開化鐵道探偵 の商品レビュー
[内容]明治十二年、逢坂山に日本人だけによるトンネルを掘ろうとしているがどうも人為的っぽい事故が続発、元八丁堀の腕利き同心だった草壁賢吾が引っ張り出される。相棒は技手見習の小野寺乙松くん/捜査が始まってからも妨害続出、ついには殺人も発生[感想]この時代は変革期特有の新旧折衷してい...
[内容]明治十二年、逢坂山に日本人だけによるトンネルを掘ろうとしているがどうも人為的っぽい事故が続発、元八丁堀の腕利き同心だった草壁賢吾が引っ張り出される。相棒は技手見習の小野寺乙松くん/捜査が始まってからも妨害続出、ついには殺人も発生[感想]この時代は変革期特有の新旧折衷している感じが魅力的。エネルギッシュでもある。その辺を描くことが作品の主眼か/直接の犯人当てはそう難解ではなく、動機を考えるタイプかと。そっちはとうとう最後までわからなかった。 ■簡単な単語集 【有村正武/ありむら・まさたけ】大津警察署警部。薩摩人であることを前面に押し出している。 【稲村庄吉】藤田商店の下請けとして工夫を束ねている。口入屋といったところか。抜け目がない商売人という感じ。 【井上勝】工部省鉄道局長。三十六にして政府高官としての風格を持つ。長州系なので薩摩系に好感は抱いていないが自ら「鉄道馬鹿」と言い鉄道普及のためにはそんなことはどうでもいいとは思っている。《ま、儂はただ鐵の道を行くのみじゃ》p.276 【植木伊之助】生野銀山の坑夫頭。トンネル掘りのためにスカウトされた。《鉱山(やま)は厳しい場所や。儂らは偶然っちゅうもんを、あんまり信用せえへんのでな》p.56。はらにいちもつありそうではあるが職人ゆえに稲村よりは信用できる人物の感じ。 【江口辰吉/えぐち・たつよし】鴨川あたりで転落死した。藤田商店本社社員。 【逢坂山トンネル】全長六百四十四・八メートル、高さと幅は四・二メートル。山を穿つトンネルとしては日本初。 【小野寺乙松】ワトソン役。技手見習。 【カートライト】英国人機関士。腕は良いが気難しく偏屈。 【川上六輔】平田徳三のところで船頭をしていた。 【北山市助】稲村のところの組頭。 【草壁賢吾】時折鋭い目つきをするが飄々とした感じ。元北町奉行所同心。腕利きだったらしい。今は長屋ぐらしでご近所の困りごとを片付けたりしていくばくかの金を得ているようだ。八丁堀だった頃同様「草壁の旦那」と呼ばれている。臨時の役職、臨時鐵道工事監察方に任じられ、そこそこ自由に捜査できるようになった。 【国枝喜一郎】総監督。 【瀬田権治】逢坂峠界隈で馬子をしており客を奪われるので鐵道反対派。 【田所勝佑/たどころ・しょうすけ】技手。柔術家のような見かけの無骨そうな男。 【峠屋】工事現場近くの駅前にできた居酒屋。女将はまつ、持ち主は野山吉兵衛。 【延谷新平/のぶたに・しんぺい】藤田商店社員。江口の後任。 【野山吉兵衛】元庄屋で、このあたりの地主。鐵道に土地を持っていかれたと不快に思っているようだ。平田徳三は娘婿。 【原木善五郎】草壁を井上に推薦した。 【平田徳三】枚方で淀川の三十石船の舟問屋をしていた。蒸気船に客を奪われ鉄道でトドメを刺されたので鐵道反対派。 【藤田商店】長州出身の藤田伝三郎が興し建設業中心に手広く商いをしている。工夫の大半はここが集めた。 【まつ】「峠屋」の女将。二十代後半くらいの垢抜けた女。 【宮園一誠/みやぞの・かずまさ】技手。二十四、五の優男。 【村内保輔/むらうち・やすすけ】トンネル工事現場に近い大谷駅の駅長。 【矢島桂蔵】藤田商店社員。外回り。
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久しぶりに面白い活字のミステリーを読んだ。 明治の、鉄道をしき、国を豊かにする、という使命と浪漫と夢があった時代に、トンネル掘りの人足たちが事故にあい……という時代鉄道本格ミステリーです。 (^∀^) 長いこと鉄道会社ではたらいていたそうで、めちゃ詳しいのと、とにかく文章がうまい...
久しぶりに面白い活字のミステリーを読んだ。 明治の、鉄道をしき、国を豊かにする、という使命と浪漫と夢があった時代に、トンネル掘りの人足たちが事故にあい……という時代鉄道本格ミステリーです。 (^∀^) 長いこと鉄道会社ではたらいていたそうで、めちゃ詳しいのと、とにかく文章がうまい。 すんなり読めてしまう。 そうして、そうか、そういう夢を描いていた時代と人々があったんだなぁ、ということを初めて意識しました。 知識としては知ってたけど、そういう人々の努力の上に今の私達の暮らしも成り立ってるんだということを忘れちゃいかんと思いましたよ。 2022/04/13 更新
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明治12年、鉄道の開業まもなく。 トンネル掘削の変事に派遣される元八丁堀。 わくわくしますね! 明治当時の描写がとてもよかった。続編もよもう。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
日本の鉄道が開通して7年、日本人だけの力で鉄道を作るべく、京都-大津間の鉄道開通を目指す鉄道局長、井上勝。 逢坂山トンネルを堀削中の現場で次々と起こる事故に、旧八丁堀同心の草壁は捜査に駆り出されるが、その矢先、出入の商人がトンネル現場からの帰路、列車から転落死する。 技手見習いの小野寺の視点で物語がすすむ。 草壁は淡々と事件を追い、時々ふらりといなくなる。どんどん事件は起こるのに、あまり緊迫感がない。 黒幕もだけど、それに踊らされた犯人にも違和感。 ただ、日本人だけで鉄道を作ろうとしたという、鉄道建設の話は面白い。 銀山で働く坑夫達の過酷さとか、職人の手際とか。 今と違ってほぼ手作業だし!
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このミス2018年版10位。明治初期の鉄道が普及していく時代のトンネル工事現場での事件のお話。複数の殺人事件の犯人捜しや動機の追求が主題なのかな。いわゆる、Whodunitやwhydunitもの。最後に探偵さんが謎を解明するんだけど、それが意外性もなんもなくって本当あっそって感じ...
このミス2018年版10位。明治初期の鉄道が普及していく時代のトンネル工事現場での事件のお話。複数の殺人事件の犯人捜しや動機の追求が主題なのかな。いわゆる、Whodunitやwhydunitもの。最後に探偵さんが謎を解明するんだけど、それが意外性もなんもなくって本当あっそって感じ。トリックがすごいわけでもなく殺人を伴う連続発生事件と推理の追いかけっこが手に汗にぎるわけでもなく、ポイントが良くわからん小説。数件起こる殺人の扱いが軽くって、コナンや本格ものなみ。恐怖感や緊迫感も全然ないし感情移入もしにくくてなんか中途半端な感じでした。
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http://denki.txt-nifty.com/mitamond/2017/11/post-2ac8.html
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明治初期の鉄道工事現場で起こる事件を描いたミステリ。ミステリとしては当然面白いけれど、鉄道ができるまでの歴史や、そこで働く人たちの物語が読ませます。鉄道には興味がないのだけれど、それでも引き込まれました。 今では当たり前に使われている鉄道だけれど、このようにして敷設されてきたんだ...
明治初期の鉄道工事現場で起こる事件を描いたミステリ。ミステリとしては当然面白いけれど、鉄道ができるまでの歴史や、そこで働く人たちの物語が読ませます。鉄道には興味がないのだけれど、それでも引き込まれました。 今では当たり前に使われている鉄道だけれど、このようにして敷設されてきたんだなあ、と感慨深く思えます。そりゃあ当時は大変な苦労があったことだろうし。便利だけれど、その陰で不利益を被る人たちもいた、ということは案外と盲点だったかも。 鉄道敷設を巡って起こる数々の事件とその動機は、やはりというかなんというか身勝手なものではあるけれど。それに対抗する人たちが雄々しくて素敵。しかしダントツでカッコいいのはカートライトだよなあ。いいところ全部持って行っちゃってますよ。
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文明開化の日本。 鉄道工事現場で起こる事件の謎を解くのが、 元奉行所の同心というから驚きましたが 面白かったです。
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12/21/2018 読了。 図書館から。 初著者作品。 もうカートライトさんが印象強くて…、 美味しいとこ持ってくんだもの。
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日本人による鉄道工事が行われ始めた文明開化の時代、京都~大津間の逢坂山でのトンネル工事で妨害事件と殺人事件が起こる。 元八丁堀同心の草壁がさながらホームズ役で、鉄道局技手見習の小野寺が相棒のワトソン役といったところか。ホームズの草壁がなかなか手の内を明かさないのがヤキモキするが...
日本人による鉄道工事が行われ始めた文明開化の時代、京都~大津間の逢坂山でのトンネル工事で妨害事件と殺人事件が起こる。 元八丁堀同心の草壁がさながらホームズ役で、鉄道局技手見習の小野寺が相棒のワトソン役といったところか。ホームズの草壁がなかなか手の内を明かさないのがヤキモキするが、事件の謎解き部分は筋道立っていて分かり易かったし、さすが現役鉄道マンの著者だけに、鉄道知識や歴史背景もふんだんに盛り込まれていて、興味深く読めた。このコンビでシリーズ化をお願いしたいところ。
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