平和の玩具 の商品レビュー
サキの短編集。序文や親族によるサキに関する 手紙も読みごたえがあります。 既読のものもありましたが相変わらずブラックな 内容でサキは面白いなと読み進めていたら 最後の三作品は、どうしてかちっとも面白くないと 思っていたところ、これらは戦争中に書かれたもの。 ユーモアにあふれたサ...
サキの短編集。序文や親族によるサキに関する 手紙も読みごたえがあります。 既読のものもありましたが相変わらずブラックな 内容でサキは面白いなと読み進めていたら 最後の三作品は、どうしてかちっとも面白くないと 思っていたところ、これらは戦争中に書かれたもの。 ユーモアにあふれたサキだったけれど、(44歳という 年齢で!)自ら志願して戦争に赴き、亡くなる 少し前はとてもやつれていたそう。戦争は ユーモアの天才すらこんなにも変えてしまうのかと 思い至りました。 サキが亡くなった後に姉エセルの意を受けて 作られた短編集だそうですが、この姉のエセルは かなりの曲者らしく、周囲の人間から愛されていた サキとは違い親戚中から嫌われていたようです。
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やはりサキは「ふふふ」と、にんまりしながら読む話が多い。批判や人間のさが、ある意味でいとおしいような愚かさを、ユーモアでくるんだような短編集。 なかには「セルノグラツの狼」や「浮かばれぬ魂の肖像」など、綺麗な(けれど悲しい)物語もあるのだけど、それと同じくらい、黒いユーモア...
やはりサキは「ふふふ」と、にんまりしながら読む話が多い。批判や人間のさが、ある意味でいとおしいような愚かさを、ユーモアでくるんだような短編集。 なかには「セルノグラツの狼」や「浮かばれぬ魂の肖像」など、綺麗な(けれど悲しい)物語もあるのだけど、それと同じくらい、黒いユーモアに富んだ作品が私のお気に入り。 「モールヴェラ」のオチがその典型。あーあ、やっぱりな、と思ってにんまりしてしまった。 子どもたちに兵隊や要塞のおもちゃを与えるのは、教育上よろしくない。かわりに、議会と市民からなるおもちゃを与えよう。これが「平和の玩具」の始まりだけど、子どもたちは結局「平和の玩具」で殺し合うだけで、なんの解決にもならない。 本作についてはチェスタトンが序文で解説しているけど、そうしたことを直接言うことなく、ユーモアで覆い隠してしまうのがサキの作品。 末尾に付せられた、手紙などの資料も、人となりを知る貴重な資料。私はむしろ、作品と人となりのギャップを興味をそそられた。
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『クローヴィス物語』『けだものと超けだもの』に続くサキの短編集、3冊目。 サキの短編はどれも面白いが、本書では『平和の玩具』『まぼろしの接待』『七つのクリーマー』が好きだ。 また、巻末に資料として収録されている『親族たちが述べたサキ』は、活字になるのは初めて(英語も含め)というか...
『クローヴィス物語』『けだものと超けだもの』に続くサキの短編集、3冊目。 サキの短編はどれも面白いが、本書では『平和の玩具』『まぼろしの接待』『七つのクリーマー』が好きだ。 また、巻末に資料として収録されている『親族たちが述べたサキ』は、活字になるのは初めて(英語も含め)というかなり貴重なもの。どうも一次資料が少ないらしく、一部でも日本語で読めるのは有り難い。 (ふと思い出してしまったが、風濤社の『サキ・コレクション』は、2冊で完結なのかな……?)
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