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書架の探偵 の商品レビュー

3.9

20件のお客様レビュー

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2024/04/29
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ハヤカワSFシリーズは初めて手にとったように思う。 銀の背表紙、天地小口が茶色く塗られた特徴的な装幀。 めくったページも茶色なのかと思っていたら、そこは他のハヤカワポケミスと同じ黄色だったのに、あ、そうなんだと思った。 本書は既に没した人物でも脳のスキャンにより複製体(リクローン)を作成することができる近未来の設定。 そして図書館の書架には作家のリクローンが配架され、借り出すことができる。 ただ、この世界ではリクローンを借り出す人は稀で、書架のリクローン達は貸出記録がないことで自分がお払い箱にされる(焚書される)ことに怯える日々。 とある日、ミステリ作家E・A・スミスのリクローンはコレット・コールドブックに借り出される。 話をすると、亡くなった彼女の父親の屋敷の金庫から、スミスのかつての書『火星の殺人』が発見されたという。 発見したのは兄だが、発見後程なくして屋敷で何者かに襲われ殺されてしまった。 幸い『火星の殺人』は兄からコレットに手渡されていたので手元にある。 何かしらの秘密があると睨み、その著者の力を借りたいとのこと。 という、見た目は「人間」、扱いは「本」という主人公スミスが、ちょっとちぐはぐな言動をしながら、屋敷の秘密に迫っていく。 『火星の殺人』の謎を追うというメインテーマが軸にありミステリ寄りではあるものの、所々SFらしいふわふわした感のある物語だった。 フリッター(飛翔機)やスクリーン(コンピュータ的なもの)、メイド・ボット、小型原子炉等この作品世界を象徴するものがしれっと当たり前のように登場することで、現実とのズレが埋めきれず、あぁなんかそういうものねという眩暈を覚える。 主人公のスミスも、自身の立ち位置(ただのリクローンで本物の人間ではない)に対する負い目が強く、「探偵」と言うにはいささか頼りなげなのだが、それもそのはず原題は「A BORROWED MAN」、つまりただの借りられた男。 借主に対する忠誠心、感謝の念と生前のミステリ作家という職業から探偵っぽい振る舞いをしているだけなのだ。 でもそうして行き着く真相は、ちょっとありがち感はあるが、ちゃんとミステリした結末。 しかしこれが著者84歳の作品とは。 すごい創作力。 続編『書架の探偵、貸出中』もあります。

Posted byブクログ

2022/07/06

現代の図書館では、「本」以外にもDVDなどの映像物の閲覧もできるが、さすがに「本人」の貸し出しは想像を超える。 主人公はかつてミステリー作家としていくつもの作品を世に出した人物、そのクローンを図書館の蔵書ならぬ「蔵者」として閲覧・貸出を行うという未来設定のSF小説。 この「図...

現代の図書館では、「本」以外にもDVDなどの映像物の閲覧もできるが、さすがに「本人」の貸し出しは想像を超える。 主人公はかつてミステリー作家としていくつもの作品を世に出した人物、そのクローンを図書館の蔵書ならぬ「蔵者」として閲覧・貸出を行うという未来設定のSF小説。 この「図書館の蔵者」という不思議な設定と、出てくる小道具などにSF的な要素があるも、本筋はアガサクリスティやエラリー・クィンのミステリー 殺人事件現場に「こころ」の文庫本が墜ちていた、さあ夏目漱石のクローンを図書館から借りてきて、犯人を推理してもらおう・・・・・って感じ(こんな推理小説はありません…たぶん)。 怪しげな洋館、富豪家族の確執と謎の死、主人公たちを追う謎の人物たちなど、ミステリー色満載! 一冊あっという間に、ミステリーとして違和感なく面白く、いただきました。

Posted byブクログ

2020/04/26

設定勝ちだね。 こんな面白い世界観よく考えたね。 素晴らしい。 SFとミステリが上手いこと融合されてる。 若干SF寄りだけど。

Posted byブクログ

2019/07/21
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

序盤読み始めてこのジェンダー観やばくない?古典か?いつの本だよいうて確認したら2015年のでビビり倒したけど書いたのが84歳のおじいちゃんで二度ビビる おじいちゃんことジーン・ウルフさん本初見 全体的にキャラ立ちよすぎんか?という印象 翻訳もいいのだろうな、というかんじ 主人公(100何年前に存在した作家のクローン、図書館に蔵者として収蔵されている)は自分を借りてくれた人物に起きたことについて首を突っ込み奔走する。その過程でまるで本当の図書館に所蔵された本のように色んな人に借りられたり、借りられそうになったりするが、受ける扱いはぞんざい。その扱いからも分かるように人間からは人間未満とみなされている。しかし実際のところは内省的な存在であり、その境界は曖昧、むしろ人間なのかもしれない。その内省的、という点で、私達の現実世界における本もその実そうなのでは?というかんじ は?となるだろうが、私もは?となっている、詳しいところが言語化できない くるしい 言語化できるようになりたい とにかくミステリ色つよめのこのSFにおいて、このクローンがオリジナルの自分、そこといまの差異について思案するのがめちゃくちゃツボ 最高

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2019/07/15

謎も謎解きもしっかりとある少しSF風味の入ったミステリ なのだが、この本のキモはそこではないと思う。 物故した作家の、記憶までも完全にコピーしたクローン体─ リクローン─を、蔵書ならぬ「蔵者」として図書館に収蔵 するということが実現したら一体どういうことになるのか。 そしてそん...

謎も謎解きもしっかりとある少しSF風味の入ったミステリ なのだが、この本のキモはそこではないと思う。 物故した作家の、記憶までも完全にコピーしたクローン体─ リクローン─を、蔵書ならぬ「蔵者」として図書館に収蔵 するということが実現したら一体どういうことになるのか。 そしてそんなことが起こる社会とはどのようなものなのか。 そういう一種の思考実験がこの本の面白いところなのでは ないだろうか。 もちろん素直にミステリとして読んでも十分に楽しめるの だが、さすがはジーン・ウルフ、エンタメ寄りでわかり やすい作品でありながらいろいろと考えさせられる内容で あった。本を大切にしよう。

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2018/12/25

初ジーンウルフ。クローンの人権の無さは容赦ないねぇ。主人公の言い回しが俺の苦手な本格ミステリなのか?と不安になったが、こりゃ一風変わったハードボイルドだな。面白かったです。

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2018/12/19
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

近未来SFにミステリーを加えたような作品。ただのSFとして読めば面白いのかもしれないが、題名「書架の探偵」だし。全体的に今一つ納得いかないことの方が多く、ミステリーとして今一つ。 主人公が複生体である必要があったのか?実験室が異星となぜつながっていたのか?などあげるときりがない。 設定に期待していただけに残念。

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2018/10/19

亡くなった人のDNAと脳のスキャンで複生体として図書館の書架に住む蔵者が存在する世界。小説家のスミスは、コレットから借りだされた。スミスが書いた本を彼女が手に入れ、どうしても知りたいことがあるという。蔵者だなんて、なんという世界だ。蔵者のスミスが頭をひねり、いや体をかけて、コレッ...

亡くなった人のDNAと脳のスキャンで複生体として図書館の書架に住む蔵者が存在する世界。小説家のスミスは、コレットから借りだされた。スミスが書いた本を彼女が手に入れ、どうしても知りたいことがあるという。蔵者だなんて、なんという世界だ。蔵者のスミスが頭をひねり、いや体をかけて、コレットの知りたい謎を解く。

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2018/07/18

署名から図書館が舞台の探偵小説かと思っていたが、なんと、探偵が図書館に所蔵されていて、文字通り書架に並んでいた。作家の遺伝子と記憶をもとに作られた複製人間。原題のA Borrowed Manが示すように、駆り出されて、探偵役を務める。設定はSFだが、ミステリとしても、しっかりとし...

署名から図書館が舞台の探偵小説かと思っていたが、なんと、探偵が図書館に所蔵されていて、文字通り書架に並んでいた。作家の遺伝子と記憶をもとに作られた複製人間。原題のA Borrowed Manが示すように、駆り出されて、探偵役を務める。設定はSFだが、ミステリとしても、しっかりとした構成になっている。

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2018/04/07

推理作家のクローンが書棚に置かれていて、たまたまその著作に関して起こった事件の当事者としてそのクローン(書籍)は借り出され事件解決に向けて活躍.... クローンが書架に置かれて借り出されるシステムとかの説明があまりに簡素で、普通の、ごく普通の探偵モノに思えます。 探偵モノとしては...

推理作家のクローンが書棚に置かれていて、たまたまその著作に関して起こった事件の当事者としてそのクローン(書籍)は借り出され事件解決に向けて活躍.... クローンが書架に置かれて借り出されるシステムとかの説明があまりに簡素で、普通の、ごく普通の探偵モノに思えます。 探偵モノとしては、まあ、普通に読めるんですが...

Posted byブクログ