世界史を創ったビジネスモデル の商品レビュー
『世界史を創ったビジネスモデル』という題でローマ帝国と海洋国家から入り、IBMやGoogle、マイクロソフト等々のビジネスモデルに繋いでいくとはなかなか斬新かつ大胆だ。Googleやマイクロソフト等々のビジネスモデルがいつまで続くか分からないが、まだ会社が出来てたかだか30〜40...
『世界史を創ったビジネスモデル』という題でローマ帝国と海洋国家から入り、IBMやGoogle、マイクロソフト等々のビジネスモデルに繋いでいくとはなかなか斬新かつ大胆だ。Googleやマイクロソフト等々のビジネスモデルがいつまで続くか分からないが、まだ会社が出来てたかだか30〜40年だ。確かに素晴らしいビジネスモデルであり、誰もが出来ることではない。しかし今や世界は70年代にインターネットが世に出てから様々な分野で技術革新が起き、それぞれの技術革新がインターラクティブに作用して更に新しい技術革新が起きている。しかもそのスピードたるやエクスポネンシャルだ。GoogleもマイクロソフトもAmazonも世界の変化のスピードにいづれ追いつけなくなる時が来るだろう。筆者がローマの成功モデルは柔軟なダイバーシティさが作用して、1500年も続いたと言っているが、既存の成功パターンからの脱却、脱皮をダイバーシティを通じてやって行っても100年がやっとかもしれない。企業は全く別の会社にならないいけないことも排除しないくらいでないと生き残れないかもしれない。
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17.6.23 ビジネスブックマラソン こんにちは、土井英司です。 「一気に読みました」というのは、本にとって最高の賛辞の一つで すが、「読み終わるのが惜しくて、ちびちび読みました」もまた、 最高の褒め言葉ではないでしょうか。 本日ご紹介する、野口悠紀雄教授の『世界史を創った...
17.6.23 ビジネスブックマラソン こんにちは、土井英司です。 「一気に読みました」というのは、本にとって最高の賛辞の一つで すが、「読み終わるのが惜しくて、ちびちび読みました」もまた、 最高の褒め言葉ではないでしょうか。 本日ご紹介する、野口悠紀雄教授の『世界史を創ったビジネスモデ ル』は、最近読んだ中では最も「読み終わるのが惜しくて、ちびち び読んだ」一冊。 ローマ帝国からヨーロッパ海洋国家のビジネスモデル、さらには最 近のIT企業のビジネスモデルまで、広く「ビジネスモデル」を論 じており、目からウロコの内容でした。 経済学者のフィルターを通して世界史を見ると、一体どう見えるの か。これは、塩野七生さんの一連の著書に匹敵するほど読み応えが ありました。 「多様性の確保」と「フロンティアの拡大」が、なぜ国や企業にと って重要なのか。誰でも受けいれる合理的な寛容さとフロンティア 拡大で成功し続けたローマ帝国の事例に、指導者は学ぶべきでしょう。 そして圧巻は、数百年先を見通し、平和時代のビジネスモデル(= 通商)を開発し、後の海洋国家のモデルの基礎を創った「国造りの 天才」アウグストゥス。 本書を読んで、彼がなぜ歴史上最高のリーダーとして尊敬されるの か、その本質がわかった気がしました。 ビジネスモデルとは何なのか、それが機能するには何が必要なのか、 著者の慧眼も、本書の読みどころです。 さっそく、しびれる内容をチェックして行きましょう。 ----------------------------------------------- 「ビジネスモデル」という概念は、企業だけでなく、国にも当ては まる。国がどのような活動を行なうかは、ビジネスモデルの選択と 考えることができるのだ 重要な概念は、「多様性の確保」と「フロンティアの拡大」である。 多様性を実現できた国や企業は、できなかった国や企業に対して優 位になることが多い ローマを支える柱は、軍と奴隷である。軍を養うには税収が必要だ し、退役後の兵士に与える土地を獲得するには領土を拡張する必要 がある。これらは周辺地に侵略し、征服することで得られる。そし て、戦争は奴隷の最大の供給源だ。つまり、戦争はローマにとって の中核的「ビジネス」なのである 公共施設といえば国や地方公共団体の予算で建設するものだと我々 は思っているが、ローマでは、実力者が私費を投じて作ったのだ ローマとアメリカの類似点は、以上にとどまらない。もっとも重要 な共通点は、戦争後の対外政策にある。それは、よく言えば「寛容 主義」であり、やや否定的なニュアンスを含めて言えば、「敗者同 化主義」だ 人間が自ら進んで働くには、第1に未来への希望が必要だ。そして 第2に、勤勉に働いたことが正しく評価される仕組みが必要だ アウグストゥスは、それまでの空間的なフロンティアの拡大が限界 に来たことを知り、それに代わる新しいフロンティアを、通商の拡 大に求めようとした 時代精神を体現したビジネスモデルが生まれるのは稀だ。現代で言 えば、その稀な例が、iPhoneの登場だ。これが画期的であったの は、もちろん、それが優れた装置であり、便利だからである。ただ し、それだけでなく、時代の精神を体現しているからだ 優れたビジネスモデルは、単に金を儲けるだけのものではない。ま た、余剰労働力を活用するだけのものでもない。そこには、人々を 燃え上がらせるものが含まれているのだ 広い領土は持たず、国を全世界に向って開放する。そして、貿易を 中心的な産業とし、少数精鋭で大きな収益を実現する。これは、広 い領土と多数の国民を持ち、主要産業は農業である大陸型国家とは 異質のものだ。海洋国家は、ヴェネツィアやポルトガルが意識して 採用した、国としてのビジネスモデルなのである ----------------------------------------------- 近年稀に見る日本人著者による力作であり、かつ今後の日本の方向 性への示唆に富む内容でした。 首相を含め、政治家は必読。 企業経営者も、起業家も、読めば歴史上の偉人たちが創り上げた 「ビジネスモデル」のすごさにしびれ、テンションが上がる内容です。 ぜひ読んでみてください。 -----------------------------------------------
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レビュー『世界史を創ったビジネスモデル』(野口悠紀雄) 序章〜「ローマ帝国のビジネスモデル」〜「海洋国家のフロンティア拡大」迄は 歴史を「成功」と「失敗」の切り口語ってくれているので、知っていたはずの歴史もひと味違ったものに感じられたが、それを現代のビジネスモデルの解説になった部...
レビュー『世界史を創ったビジネスモデル』(野口悠紀雄) 序章〜「ローマ帝国のビジネスモデル」〜「海洋国家のフロンティア拡大」迄は 歴史を「成功」と「失敗」の切り口語ってくれているので、知っていたはずの歴史もひと味違ったものに感じられたが、それを現代のビジネスモデルの解説になった部分から、新鮮さが感じられなくなってきた。 それは、前半部分で歴史を語りながら、現代のビジネスを参照してきたことが、後半部分で再度重なって語られているように感じられたことと、後半部分でのビジネスモデルの紹介が、前半のローマ帝国の解説に比べて軽く感じられてしまったからかもしれない。 ちょっと厳しい指摘になってしまったように思えるが、それはこの序章で書かれていた『人間は誰でもある時期になれば過去を振り返伝みたくなる。それは、自分自身もその一員である人類という種族が、これまで辿ってきた道がどんなものであったかを知りたいという欲求だ。 歴史の知識を蓄積すれば、これまで知っていた事柄が、新しい光の中で照らし出される。それまでバラバラに把握していたことがつながる。関連性が分かり、一つの大きな構造の中に位置付けられる。 それはあたかも、ジグゾーパズルで絵が浮かび上がるようなものだ。あるいは。クロスワードパズルで文字がつながるようなものだ。ある時、一気に理解が広まる。』という凄くイメージを膨らませる言葉がそこ重みになって、期待を抱かせすぎていたのかもしれない。 そして、経済学博士号を持つ著者が時おり語たる映画の脱線も面白かったが、やはりローマ帝国の反映と衰退を分析している箇所が、歴史家とは違って面白かった。そのひとつがよくいわれる多様性の重要性を説明してる部分、大事だといわれ、それを受け入れてはいるが、「why?」とどこかで思っていた。そんなことへの回答として書かれていた。 【なぜ異質性や多様性がある必要なのか?】 ①同じ人ばかりだと、「内輪の論理」「仲間内の論理」「なあなあ主義」が蔓延しやすい。同質の人ばかりだと、遺伝子が劣化しやすい。不祥事はこういった体質の企業で発生する。 ②既得権益保護が最優先事項となり、企業のビジネスモデルを変更できなくなる。新しい事業に着手するのは難しいし、古い事業を切り捨てるのは絶望的だ。このため、組織は硬直化し、衰退する。 *80年代頃。日本企業の「企業一家」的な同質性が、高く評価された。ただそれは、大量生産というビジネスモデルの大枠が既に出来上がっていて、それをいかに効率的に実行するかだけにあったからだ。革命的な進歩よりは、積み上げによる改善が重要だった。 ③外的条件が大きく変化した場合、異質性が生き延びるための最終的な保険となることにある。極度に環境適応した「最強メンバー」では環境が激変すると、生き延びられない。だから、異質なものを積極的に残しておく必要があるのだ。 恐竜時代の哺乳類が、異質なものとして現在に我々を残している。 (「周囲の人には彼らが日本で暮らすのは大変なんだから」と包容力のあるフリをしながら、しっかりと鍵をかけたかを確認して街に出て、彼らの行動に必要以上に注意を払ってしまう)
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何が変わっているかよく理解できないけど、確かに何かが変わっているこの激動の時代の中で、生き抜くにはどうしたら良いか? という素朴な疑問に適切なアドバイスをくれる本。 歴史的な成功より、失敗から学ぶことの方が遥かに重要で大切だと教えてくれる。
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全体の半分くらいがローマ帝国のはなしで、世界史に詳しくない身としてはほんとにつらかった。 歴史を学んでも成功するわけではないけれど、失敗から、失敗しないための術を学ぶことができる 多様性や変化をさけると、失敗する
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・「多様性の確保」「フロンティアの拡大」 ・寛容主義は正しい。 ・コストがあっても、異質なものを認めることにはプラスがある。 異質性は生き延びるための最終的な保険となる。 ・日本は、税の軽さが原因になって衰退する可能性が高い。 ・江戸時代の分権的国家は、明治維新によって...
・「多様性の確保」「フロンティアの拡大」 ・寛容主義は正しい。 ・コストがあっても、異質なものを認めることにはプラスがある。 異質性は生き延びるための最終的な保険となる。 ・日本は、税の軽さが原因になって衰退する可能性が高い。 ・江戸時代の分権的国家は、明治維新によって中央集権国家へ。 ・国の活性化とは人口を増やすことではない。 達成すべき何らかの目標をもつことである。 ・国としてのビジネスモデル 中国:大陸国家 日本:海洋国家 ・所有権を放棄する。 「囲い込むのは人の常。開放モデルは神の業」
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異質なものに対して寛容だったローマ帝国。少数精鋭で貿易で栄えた海洋国家、イギリス帝国。ファブレスというビジネスモデルで成功したアップル。衰亡しつつある日本は、歴史から学ぶことはできるか。 それにしてもこの著者は、とても博学。引き出しが多い。
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第Ⅰ部はローマ史、第Ⅱ部は航海時代と現代史である。 謳う「ビジネスモデル」はこじ付けたようであり、古代史~中世史~現代史の論理的ブリッジもほぼなく、野口氏の書きたいものを書いている雑多感は否めない。映画話の挿話も読者にとってはキョトンだ。 国家繁栄の考察としては内容は面白い。ロ...
第Ⅰ部はローマ史、第Ⅱ部は航海時代と現代史である。 謳う「ビジネスモデル」はこじ付けたようであり、古代史~中世史~現代史の論理的ブリッジもほぼなく、野口氏の書きたいものを書いている雑多感は否めない。映画話の挿話も読者にとってはキョトンだ。 国家繁栄の考察としては内容は面白い。ローマ史においてはカエサルではなくローマ帝国初代皇帝アウグストゥスに焦点を当てたのは興味深い。中国の帝王学『貞観政要』でも創業より守成が難しとされており、アウグストゥスが国礎を作り上げ寛容主義を根付かせた結果、衰退の危機を経て五賢帝時代に栄光のパクス・ロマーナをもたらしたといえよう。また15世紀航海時代のポルトガルのエンリケ王子のフロンティアスピリットと驕りによる衰退は示唆に富む。と、ここまではまだよかったが現代史はMBAケーススタディのようだ。世界史の大局観から学ぶ趣旨が置いてけぼりになる。 野口氏の視野と知見の広さは疑う余地はないところではあるが、何故か日本の国家戦略などへの批判的記述では唐突に断定的で偏向的な内容が散見される。また史実への議題提起をしながら要因推定は「しかしそれはわからない」と放り投げれる。HALの由来など誤情報も多い。学者が書く歴史書と一風異なり有識者が書く歴史書は視点がユニークで面白いものの色々と気になることが多い一冊であった。
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著者の価値観はぶれず、ビジネスマンが歴史をどう読み解くかがわかり、非常に参考になる。ただ、ビジネス書をたまに読んでいる層にとっては、近現代の話は知っていることが多く、トリビア集に思えてしまうかもしれない。もちろん、ローマや大航海時代に明るい人にとっては逆の可能性が高い。
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野口悠紀雄氏による経済学始点からの歴史解説。氏いわく歴史学の専門家でないからこそ、歴史から学び自由に意見をいえるとのこと。ローマ帝国の強みを、軍、許容性、税制にまとめるなど塩野七生氏と近い視点ながらも、よりドライに分析されてわかりやい。「世界史の」とありながら約半分はローマ史だが...
野口悠紀雄氏による経済学始点からの歴史解説。氏いわく歴史学の専門家でないからこそ、歴史から学び自由に意見をいえるとのこと。ローマ帝国の強みを、軍、許容性、税制にまとめるなど塩野七生氏と近い視点ながらも、よりドライに分析されてわかりやい。「世界史の」とありながら約半分はローマ史だが内容は充実して面白い。時折日本の状況に照らし合わせての解説と提案は、わかりやすい面と強引な面、両方を感じた。日人口オーナスだけが日本の経済停滞の原因ではない、なぜなら人口が伸びいていた90年台から停滞がはじまっているから、という論理は反論のための反論で思える。すでに90年台は減少はしてないが1.2億人での頭打ちが完全に見えた時代である。と細いところで気になるところもあるが、最終的に賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶ、という結論であり、賛成できる。
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