若い読者のための第三のチンパンジー の商品レビュー
ジャレドの著作の中でも特に人間の自然生物学的分析に特化した本。言語の発達が人間を人間足らしめている、ということが納得感を持って描かれて新鮮だった。
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「人間とは何か」を科学的・俯瞰的に考察した本。 語り口も分かりやすく、例え話も多く、腹落ちしやすい。何より知的好奇心がくすぐられる。 「人間」だけがなぜ文明を築き、繁栄を極めてきたのか。繁栄の影で失われたものは。 「人間」だけを特別視せず、何が人間を人間たらしめているか、見つめ直す。 チンパンジーと人間の遺伝子は、98.4%が同じ。1.6%の違いがもたらしたものは壮大だった。
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人間とは何かを様々な切り口で考察する本。現代人が特別に環境破壊的なわけではなく、これまでも森林伐採による破滅や乱獲による大量絶滅を何度も引き起こしてきたという点にショックを受けた。例えばアイヌは資源の保存に気をつけながら漁や収穫をしていたが、そういう慎重さを持っている集団の方が稀...
人間とは何かを様々な切り口で考察する本。現代人が特別に環境破壊的なわけではなく、これまでも森林伐採による破滅や乱獲による大量絶滅を何度も引き起こしてきたという点にショックを受けた。例えばアイヌは資源の保存に気をつけながら漁や収穫をしていたが、そういう慎重さを持っている集団の方が稀ということなんだろう。リカバリ不可能な状況まで進んでしまう前に、多くの人類が過去を学び過ちを繰り返さないように、なんとか間に合わせるにはどうしたら良いのか、真剣に考えないといけない。
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ジャレドダイアモンドのいろんな本の内容をざっとさらった入門書的な立ち位置?ザザーっと興味のある所を読んで知的好奇心の刺激を得るには良い本。翻訳も癖がなく、読みやすい。 人間を人間たらしめるのは「言葉」と「道具」なんだろうな。ホモ・サピエンスを読んでも思ったが。 この二つの発達以後、身体的な意味での成長はほとんどないにも関わらず、短期間(この時間軸が面白い)で圧倒的な技術の進化を遂げていることが驚異的。 先住民の独自の文化が失われることによる影響として、言語が絶えることで、その言語を使っていた人が話していた独自の世界観を知る方法も失われるってのは確かにあるんじゃないかと思った。
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友人からおすすめとして借りました。進化生物学者の書いた自然人類学的の入門書。いま話題の感染症にもふれてあるし、歴史や生物学、環境学など幅広い内容。悪く言えば広すぎてよくわからないけど、そもそも進化生物学(だけじゃないけど)を目的に書いてるわけで、各エリアの深掘りは他の専門書に譲る...
友人からおすすめとして借りました。進化生物学者の書いた自然人類学的の入門書。いま話題の感染症にもふれてあるし、歴史や生物学、環境学など幅広い内容。悪く言えば広すぎてよくわからないけど、そもそも進化生物学(だけじゃないけど)を目的に書いてるわけで、各エリアの深掘りは他の専門書に譲るはず。そういう意味での入門書なんだろう。文庫で約400ページとけっこう多いが、読みやすい
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P.54 「とどのつまり、ネアンデルタール人には、人間にとってもっとも重要な資質である「革新性(イノベーション)」、すなわち新たなものを生み出す能力が備わっていなかったようである」 ハッとさせられる。技術こそが人類の生活を変えてきたものであり、新しい技術を生み出せなければ、私た...
P.54 「とどのつまり、ネアンデルタール人には、人間にとってもっとも重要な資質である「革新性(イノベーション)」、すなわち新たなものを生み出す能力が備わっていなかったようである」 ハッとさせられる。技術こそが人類の生活を変えてきたものであり、新しい技術を生み出せなければ、私たちは滅んでしまったネアンデルタール人と同じだ(滅びゆくのだ)。 700万年前にチンパンジーと袂を分かった人類の祖先は、最終氷河期の6万年前に突如針、釣り針、臼と杵、返しのついたモリ、弓矢などのテクノロジーを持ったクロマニョン人に至る。 これらのテクノロジーのおかげで、オーストラリア、北ロシア、シベリアに進出。ヨーロッパで遠距離の交易も始まる。装飾品を用い、芸術と美のセンスを持ち合わせていた。楽器を奏で、音楽があった。 クロマニョン人はアフリカや中東からヨーロッパに侵入し、技術で劣るネアンデルタール人を絶滅にいたらしめた。 言葉がこの人類の大躍進を可能にした。咽頭の筋肉が可能にしたらしい。 ジャレド・ダイヤモンド『第三のチンパンジー』 とても学ぶことが多かった。 • 北アメリカに人類が到達した当初、マンモスやウマ、ラクダ、地上性のナマケモノ等、多くの大型哺乳類種に溢れていたが、人類が到達した後80〜90%が絶滅に追い込んでしまったこと。家畜化できる可能性があった動物もいただろう。、ユーラシア大陸でウマを家畜化し、戦車として用いたスペインの探検隊により、南北アメリカ大陸の人々は蹂躙され虐殺された。 • 地理的条件により、人類の繁栄は大幅に決定づけられるということ。具体的には、栽培できる植物、家畜化できる動物の分布により大きく影響されたこと。そして気候によって生息環境が制限されるが、ユーラシア大陸は東西の軸に伸びており拡散が容易だったのに対し、アメリカ大陸は南北の軸に伸びており拡散が容易でなかった。さらに、ユーラシア大陸の中東で農業が始まったのは、小麦等のもともと生産性の高い穀物が自生していたおかげであり、対してアメリカ大陸には生産性の高い自生穀物がなく、あったのは当時生産性の低いトウモロコシであった。 • 古代文明が築いた多くの大都市が、人間自身が起こした木材伐採、過剰農業による環境破壊が、森林壊滅による砂漠化、土地の栄養不良、土壌流出による灌漑不可能化を引き起こし、最終的に放棄せざるを得ない運命となったことが実例をもとに記されており、驚異と脅威を感じた。ニューメキシコ州チャコキャニオンのプエブロ・ボニート遺跡、ヨルダンのペトラ遺跡、イースター島、ヘンダーソン島等の太平洋の島々 • 私たちが数種の動物を絶滅させたことにより、動植物の有り様が根底から変わってしまうことがあるということ。 • マレーシアでは数十年の間に淡水魚の半数が絶滅したということ。 • ジェノサイドは人類の歴史のどの時代にも見られ、類人猿のコモンチンパンジーと共通の人類の特性のひとつであること。 • 狩猟採取民は農民よりもずっと健康だったこと、より平等な社会で、余暇のある生活を送れていたこと。 • 農業の発展により、階層、中央集権社会も発展してきたこと。農業により戦闘にのみ特化した軍隊が生まれたこと。
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マオリは虐げられた側という感覚があったが、実はニュージーランドの生態系を最初にぶち壊し大型生物を何種類も絶滅に追い込んだというのは発見だ。
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著者の他の本と重なる部分はあるが、一冊で様々な側面をさらっと味わえてお得。人間を知る旅へと引き込まれる。高校生くらいの時にこんな本に出会いたかった。
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タイトルに惹かれてついジャケ買い。 ハーレムを形成する種のオスは体がデカく、つがいになる種は雌雄の体格差がない。言われればそうなのに気付かなかった。確かにそうだ。チンパンジーと人間の遺伝子についての解説も。分かりやすく「へー」が続くので、暇な時間に何も考えずさらっと読むのに向く。
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ジャレド・ダイアモンド博士版の「サピエンス全史」で氏の専門分野である生物学や文化人類学、歴史学などの観点で人間の歩んできた道を俯瞰できる。また、人間と動物、人間とチンパンジーの違いについて考えることで、人間の未来についても考えさせられる。人間とチンパンジーは遺伝子的には98.6%...
ジャレド・ダイアモンド博士版の「サピエンス全史」で氏の専門分野である生物学や文化人類学、歴史学などの観点で人間の歩んできた道を俯瞰できる。また、人間と動物、人間とチンパンジーの違いについて考えることで、人間の未来についても考えさせられる。人間とチンパンジーは遺伝子的には98.6%まで一致している。にも関わらず、動物実験でチンパンジーに薬物を投与することは禁止されない。捕鯨とどっちが酷いのか。仲間殺しや自ら生息する環境を破壊するのは人間だけでなく他の動物にも見られる。とすると、このDNAに書き込まれた天性を放棄あるいは抑制するのはむしろ困難で、人類の未来は暗いのか。この本が若い読者のためのとあるのは、本書に描かれている人間の本性を学ぶことで、未来を変えようとするきっかけになればという願いらしい。若い人だけでなく、みんなにおすすめです。
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