遠くの街に 犬の吠える の商品レビュー
犬の遠吠えを集めたり,朗読ありきの物語を書いたりと,少し現実からずれた世界で先生の書いた手紙を軸に,その手紙を読み解くという趣向.音に耳を澄まし,色々な音を集めたCD等,散りばめられセンスが素敵だ.
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穏やかで優しく、やわらかな物語だった。 言葉について考えた文章。 私としては作者の言葉により多く触れたいのだが。
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消え去った過去の声、そしてその思いまでを、音として拾うというちょっと心の中を探られるような作品。 言葉、特に消え失せていった言葉を大切にしようとした先生のもとに集った人たちが、先生の手紙に思いをはせる。 最後には気づいたものは、思いに耳を澄ますだったのだろうか。
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刊行記念のトーク&サイン会に参加したので、そちらはまた別途ですが、そこで聞いたこの本に纏わる話も混ぜながら。 最近はあまり吉田さんの著作全ては追えてないのだけど、いつも素敵な装丁と、素敵なキーワードが散りばめられているので、チェックは欠かさない。 トークでも「何故物語を終わらせ...
刊行記念のトーク&サイン会に参加したので、そちらはまた別途ですが、そこで聞いたこの本に纏わる話も混ぜながら。 最近はあまり吉田さんの著作全ては追えてないのだけど、いつも素敵な装丁と、素敵なキーワードが散りばめられているので、チェックは欠かさない。 トークでも「何故物語を終わらせなければいけないのか。大きな物語の中の一部を取り出しているだけ」というようなことをおっしゃっていたが、静かに丸く収まっている世界のどこかがぽろっと欠けて、それにつまずいて「おや?」とつまみ上げるような物語は、自分の中にその小さな欠片に集中できる余裕が無いと、なかなか最後まで辿って行きづらい。短編の集合体だと、より一層手の中からこぼれやすいので、今回は長編だし、と。 以下帯。 「消えゆく音と忘れられた言葉 それらを愛し収集する人たちの ささやかな冒険譚――」 冒険譚というようなエンターテイメント性があるかはさておき(苦笑)、自分の中の吉田さん作品の中ではかなりテンポの良い感じだったので、スルスル読めまして。…自分のテンションのせいだけかもしれませんが。 まず本編書き出しの一文だけで、好みどストレート。 「彼の左目は、一見してあきらかに水色だった。」 ありがとうございます。これだけでドキドキする。 そんなオッドアイ冴島君という素敵なキャラクターが居るにも関わらず、あくまで「私」が進行し、いかなる登場人物にも無駄な感情移入はさせず「消えゆく音と忘れられた言葉」を黙々と追っていかせるのが、吉田さん作品らしい。 烏天狗がそこにぽつんとリンクするのかーとか、深入りはさせないけどそれぞれの人物にバランス良く自然に意識が注がれていることに気づいたり、章の分かれ目が写真(吉田さんiPhone撮影。表紙は浩美さん)の少し前からはじまるのがカバーそでみたいだなーとか、物語だけにとどまらない、他の本ではなかなか味わえないようないろんな発見があっておもしろい。 そんなこんなでスルスル読めて、「終わりをつけない」としても読後感に変なものが残ることもなく、久しぶりに100%吉田さん作品を享受できた自分もなんだか嬉しい。 しかし吉田さん、というかクラフトさんといえば筑摩書房という気がしていたけれど、筑摩で長編がものすごく久しぶり(10年くらい?)ということに衝撃。
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