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彼女はもどらない の商品レビュー

3.8

37件のお客様レビュー

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2019/11/19
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

友人から勧められたので購入。二年前に出版とのことですが、店頭は在庫切れでした。非常に読みやすく、飽きることなく最後まで読み進められました。SNSの表現や、ネットストーカーの要素などが多数あり、全体的に雰囲気が現代風だと感じる物語でした。 最初「私は綾野楓さんを殺しました。」という棚島悟の裁判での発言から始まります。以下詳しいネタバレです。 綾野楓は、キャリアウーマンのサバサバした主人公の女性で、棚島悟と、籍は入れない事実婚をして一緒に暮らしていました。 一方の棚島悟は、綾野楓と事実婚をしていながらも、別に妻子がいます。妻は転落事故で植物状態、子どもは実家に預け、妹と母が面倒を見ています。 事実婚(不倫)を知った棚島悟の妹や、綾野楓にちょっとした恨みを持つ職場の同僚、楓とネットでいざこざがあった男などが、綾野楓に対していたずらや嫌がらせをし、綾野楓はどんどん精神的に病んでいきます。最後に、自分の旦那だと思っていた棚島悟が、本当は妻子持ちだということを知り、崩壊してしまいます。 そこに、綾野楓を14歳の時にレイプしたピアノ教師が現れ、精神を病んでいた綾野は、今までの嫌がらせはその教師のせいと勘違いし、殺されると思い、殺害してしまいます。 つまり、最初に棚島悟が"綾野楓を殺した"と発言しているのは、精神的に殺したという意味でミスリードになっています。その裁判は、ピアノ教師を殺害した綾野楓の裁判でした。 と、いろいろ省きましたが、簡単にいうとこのような話でした。 率直な感想は、登場人物が好きになれず、共感もできないので、読後感はあまりよくなかったです。ただただ綾野楓が悲惨で壮絶な人生を歩んでおり、悲しくなります。 棚島悟は理由はいろいろあれどゴミのような人間で、イライラしました。世間の目を気にして植物状態の妻と離婚せず、自分の癒しの場、逃げの場として、騙して愛人を作り、新しい結婚生活を送るなんて…。 植物状態の正妻と同じ指輪を、不倫相手にも渡すのはさすがにね。 「深雪(植物状態の妻)は自分の経験や感情を、棚島にも共有してもらいたがった。交際中はもっと自立した女だったのに、結婚、出産、そのたびにより依存的になっていくようだった。退屈なのはわからないでもないが、聞かされる話のほとんどが棚島にとってはどうでもよかった。生返事でやり過ごしているうちに、深雪の口数はだんだん減っていった。頬の薔薇色が消えかかっていることに気付いたのは、いつ頃だろう。」という場面が強烈すぎて。夫婦ってこうやってすれ違っていくんだろうな…と、こういう風に思っている男の人って多そうだな~…と恐ろしくなりました。 最後に棚島の親友の"利一"の視点で物語が終わります。利一は、植物状態になってしまった棚島の妻にずっと恋をしていて、だから棚島が浮気をしていることが許せず、楓に本当のことをばらそうと試行錯誤していました。 利一の「自分の中の化け物がしでかしたしでかしたことを思えば~」という文がありますが、これはどういう意味なのかがわからず、すっきりしません。利一がしたことといえば、親友の嫁に恋をしたこと(しかも自分の胸に秘め、隠し通していた)と、棚島悟が既婚者だということを楓に伝えたこと、だけですよね。それって、普通の人間なら当たり前のことだと思うんです。 以上、なんだか男女って、人間って怖いなあと思うお話でした。楓と美空が幸せになりますように。

Posted byブクログ

2019/08/22

著者の作品は「女王~」と「すみれ屋敷~」を読んでいてその巧みさは理解しているつもりでしたが、これには驚きました。自分の鬱屈した気持ちのはけ口としてブロガーへ攻撃をし、それによりSNSで報復をされる…二人の交互視点という作りが本当に巧みで、登場人物の誰にも思い入れできない話なのに、...

著者の作品は「女王~」と「すみれ屋敷~」を読んでいてその巧みさは理解しているつもりでしたが、これには驚きました。自分の鬱屈した気持ちのはけ口としてブロガーへ攻撃をし、それによりSNSで報復をされる…二人の交互視点という作りが本当に巧みで、登場人物の誰にも思い入れできない話なのに、このページ数を数時間で一気に読んでしまいました。表面に出すもの、読者に想像させるものの線引きが抜群にうまいのだと思います。この手の話は正直好きではないです。でも顔をしかめつつ読んで良かった。見事でした。「匿名交叉」改題改稿文庫化。

Posted byブクログ

2019/07/08

まさに現代の問題。ストレートな悪意ではなく、あちらこちらから疑惑が・・それもネットを発端として。ネット社会の怖さという点で、似た小説は多いけど結末に少し救われた。

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2019/07/07

おもしろかった。 くるたんさんのレビューを読んで興味を持ちました。ブクログやってなかったらおそらく出会わなかったであろう本。 図書館で予約したら思いのほか順番が来るまでに時間がかかり、ようやく読めた。 装丁の絵の軽い印象と裏腹に、「親の愛とエゴ」という結構重いテーマ。ふたり...

おもしろかった。 くるたんさんのレビューを読んで興味を持ちました。ブクログやってなかったらおそらく出会わなかったであろう本。 図書館で予約したら思いのほか順番が来るまでに時間がかかり、ようやく読めた。 装丁の絵の軽い印象と裏腹に、「親の愛とエゴ」という結構重いテーマ。ふたりの登場人物の視点が交互に展開される若干複雑な構成。でも、展開はテンボよく淀むことなく読み進められる。 伏線回収が見事! 細かい違和感も最後には全て解消されてスッキリした読後感。ミステリー小説としてとてもレベルが高いと思う。 文句なしの満点(^^)

Posted byブクログ

2019/01/01
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

『ぼぎわんが、来る』のイクメンのふりした嫌な野郎とそれにイチャモンをつける高飛車女子の対決で、『スマホを落としただけなのに』みたいな殺人鬼が出没する話(どんな話やねん(笑))だと勝手に思い込んでいました。全然ちゃうがな。 えーっ。見事に騙された。しかしどいつもこいつも嫌な奴ばかりで誰も信用できません。好感の持てる人がいない話というのは、面白いとは思っても気が休まらず、酷いやっちゃなぁで終わってしまう。でも相当面白かったです。正月に酒飲みながら適度に酔っぱらって読むにはうってつけ。やっぱり怖いのよ、SNS。

Posted byブクログ

2018/08/27

いくらでもネットにいるんだろうな、こういう危ない”普通”な人達。 ミステリは面白かったけれど、誰一人感情移入はできませんでした。

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2018/06/21

極上ミステリー!仕掛けがいっぱいで、読み応えのある一冊になりました。 SNS、コスプレ衣装、ストーカー、匿名、炎上…イマドキミステリー 誰にでも人に見せたい顔がある。知られたくない顔がある。顔の見える相手には遠慮があるけれど、顔の見えない相手には必要以上に攻撃的になる。 そんなご...

極上ミステリー!仕掛けがいっぱいで、読み応えのある一冊になりました。 SNS、コスプレ衣装、ストーカー、匿名、炎上…イマドキミステリー 誰にでも人に見せたい顔がある。知られたくない顔がある。顔の見える相手には遠慮があるけれど、顔の見えない相手には必要以上に攻撃的になる。 そんなごく普通の人たちが陥る闇を上手くえぐっていると思う。 キャリアウーマンの楓は、仕事で知った男性《ソラパパ》のSNSへ批判的なコメントをする。 そこから始まる嫌がらせ、SNSの炎上、ストーカー…被害者は誰で加害者はどこ?視点によって目まぐるしく変わるのは、今の私たちのリアルにも当てはまるような気がする。 楓の事情、棚島の事情、絆を得られなかった大人たちのホラー。 今年の11冊目 2018.6.20

Posted byブクログ

2018/06/17

SNSで互いに批判的なコメントを繰り返す棚島と楓の関係は途中で気づいてしまいましたが、こちらが身構える前に仕掛けられたので面食らいました。 その後の展開も予想外の連続で面白かったですし、棚島と楓の心理描写やイタさ加減もリアルで良かったです。

Posted byブクログ

2018/04/20

SNSの嫌がらせや雑誌のクレームは実際あんな感じなんだろうか。ストレスの多い世の中だ…。どんでん返しは最初よくわからなくて、少し戻って確めてからははーん、という感じ。読後感はよろしくない。

Posted byブクログ

2018/01/18
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

すごいとしか言いようがない。 トリックや伏線もすごいが、綾野楓が自分とすごく似ていて、その点が号泣だった。 そして、そばにいる家族の事を何もしらないのが現代社会なのかもしれない。 この本はこのブクログで、知った。読んでよかった。

Posted byブクログ