼だからかな?まわりも協力的だね。 認知症は初心者はそんなに変わらないんです。 急にすべてがわからなくなったりはしない アルツハイマーの場合はね。
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丹野智文さんの素晴らしいパートナー、若生栄子さんは高校時代の同級生だと思う。 豊かな人生を歩んでいることを知って、嬉しい。僕も今も豊かな人生を送らせてもらっていて、そんなことを伝えたいなって勝手に思ったりなんかしてる。 勤務している学校の図書室で見つけたこの本。何かの「力」が入っ...
丹野智文さんの素晴らしいパートナー、若生栄子さんは高校時代の同級生だと思う。 豊かな人生を歩んでいることを知って、嬉しい。僕も今も豊かな人生を送らせてもらっていて、そんなことを伝えたいなって勝手に思ったりなんかしてる。 勤務している学校の図書室で見つけたこの本。何かの「力」が入ってのこととしか思えない。 <本から> 「作り笑いでもいいから笑っているといいよ。そうすると本当の笑顔が出てくるようになるから」 「若年期認知症の方のつどい〖翼〗若生栄子 忘れていたことを無理に思い出そうとすると、私の脳は全然違うことを思い出してしまうのです。明らかにちがうのに、それが正解だとさっかくするのはどうしてでしょうか。間違っているのに、気がつかないのです。ジグゾーパズルにたとえるなら、形の似ているピースを無理やりはめ込んで完成したと喜んでいるようなものです。間違っているのに、間違ったと思わないで失敗する。失敗したことは理解できるので、自分の記憶に自信が持てません。だからいつも不安になるのです。 認知症の人は失敗しながらでも、自信を持って行動するのが良いのです。そして周りの人は、当事者が失敗しても怒らないことです。 ちょっとした言葉で認知症当事者は傷つき、自分の行動に自信がなくなり、失敗を恐れてしまうのです。失敗をしたことを指摘されるのは嫌なことだと思います。
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当事者、その家族、サポーター、周囲の人、行政の人間などあらゆる人に読んで欲しい1冊。 これから、家族が、自分が、目の前の人が、認知症かもしれない世の中ではきっと読んでおいて損はないはず。
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当事者だからこそ書ける現実的な悩みや思い。非当事者として接し方を考えさせられると共に、認知症のある方の視点を知ることができる貴重な一冊。
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勇気と使命感を持って、当事者の声を発信する丹野さん。 丹野さんの場合は、自分のために、そして同じく認知症と診断された人のために笑顔で生きることを自分に課している。 認知症については、私たちはまだまだ知らないことが多い。認知症といっても、原病による症状のちがいや、個人による感じか...
勇気と使命感を持って、当事者の声を発信する丹野さん。 丹野さんの場合は、自分のために、そして同じく認知症と診断された人のために笑顔で生きることを自分に課している。 認知症については、私たちはまだまだ知らないことが多い。認知症といっても、原病による症状のちがいや、個人による感じかたの違いがあるとはいえ、当事者から得られる情報は、周りの人達やこれから認知症になる人達にとって、貴重な情報であることは間違いない。 認知症とともに、笑顔で生きられる世の中を、当事者とともに作っていこう。
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※このレビューにはネタバレを含みます
39歳で若年性アルツハイマーと診断された著者の自伝。 割りと身近に感じていた認知症だが、当事者の本音というのは聞いたことがなかったので、興味深かった。近年、認知症に対する様々な行政的支援や民間サービスも耳にするが、どれもまだ不十分で、当事者からしたら、やっていることがずれているものも多いのだろうと思った。年代や病気の有無に関わらず、すべての人が生きやすい社会を考える上で、この中で取り上げられている「自立」の考え方はとても重要になると思う。
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39歳で若年性アルツハイマー病と診断された筆者の、診断から現在までの道のりを語る。 認知症本人としての経験からくる発言は、こちらの浅い想像力を超えるものばかり。 アルツハイマーの方々がどのように感じているか、その考えに触れられることがうれしい。 病を宣告された時の、丹野さんの...
39歳で若年性アルツハイマー病と診断された筆者の、診断から現在までの道のりを語る。 認知症本人としての経験からくる発言は、こちらの浅い想像力を超えるものばかり。 アルツハイマーの方々がどのように感じているか、その考えに触れられることがうれしい。 病を宣告された時の、丹野さんの絶望。 それは、知識がないことから、認知症=寝たきり、徘徊、廃人のような誤った考え方へ陥ってしまったこと。 同じ病の明るく生きる存在の大きさ、サポートをしてくれる人々、お医者さん。 みな、病と向き合い、足りない事を悔いるのではなく、今できることを見つめる。病とつきあう柔軟性を持つこと、それはあきらめることでもある。 とにかく自分に自信を持つこと、笑顔でいること。これが重要。 このことは、言葉で言うほど簡単なことではないだろうと思う。 ただ、やはりこのことは重要だし、自分をもち笑っている状態を作ること、それは周りの環境が、認知症を正しく理解することでもある。(あまり過保護にするのでもなく、無関心でもなく、きちんと理解し、普通に接することができることが理想なのだと思います。) 自分の病を公開することには、大きな勇気がいる。筆者の丹野さんですら、自分の地元のTVには出られないなど、公にすることはためらいがある。 公にすることで、周りとの関係が開けていく、そして、ここまで親切な人たちが世の中には多くいたのだと。 自分の病は、自分が悪い訳でない。 そこをきちんと自分自身に言い聞かせ、フラットに公開できるようになると、道が開けていくのであろう。
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