じごくゆきっ の商品レビュー
年下のたよりない女性に恋に落ちる中年男性。とてもリアルで面白い。「ビザ―ル」 逆に「A」はSF的だが、使命を全うした老女と最期をみとる五月雨に心うたれた。
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読み始めてまだ数冊ですが、桜庭一樹さんの小説の世界観がとても好きで私もじごくゆきっまっしぐらです。 この本は7話からの短編集なので読みやすかったです。 特に最後の2話が好きです。 『ゴッドレス』 美しく奔放な父を持ちその関係に苦しみ続ける女性が主人公です。親と子の切り離せない...
読み始めてまだ数冊ですが、桜庭一樹さんの小説の世界観がとても好きで私もじごくゆきっまっしぐらです。 この本は7話からの短編集なので読みやすかったです。 特に最後の2話が好きです。 『ゴッドレス』 美しく奔放な父を持ちその関係に苦しみ続ける女性が主人公です。親と子の切り離せない歪んだ愛に惹き込まれました。 『脂肪遊戯』 『暴君』からの続編で、砂糖菓子の弾丸は撃ち抜けないで描かれてたような、あがきながら戦う女の子の描写に胸がきゅっと苦しくなりました。
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「暴君」 鍵の開いた扉の先。 偶然通りかかることがなければ、皆絶命してしまっていただろうな。 「ビザール」 流されるがままに。 一度だけでも問題だろうに、続けるのならば向き合うべきなのでは。 「A」 消える前の景色は。 危険かもしれないと気付いていたのなら、一人にしてはダメだ...
「暴君」 鍵の開いた扉の先。 偶然通りかかることがなければ、皆絶命してしまっていただろうな。 「ビザール」 流されるがままに。 一度だけでも問題だろうに、続けるのならば向き合うべきなのでは。 「A」 消える前の景色は。 危険かもしれないと気付いていたのなら、一人にしてはダメだろう。 「ロボトミー」 繰り返される日々。 本人の代理でしていたなら分かるが、そうでなければ何だったのか。 「じごくゆきっ」 二人で逃亡する先。 不安定だと一言で片付けるのは簡単だが、話をちゃんとすべきだろ。 「ゴッドレス」 愛された印のきず。 都合よく書き換えられた記憶だとしても、忘れてはいけないだろう。 「脂肪遊戯」 太るために食べる。 心地いい距離感かもしれないが、本質を知ることはできないだろう。
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「私の男」は面白かった。この作家に注目しようと思いながら2冊目は機会がなかった。 今回たまたま図書館で手にした。けっこう、読者の評価も高い。期待して読んだら期待外れだった。ちっとも面白くなくやや苦痛でもあった。暗く毒々しい話が多く、どれもこれも品がなくて文学的な筆致がないし、話...
「私の男」は面白かった。この作家に注目しようと思いながら2冊目は機会がなかった。 今回たまたま図書館で手にした。けっこう、読者の評価も高い。期待して読んだら期待外れだった。ちっとも面白くなくやや苦痛でもあった。暗く毒々しい話が多く、どれもこれも品がなくて文学的な筆致がないし、話の展開が突然跳躍しすぎるし…いややめておこう。これは桜庭さんに失礼だ。本来とても筆力のある方だと思うから。 桜庭さん、きっとこのころ精神的にイラついていたのだろう。直木賞作家の書いた本とは思えないほど、どちらかというと小説界に名乗り出た新人作家の小説のような気がした。酷評すみません。これまた感性の浅い私のせいなのかもしれません。 桜庭さんテレビでも見て好きな方なので、期待を込めて次に読む小説に期待します。ナニがいいかな…?
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目次 ・暴君 ・ビザール ・A ・ロボトミー ・じごくゆきっ ・ゴッドレス ・脂肪遊戯 『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』を読んでいないのに、後日談の方を先に読んでしまった。 直接関係なさそうだからいいかな? 『暴君』と『脂肪遊戯』の二作が、ちょうど対になっている。 それにしても桜庭一樹、やっぱり容赦ない。 どの作品も押しつけられる暴力と忍耐をする弱者が描かれていて、その先に明るい未来なんてない。 忍耐とは、緩やかな絶望なんだって。 その絶望を突き抜けてしまった時…。 一番怖かったのは『ロボトミー』のユーノの母だけど(もう正気の沙汰じゃない)、『ゴッドレス』の香さんも、『暴君』の三雲の母も、『脂肪遊戯』の紗沙羅の父も、とても怖い。 自分しか見えない、自分の都合だけで生きる人たち。 悪意なく自分の理屈を押しつけ、受け入れられないと心や体に暴力を振るう。 ”暴力は世の中にいつもたくさんあって、暴力とは液体のような柔らかいものでできていて、だからいつも弱い者へと流れる。” ”〈ねぇ、ママに殺されるってどんな気持ちだろ?〉” そして、『じごくゆきっ』の由美子ちゃんセンセも、もしかしたらそういう親になってしまうのではないかという不安。 だってマウンテン坂田の由美子ちゃんセンセへの態度って、なんか強圧的過ぎて、とても温かい家庭を作れるようには思えない。 ”愛して。愛して。……誰か。 私と、尊厳ある状態で向きあってください。” 当然の状態を、これほどまで悲痛に願う状態とは。 ”「古来、神さまをめぐって人が争って、たくさんの大量死もあったよ。地上ではいろんなことがあるよ。なにがあっても助けず、ただ受け入れろと説いて、平気な顔をしているなんて、実はとてもこわい人ではない?」 (中略) 「神さまなんて、信仰なんて、なんの役に立つものか」” もちろん役に立っている人がいることは、わかる。 信仰があるから立っていられる人がいるってことは。 だけど、それすらもできないくらいの絶望に陥ったら、どうやって自分の心と体を守ればいいのか。 紗沙羅は賢い子だったから、『暴君』の三雲や『ゴッドレス』のニノや『ロボトミー』のユーノのようにならないように、自分で考えて行動した。 その時の紗沙羅の、醜さに依って立つ尊厳の美しさにまで言及するところが、桜庭一樹の容赦なさだなと思う。
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不思議な世界感。あまり好きにはなれないけど、何故か引き込まれて読んでしまった。歪んだ社会、歪んだ気持ち、絶望の先にある終着点を知りたかったのかもしれない。
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短編集 暴君 あたしと紗沙羅は親友で中学一年生。 紗沙羅は巨漢の女の子。 ある時同級生の陸がお母さんによる無理心中で殺されそうになる。それを紗沙羅は躊躇いもなく助ける。 カリギュラとオバケヤシキ。 ビザール 25歳で転職した女の子。流されやすい女の子。 嘘みたいな笑顔貼り付けて会社に行っていたらおじさん上司に気に入られて朝15分だけ楽しく話す相手だと思ってたら別の男に告られた後に急に告られて成り行きでどっちとも付き合うことになってしまった女の子。ただしある時突然それは終わりを告げる。 A わたくしは50年前にスキャンダルで引退したアイドル。アイドルという存在のない未来世界。 ロボトミー ユーノと僕の結婚式。そこで一番泣いているのはユーノのお母さんだった。僕は施設育ちで親が泣く理由がわからない。 幸せなはずの結婚生活は長くは続かなかった。義母がずっとくるのだ。ついてくる。依存。 言ってはいけない言葉。壊してしまう言葉。それがあることを自覚して。誰かを深く傷つけてしまうことがあるかもしれないのも言葉。今後気をつけて生きていこうと思う…。 じごくゆきっ わたしは16歳の女の子。副担任の中村由美子と駆け落ちをする。 ゴッドレス とんでもない親に振り回される25歳のニノ。 暴力的で変な男と結婚するように言ってくる。 脂肪遊戯 紗沙羅の幼馴染の賢一。 紗沙羅が太った理由が解明される。
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とても久しぶりに桜庭さんの本を拝読。 やはり私はこの方が書く思春期の少年少女が好きだなぁと思いました。 大人でも、心が思春期に置き去りのままの人も出てきてましたね。 それもひっくるめて、痛くて鋭くて、でも共感もできて。 読後感が「ヒリヒリする」というのは、桜庭さんならではな...
とても久しぶりに桜庭さんの本を拝読。 やはり私はこの方が書く思春期の少年少女が好きだなぁと思いました。 大人でも、心が思春期に置き去りのままの人も出てきてましたね。 それもひっくるめて、痛くて鋭くて、でも共感もできて。 読後感が「ヒリヒリする」というのは、桜庭さんならではな気がします。 どれも読んだあとザワリとする短編たちでした。
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少女から大人にってゆく女達の胸の中に秘められた「メンヘラ」という名の宝石がキラキラと輝く短編集だった。どれも怖くて、肉親に縛られて不気味だけれど、ちょっと美しく思えてしまう。『廃墟萌え』みたいな感覚に近いのかもしれない。
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桜庭一樹を読むのは「このたびはとんだことで」以来。久々。20から桜庭一樹をちまちまと読み始めた私もすっかり28になっている。アラサーだ。 そんなアラサーになってやっと気付いた。桜庭一樹はずっと毒親を書いてきたのではないか?と。 それに気付いたときゾッとしたし、桜庭一樹の小説にどうして自分がここまで惹かれてきたのかを理解した。私はずっと共感し、共鳴していたのだ。 特に今回のロボトミーは衝撃的だった。 毒親持ちの女性と結婚した旦那の話だ。旦那は施設育ちのためか親からの愛情がよく分からなく、妻と親との異常ともいえる関係についても「親子ってこんなもんなのか?」と不思議に思う。でも彼女は自分の親を負担に思っていた。親が死なないと子どもは解放されない。私もずっとそう思っていた。他の誰にも理解されなかったその気持ちがこの小説には書いてあった。ああ!!と感嘆の声を上げてしまう。読みながら、何度も、何度も。 ゴッドレスもすごい。よく描かれている。愛され方が分からない、愛されたことのない私たち。普通に愛されたことがないから、見返りばかり求められてきたから、罵倒されてばかりいたから、それを愛情と思わないとやっていけなかったから本当に“ふつう”に愛されると怖い。何を求めてるの?これからどんな怖いことが起こるの?と不安になる。そしたら最初からひどくされた方がマシで、でもそんなのはやっぱり嫌なのだ。人としての尊厳を保って愛してください。そう思うのに難しい。そしてこちらも親が死ぬことで解放される。自分が生きている限り解放されない、とも思うが、けれど親が死ぬことで私たちは確実に自由を手に入れるのだ。それは物理的に。解放される。 すごく心に刺さる物語ばかりだった。 やっぱり好きだ、桜庭一樹。読んでない本まだたくさんあるからまた読もう。
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