階段を下りる女 の商品レビュー
弁護士として地位を確立した主人公は、出張先のシドニーで若いころであった一枚の絵を見つける。まだ駆け出しの弁護士だったころの主人公が、その「階段を下りる女」の絵の作家と依頼主の間に立ち、モデルであるイレーネと絵をめぐって争っている案件に関わることになった事があったのだ。主人公は、イ...
弁護士として地位を確立した主人公は、出張先のシドニーで若いころであった一枚の絵を見つける。まだ駆け出しの弁護士だったころの主人公が、その「階段を下りる女」の絵の作家と依頼主の間に立ち、モデルであるイレーネと絵をめぐって争っている案件に関わることになった事があったのだ。主人公は、イレーネと絵と共に駆け落ちをするはずだった。しかし、イレーネは絵と共に姿を消してしまったのだ。 その絵を画廊で見つけた主人公は、放置された農場に一人で暮らすイレーネと再会する。イレーネとはいったい何者なのか。主人公は、仕事をすべてキャンセルしてイレーネの住む古い屋敷へ向かう。 シュリンクは、本当にドキドキさせるような小説を書く人だと思う。読み終わると、ドンと心を揺さぶられる。主人公と共に涙してしまう。
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第1章、第2章と、語り手である弁護士は、イレーネにとって全く取るに足らない、まさに使用人程度の感情しかないのかもしれないと思ったけど、第3章では急に親密になったように感じられて、だけど最後はやはり突き放されたのだと思った。 彼はずっと、過去のことを思い返して幸せなもしもを夢想し...
第1章、第2章と、語り手である弁護士は、イレーネにとって全く取るに足らない、まさに使用人程度の感情しかないのかもしれないと思ったけど、第3章では急に親密になったように感じられて、だけど最後はやはり突き放されたのだと思った。 彼はずっと、過去のことを思い返して幸せなもしもを夢想していたけど、イレーネは一緒に夢見てはいなかったんじゃないのかな。 登場人物はなかなかに人の醜さを露わにしていたと思うのに、お話は静かで美しい。彼の語るイレーネも最初から最後までずっと美しかった。
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- ネタバレ
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読書記録です。まだの人は読まないでね。 ごめんなさい。私には難解すぎる…途中で会話を飛ばしてまった。急いで読むとき「」の会話文ははずさないんだけどな~(^_^;)わざとなのか著者の和訳についての希望がそうだったのかはわからないけど、会話が文学的すぎる! 結局、登場人物全員、何をどうしたかったんだ~?! おばちゃんの理解できる範囲で簡単にいうと、一枚の絵のモデルの女性(と絵)を夫、描いた画家、その間のトラブルを解決しようとした真面目な弁護士の三人の男が取り合いっこするおはなし。あぁ、こんなふうにしか内容をまとめられない自分が惨めだなぁ。
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[小さなトゲは大きなトゲよりも取り除くのが難しい…/作中文引用] そう考えると人生はifの連続などではないのだろう。 全て自身が選択したこと。過去の自分を変えることはできないが未来は変えることができる… 階段を下りる彼女が進む先に在りえた彼の思いと彼女の想いが波間に浮かぶ光の...
[小さなトゲは大きなトゲよりも取り除くのが難しい…/作中文引用] そう考えると人生はifの連続などではないのだろう。 全て自身が選択したこと。過去の自分を変えることはできないが未来は変えることができる… 階段を下りる彼女が進む先に在りえた彼の思いと彼女の想いが波間に浮かぶ光のようで、哀しく美しかった。
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1章は老齢に差し掛かろうとする年齢となった主人公の現代と過去がドイツ語らしい硬筆な筆致で語られ、面白かった。主人公である″ぼく″は、法律事務所に務め、仕事の都合でシドニーへやって来たのだ。そして、とあるアートギャラリーに飾られた′階段を下りる裸婦′の絵を観たことで、若い頃恋に落ち...
1章は老齢に差し掛かろうとする年齢となった主人公の現代と過去がドイツ語らしい硬筆な筆致で語られ、面白かった。主人公である″ぼく″は、法律事務所に務め、仕事の都合でシドニーへやって来たのだ。そして、とあるアートギャラリーに飾られた′階段を下りる裸婦′の絵を観たことで、若い頃恋に落ちた女性と駆け落ちを企て、裏切られた苦い思い出を回想する。その後思いがけず、彼女がシドニー近郊に長年、不法滞在している事を突き止め…といった感じ。 ところが第2章以降、物語として急展開があり、ドイツ人らしい観念的応酬なども合わさってくるにつれて、読み進めるのが苦痛になってきてしまった。 なんとか読み終えたが、今の私には水が合わなかったとしか言いようがない。 年齢を含めた人生経験の無さ、ドイツ人とは異なる日本人としての感覚などが原因なのかもしれない。
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型通りの成功を手に入れた主人公が、年月を経て、昔夢中になった女と再会する。 彼の独りよがりは、若い頃と変わらず痛ましい。 しかし、自由に生きてきた、年を取ってもなお魅力的な彼女は、彼に何をもたらすのか。
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世界は自分の見方でしか見られないけれど、その中で何かひっかかる(執着する)ものがあるということは幸せなことなのかな、と感じる。
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数十年前に失踪した女性と一枚の絵。 その絵を再び見つけてしまったら… 彼女と実業家の前々夫、絵を描いた画家の前夫、私。 失踪していた空白の月日。 風変わりなシチュエーションより、FALL IN LOVEした心は何十年たっても、彼女に向けてしか特別な開き方をしていなかった、というこ...
数十年前に失踪した女性と一枚の絵。 その絵を再び見つけてしまったら… 彼女と実業家の前々夫、絵を描いた画家の前夫、私。 失踪していた空白の月日。 風変わりなシチュエーションより、FALL IN LOVEした心は何十年たっても、彼女に向けてしか特別な開き方をしていなかった、ということの切なさ。 恋によって人生の見え方が変わってしまうことを外からみている、映画「(500)日のサマー」と、 1人の女性を巡る男たちのおかしな交流は、イアン・マキューアン「アムステルダム」を思い出した。
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