樹木たちの知られざる生活 の商品レビュー
“植物学者の大半は植物の行動を、知性や記憶あるいは感情の蓄積とみなすことに消極的だ。動物の行動と比較するのを嫌い、植物と動物の境界があいまいになるのを恐れているようだ。ーでもそれのどこがいけないのだろう。 情報を得てから行動に移すまでに時間がかかるからと言って、生き物として価値が...
“植物学者の大半は植物の行動を、知性や記憶あるいは感情の蓄積とみなすことに消極的だ。動物の行動と比較するのを嫌い、植物と動物の境界があいまいになるのを恐れているようだ。ーでもそれのどこがいけないのだろう。 情報を得てから行動に移すまでに時間がかかるからと言って、生き物として価値が低いことにならないはずだ。動物と植物の間に多くの共通点があることが証明されれば、人は植物にもっと優しくなれるだろう” 著者の気持ちが凝縮された箇所だと思う。 樹木の友情、子育て、社会福祉、これらの言葉は単なる擬人化による比喩じゃない。偉大なる先達である樹木が持つ精緻なシステムへの驚嘆、敬意を表わすのに、他に言い換えようがないのだと分かってくる。 リチャード・パワーズ著『オーバーストーリー』には、本書にインスパイアされたと思しきキャラクターであるパトリシア博士が登場する。 彼女の台詞に『木を切る時は、木よりも価値があるものを作らなければならない』がある。 今、沖縄石垣島でゴルフ場建設の是非が問われている。地元の議論は様々として、百年後を想像したときに、ゴルフ場跡地と化すものと森が育むものとを比べて議論すべきじゃないかと、思うのです。 僅かな寿命しか持たない人間が、自分が亡くなった後も本来なら生き続けられるはずの樹木の命を簡単に奪うことー。 もっと慎重でありたいと強く願います。
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表紙に惹かれて手にしたが、内容も正に表紙のような自然に浸れるものだった。 優しい語り口で樹木の心を代弁している。樹木が心を持つだとか、教育だとか、冷静になれば受け入れ難い話も違和感なく入ってくる。ただそれは、以前「植物は知性を持っている」を読んでいたから入りやすかったのかもしれな...
表紙に惹かれて手にしたが、内容も正に表紙のような自然に浸れるものだった。 優しい語り口で樹木の心を代弁している。樹木が心を持つだとか、教育だとか、冷静になれば受け入れ難い話も違和感なく入ってくる。ただそれは、以前「植物は知性を持っている」を読んでいたから入りやすかったのかもしれない。 しかし、ナラやブナは本当に良く出てくる。日本で言うスギやヒノキに当たるのだろうか。しかも、これらは樹木の中では逞しい方のようで、他の樹木の生育を阻害するようだ。植物の世界でも弱肉強食があるのだなと思った。
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森や木のことについて、ほとんど何も知らなかった、ということに気づかされた。 植物は生き物。 それすら、実感としてわかっていたのか、疑わしい。 この本を読んでから、街路樹に目を向けるようになった。 すると、まるで切り刻まれてあらゆる枝を掃われたかのような街路樹も多いことに気づいた...
森や木のことについて、ほとんど何も知らなかった、ということに気づかされた。 植物は生き物。 それすら、実感としてわかっていたのか、疑わしい。 この本を読んでから、街路樹に目を向けるようになった。 すると、まるで切り刻まれてあらゆる枝を掃われたかのような街路樹も多いことに気づいた。 人間の都合で植えられ、傷つけられている植物が、痛々しく見えた。 原生林、というものが、日本にはどれだけ残されているのだろう。 人間の手が加えられていない部分なんて、ほとんど無いのではないか。 共生するということは、一体どういうことなのか。 エゴの強い人間が、植物についてどこまで理解できるのだろう。 とても難しいことのように思える。 知るということは、尊重することにつながる、のかもしれない。 私の植物に対する視線が、少し変わる予感がする。 読んでよかった。 【memo】 樹木は、根で栄養の受け渡しをすることがある。 樹木の電気信号は、1分で1センチしか進まない。 →たぶん、細胞壁の加減かな? P63 「多様性こそが、原生林を維持するカギとなる」 P94 「ひとつかみの森の土の中には、地球上のすべての人間よりもたくさんの命が含まれている。ティースプーン1杯分の土だけでも、そこに含まれる菌糸の長さは1Kmをこえる」
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日本が森林国で、今まで林業や森に近い生活を送ってきたからか、読んでいて特に新鮮さを感じるものが余りなかった。むしろ、私が期待していたのは「聞き書き甲子園」のようなものだったのかもしれない。樹木や森について知りたい、入門者には良い一冊かもしれない。図書館で借りて読んだ。
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木の生態を全て擬人化して書いているので、科学的な根拠があるのかが伝わりにくい感じが気になりました。けれども、筆者が長年森を管理してきた経験に基づいて書かれており、明確な根拠なんて無くてもきっとそうなのだろうと思えました。 森林セラピーの体験に行った時、目を閉じて手と頭を木にぴっ...
木の生態を全て擬人化して書いているので、科学的な根拠があるのかが伝わりにくい感じが気になりました。けれども、筆者が長年森を管理してきた経験に基づいて書かれており、明確な根拠なんて無くてもきっとそうなのだろうと思えました。 森林セラピーの体験に行った時、目を閉じて手と頭を木にぴったりとつけ、何を感じるかというプログラムを行ったことがあります。人それぞれ感じる事は様々ですが、私はその木から森全体の広がりが見えたような気がしました。1本の木は森全体と繋がっているんだなと思ったのですが、この本にはまさにその事が詳しく書かれていました。 木は、人間には見えない地下の大きな世界で、根どうしが物理的に繋がるだけではなく、地中の微生物を介して地下に大きなネットワークを形成していて情報を伝えあっているそう。森の一部を破壊することは、森全体に影響を及ぼす。 この本を読んでいると、人間社会以上に緻密に作られた森の社会を、体験することが出来た気がしました。
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疲れがたまってくると、森林に行きたくなる。 緑の風景、葉づれの音を聞きながら、時間を過ごすと、いつのまにか疲れが軽快している。 森林セラピーという言葉を知りながらも、自分は、樹木のことを全く知らなかったのだなーと。 森の中では、樹々たちが、根や葉、菌類の情報ネットワークを通じて...
疲れがたまってくると、森林に行きたくなる。 緑の風景、葉づれの音を聞きながら、時間を過ごすと、いつのまにか疲れが軽快している。 森林セラピーという言葉を知りながらも、自分は、樹木のことを全く知らなかったのだなーと。 森の中では、樹々たちが、根や葉、菌類の情報ネットワークを通じてコミュニケーションをはかっている。 生き物であることは、ずっと前からわかっていたが、仲間とコミュニケーションを取っているということは、考えたことがなかったかも。 今まで、自分が森の中で聴いていた「葉づれの音」は、単なる葉づれの音ではなく、会話中の樹の声だったのかも。。と、思ったら、次回、森に行くときが楽しみになる。
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20181209 学生時代から山登りを趣味にして来て、日本の森林には何回となく入って来た。一度も木の会話を聞いたこともないし、単なる物としてみて来た事が反省させられる。この本を読んで、公園でも良いので木の下でゆっくりと会話したくなった。又、山に行った時の自然との触れ合い方も変わっ...
20181209 学生時代から山登りを趣味にして来て、日本の森林には何回となく入って来た。一度も木の会話を聞いたこともないし、単なる物としてみて来た事が反省させられる。この本を読んで、公園でも良いので木の下でゆっくりと会話したくなった。又、山に行った時の自然との触れ合い方も変わってくる予感がする。
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【由来】 ・確か早川書房のfacebook 【ノート】 ・何となく魅力的な表紙デザインにひかれて読んでみてビックリ。え?森林って、そういうことになってたの?という「センス・オブ・ワンダー」が詰まった本。 ・「センス・オブ・ワンダー」とは言っても、SFではないので、最新の科学的...
【由来】 ・確か早川書房のfacebook 【ノート】 ・何となく魅力的な表紙デザインにひかれて読んでみてビックリ。え?森林って、そういうことになってたの?という「センス・オブ・ワンダー」が詰まった本。 ・「センス・オブ・ワンダー」とは言っても、SFではないので、最新の科学的調査の結果などに基づいてるわけだが、森林では異種同士でも根でつながってネットワークを形成してたなんて、知ってました?そのネットワークは菌糸によって媒介されており、「ウッドワイドウェブ」と呼ばれてるそうな。 ・他にも「アメリカのオレゴン州では9平方キロメートルの範囲に広がり、重さ600トン、推定年齢2400歳というキノコが見つかっている。つまり、地球上でもっとも大きな生き物は菌類、キノコということになる。 (P59)」なんてのもあり、どんなキノコやねんと思うけど、本書ではこういう話がオムニバス的に入ってます。もちろん、単にトリビアを集めたというようなものではなく、森の生態系についての話がほとんどで、環境、特に森とか好きな人は必読と言ってよいでしょう(と言いつつ、もしかして、専門家の間では常識?)。
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森の中で助け合いつつ生きる樹木と違う街路樹をストリートチルドレンと呼んでいる。根を伸ばしたら道路にぶつかる、下に伸ばすと水道管にぶつかる、傷ついたら誰にも助けてもらえないんだと思うと街路樹がかわいそうになってきた。
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他の木を援助するような強い友情は天然森林にしか見られない 木の表現手段=芳香物質…草食動物にかじられたら毒を出す、害虫の唾液を分類して天敵の好きな匂いを発する 衰弱した木は抵抗力だけでなくコミュニケーション能力も弱まる 根を使って情報交換する=豊かなものは貧しいものに分け与え、貧...
他の木を援助するような強い友情は天然森林にしか見られない 木の表現手段=芳香物質…草食動物にかじられたら毒を出す、害虫の唾液を分類して天敵の好きな匂いを発する 衰弱した木は抵抗力だけでなくコミュニケーション能力も弱まる 根を使って情報交換する=豊かなものは貧しいものに分け与え、貧しいものは遠慮なく頂戴する 年をとる =再生率が低くなり樹皮にシワ =背が伸びなくなる =先端に栄養を運べなくなり太る =先端が枯れる=背が低くなる 内陸でも乾燥しない仕組み =海岸から続く森林 =森のポンプ 社会の真の価値=最も弱いメンバーをいかに守るか
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